- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 205. 心に響く英語ことわざ
公開日
2025.04.02
更新日
2025.04.06

心に響く英語ことわざ(538)「我思う、故に我あり」で有名なフランスの哲学者デカルトの名言 Except our own thoughts, there is nothing absolutely in our power.(人は心に思うごとくである)
“Except our own thoughts, there is nothing absolutely in our power.”
直訳は「我々の思考を除いて、私たちには絶対的な力など何もない」で、似た意味のことわざに「人は心に思うごとくである」があります。
デカルト(Descartes)の名言 Except our own thoughts, there is nothing absolutely in our power.の意味
この言葉は、デカルトが哲学の根源的な問いとして、「いったい何を知ることができるのか?」という疑問を深く掘り下げた結果生まれたものです。
思考の自由:
外部世界との関係: デカルトは、私たちが外界の事物に対しては、完全にコントロールできるわけではないと考えました。例えば、病気になったり、自然災害に遭ったりすることは、私たちの意志だけではどうすることもできないからです。
心の自由: しかし、私たちには、どんな状況下でも自由に思考し、考えをめぐらすことができます。この思考の自由こそが、私たちが唯一完全にコントロールできるものだとしたのです。
懐疑と確実性:
万物の疑い: デカルトは、感覚や経験に基づく知識はすべて疑わしいと考えました。例えば、夢を見ているのか現実なのか、あるいは悪霊に騙されているのかどうか、私たちは確信を持つことができません。
思考の確実性: しかし、自分が何かを疑っているという事実自体を疑うことはできません。このことから、デカルトは「我思う、故に我あり」という有名な命題を導き出し、思考の存在だけは確実であると結論づけました
この言葉が示すこと
人間は思考によって自由を獲得する: 外界の事物に振り回されるのではなく、自分自身の思考によって、自由な精神を持つことができる。
哲学の出発点: この言葉は、デカルトの哲学の出発点であり、近代哲学における主観的な自我の確立に大きく貢献しました。
人間の尊厳: 思考の自由は、人間が他の動物と異なる最も重要な特徴であり、人間の尊厳を示すものだと考えられます。
まとめ
デカルトのこの言葉は、私たちが外界に対しては力がないように思えても、自分自身の思考だけは自由にコントロールできるという、人間の心の奥底にある自由を強調しています。それは、私たちが自分の人生を主体的に生きるための重要な気づきを与えてくれるでしょう。
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似た意味の英語のことわざ
“You have power over your mind – not outside events. Realize this, and you will find strength”
(あなたは自分の心に対しては力を持っているが、外部の出来事に対しては持っていない。これを理解すれば、力を見出すだろう)
これはローマ皇帝マルクス・アウレリウスの言葉で、デカルトの考えと非常に近い意味を持っています。
“The mind is its own place, and in itself can make a heaven of hell, a hell of heaven”
(心は自身の場所であり、それ自体が地獄を天国に、天国を地獄にすることができる)
これはジョン・ミルトンの「失楽園」からの引用で、思考の力を強調しています。
“As a man thinketh in his heart, so is he”
(人は心に思うごとくである)
この聖書の箴言(Proverbs 23:7)は、思考が人の本質を形作ることを示唆しています。
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似た意味の日本語のことわざ
「心頭滅却すれば火もまた涼し」
この禅語は、心の状態が外部の状況に対する認識を変えることができるという意味を持ち、思考の力を強調しています。
「精神一到何事か成らざらん」
この言葉は、精神を集中させれば何事も成し遂げられるという意味で、思考の力が行動や結果に大きな影響を与えることを示しています。
「己に克つ者は千万人に克つ」
この諺は、自分自身の心や欲望をコントロールできる人は、多くの困難を乗り越えられるという意味で、自己の思考を制御することの重要性を表現しています。
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デカルトの生い立ち
ルネ・デカルトは、近代哲学の祖として知られるフランスの哲学者、数学者です。彼の思想は、後の哲学や科学に多大な影響を与えました。
生まれと教育
生誕: 1596年3月31日、フランス中部のラ・エーで生まれました。裕福なブルジョア階級の家庭に育ち、幼少期から恵まれた教育を受けました。
ラ・フレーシュ学院: 10歳の頃からイエズス会のラ・フレーシュ学院に入学し、古典、数学、哲学などを学びました。しかし、古代ギリシアの哲学に疑念を抱き、より確実な知識を求めるようになります。
ポアティエ大学: 法学を学び、1616年に法学士の学位を取得しました。しかし、法廷での仕事よりも、哲学や数学の研究に強い興味を持っていました。
