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公開日
2025.09.05
更新日
2025.09.05

心に響く英語ことわざ(633)フランス皇帝ナポレオン・ボナパルトの名言 Great ambition is the passion of a great character…(諸刃の剣)
“Great ambition is the passion of a great character. Those endowed with it may perform very good or very bad acts. All depends on the principles which direct them.”
直訳は「偉大な野心は、偉大な人格の情熱である。それを授かった者たちは、非常に良い行いも、非常に悪い行いもすることができる。すべては、彼らを導く原則にかかっている」で、似た意味のことわざに「諸刃の剣」があります。
ナポレオン・ボナパルト(Napoleon Bonaparte)の名言 Great ambition…の意味
この言葉は、フランスの軍人、皇帝であるナポレオン・ボナパルトが、「野心と道徳の関係」について述べたものです。彼は、「偉大な野心(Great ambition)」という強い情熱は、それ自体が善悪のどちらでもなく、それを導く「原則(principles)」によって、良い結果にも、悪い結果にもなり得ると説いています。
この言葉が意味すること
この名言は、「力」と「道徳」という二つの概念を対比させています。
- 「Great ambition is the passion of a great character.」(偉大な野心は、偉大な人格の情熱である。) ナポレオンは、野心を、単なる個人的な欲望ではなく、「偉大な人格」が持つべき資質の一つだと考えていました。この「野心」は、目標を達成するための強力な原動力であり、偉大な人物の成功には不可欠な要素であると認識しています。
- 「Those endowed with it may perform very good or very bad acts.」(それを授かった者たちは、非常に良い行いも、非常に悪い行いもすることができる。) この部分が、この言葉の核心です。ナポレオンは、野心が、善と悪の両方を生み出す可能性を秘めていることを指摘しています。例えば、社会をより良くしようとする野心は、人々に希望を与える良い行いにつながりますが、他者を犠牲にしてでも権力を手に入れようとする野心は、破壊的な悪い行いにつながります。
- 「All depends on the principles which direct them.」(すべては、彼らを導く原則にかかっている。) この部分は、野心という力を、いかに道徳的な「原則」によってコントロールするかが、その結果を決定づけることを示しています。この「原則」は、個人の倫理観や、社会的な規範を指しており、ナポレオン自身も、その原則の選択によって、英雄にも、独裁者にもなり得たことを示唆しています。
似た意味の英語のことわざ
- “Power corrupts, and absolute power corrupts absolutely.” (権力は腐敗する、絶対的な権力は絶対的に腐敗する。) これは、権力が、それを扱う者の道徳観に影響を与えるという、ナポレオンの言葉と似た思想を示しています。
- “A double-edged sword.” (諸刃の剣。) これは、一つのものが、良い効果も悪い効果ももたらす可能性があるという意味で、ナポレオンの言葉を的確に表すことわざです。
- “With great power comes great responsibility.” (大いなる力には、大いなる責任が伴う。) これは、マーベル・コミックの『スパイダーマン』に登場する言葉で、力を行使する者が、その力をどのように使うべきかという道徳的な問いを投げかけています。
似た意味の日本語のことわざ
- 「諸刃の剣」(もろはのつるぎ) 役に立つと同時に、自分を傷つける危険性もはらんでいるという意味。ナポレオンの言葉が持つ精神を的確に表す日本語です。
- 「虎の威を借る狐」(とらのいをかるきつね) 権力者の権威を借りて威張る者という意味で、権力の使い方に関する教訓を示しています。
- 「権力は人を狂わせる」 権力を持つと、人間は理性的な判断を失い、独善的になるという意味。
ナポレオン・ボナパルト(Napoleon Bonaparte)の波乱万丈な生い立ち
ナポレオン・ボナパルト(1769-1821)は、フランスの軍人、政治家であり、フランス革命後の混乱を収拾し、フランス皇帝に即位しました。彼は、ヨーロッパの歴史を大きく変えた人物です。
幼少期と軍人への道
1769年、地中海のコルシカ島で、イタリア系の家庭に生まれました。彼は、フランスの軍学校で学びましたが、コルシカ人として差別を受け、孤独な少年時代を過ごしました。 しかし、彼は、その軍事的才能によって頭角を現し、フランス革命後の混乱に乗じて、若くして将軍となりました。
皇帝への道とヨーロッパの征服
1799年、彼はクーデターを起こして政権を掌握し、1804年には国民投票によってフランス皇帝に即位しました。彼は、ナポレオン法典を制定し、フランスの行政制度を整備するなど、内政でも多くの功績を残しました。 彼は、その後、ヨーロッパ全土を征服しようと、多くの戦争を繰り広げました。彼の軍事的才能は卓越しており、数々の戦いで勝利を収め、ヨーロッパ大陸のほとんどを支配下に置きました。
没落と遺産
しかし、1812年のロシア遠征の失敗をきっかけに、彼の帝国は崩壊に向かいました。1815年のワーテルローの戦いで敗北した後、彼はセントヘレナ島に流刑となり、その地で亡くなりました。 ナポレオンの生涯は、一人の人間が、その野心と才能によって、いかに世界を動かすことができるかを示す物語です。彼の言葉は、私たちに、野心は、使い方を誤れば、破壊的な力にもなり得るという、深い教訓を与え続けています。
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心に響く英語ことわざ(632)マーク・トウェインの名言 The secret of getting ahead is getting started.(思い立ったが吉日)
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心に響く英語ことわざ(634)交流電流などで有名な米国の発明家ニコラ・テスラの名言 The scientists of today think deeply instead of clearly…(木を見て森を見ず)
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著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。
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