青年期と旅
軍隊入隊: 22歳の時に軍隊に入隊し、三十年戦争に参加しました。この経験は、デカルトの思想に大きな影響を与えました。
ヨーロッパ各地を転々: 軍隊を退役後、ヨーロッパ各地を旅しながら、様々な人々と出会い、思想を交換しました。特にオランダに滞在した期間は、彼の哲学が大きく発展した時期と言われています。
哲学への没頭
方法的懐疑: デカルトは、これまでの知識をすべて疑い、確実な根拠に基づいた新しい哲学を構築しようと試みました。
「我思う、故に我あり」: すべてのことを疑っても、自分が疑っているという事実だけは否定できないという結論に至り、この有名な言葉を残しました。
《方法序説》の出版: 1637年、『方法序説』を発表し、彼の哲学を体系的にまとめました。この著書は、近代哲学の出発点として位置づけられています。
後半生と死
オランダでの生活: オランダに定住し、哲学研究に没頭しました。
スウェーデンへの招き: スウェーデンのクリスティーナ女王に招かれ、スウェーデンに移住しました。
死去: 1650年2月11日、スウェーデンのストックホルムで亡くなりました。
デカルトの哲学の特徴
合理主義: 感覚や経験ではなく、理性によって真理を追求する考え方です。
二元論: 心と体は異なる実体であり、互いに独立して存在するという考え方です。
機械論: 自然現象を機械の動きに例え、数学的に説明しようとする考え方です。
まとめ
デカルトは、近代哲学の基礎を築いた重要な哲学者です。彼の思想は、科学、哲学、そして現代社会にまで大きな影響を与えています。
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この記事もご覧ください。
心に響く英語ことわざ(537)古代ギリシャの哲学者ソクラテスの名言 Wealth does not bring goodness, but goodness brings wealth and every other blessing, both to the individual and to the state.(至誠にして動かざる者はなし)
https://www.eionken.co.jp/note/socrates-g/
心に響く英語ことわざ(539)相対性理論を構築したアインシュタインの名言 Few are those who see with their own eyes and feel with their own hearts.(権威に疑問を持て)
https://www.eionken.co.jp/note/albert-einstein-g/
英語リスニング脳構築のポイント「単語ごとの英音認識」と「意味の理解」ができるようになる学習法
https://www.eionken.co.jp/note/listening-english-recognition-understanding/
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著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英音研株式会社創業者・代表取締役
・米国系戦略コンサルティングファームであるボストン コンサルティング グループ(BCG東京オフィス)及びNTTデータ経営研究所において通算30年超のビジネスコンサルティング歴を持つ。BCGでは日本のみならず、米国・欧州企業向けに経営戦略、マーケティング戦略、業務改革(BPR)、新規事業や新サービス開発プロジェクト、ソーシャルメディアマーケティングなどを多数経験。NTTデータ経営研究所においては、グローバルビジネス推進センターのエクゼクティブコンサルタントとして、米国、中国、台湾、香港、ベトナム、タイ、マレーシア、インドネシア、バングラデシュ、UAE、サウジアラビアなどにおける市場調査・輸出拡大戦略立案などに従事。
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語スピーキング脳を構築する効果的な学習方法も考案、英音研公式ブログに学習方法を投稿。
・趣味は米国の映画・ドラマを視聴して、米国人の価値観、文化、風習などを感じ取ること
・最近は、長年疑問に思っていたことや知りたいと思っていたことを生成AIに質問して、回答を読んで納得したりしている。これからの時代は膨大な知識データベースでもある生成AIへの質問力がポイントになると考えている。
・晴れていると、近くの小さな川沿いをウォーキングして、季節の移ろいを感じている。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など8冊がある。
Amazon.co.jp: 英音研株式会社: 本、バイオグラフィー、最新アップデート
・「シニアになって米国オンライン教育を受講してみた」シリーズとして9冊の書籍を発刊
「シニアになって米国の子供向け英語フォニックスのオンライン教育を受講してみた」
「シニアになって米国高校生向け米国史オンライン教育を受講してみた」
「シニアになって米国高校生向け化学オンライン教育を受講してみた」など
・ビジネスコンサルティング技術関連の著書に「ビジネスコンサルティング技術・マインド体系」「新規事業アイデア創造の技術」「ビジネスレポートを書く技術」「ビジネスプレゼンテーションの技術」など14冊がある。
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