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公開日
2025.09.05
更新日
2025.09.05

心に響く英語ことわざ(636)古代ギリシアの哲学者ソクラテスの名言 True wisdom comes to each of us when we realize how little we understand…(謙虚さはすべての美徳の土台)
“True wisdom comes to each of us when we realize how little we understand about life, ourselves, and the world around us.”
直訳は「真の知恵は、私たちが人生、自分自身、そして周りの世界について、いかにほとんど理解していないかを悟ったときに、私たち一人ひとりにやってくる」で、似た意味のことわざに「謙虚さは、すべての美徳の土台である」があります。
ソクラテス(Socrates)の名言 True wisdom comes to each of us…の意味
この言葉は、古代ギリシアの哲学者であるソクラテスが、「知恵の本質」について述べたものです。彼は、真の知恵とは、多くの知識を持つことではなく、自分自身の無知を自覚することから始まると説いています。
この言葉が意味すること
この名言は、「無知の知(Socratic paradox)」というソクラテス哲学の核心をなすものです。
- 「True wisdom comes to each of us」(真の知恵は、私たち一人ひとりにやってくる) ソクラテスは、知恵が、一部の特別な人だけのものではなく、すべての人に与えられた可能性であると考えていました。この知恵は、本を読んだり、誰かから教えられたりするものではなく、自己の内面的な気づきから生まれるものです。
- 「when we realize how little we understand about life, ourselves, and the world around us.」(私たちが人生、自分自身、そして周りの世界について、いかにほとんど理解していないかを悟ったときに) この部分が、この言葉の核心です。ソクラテスは、多くの人々が、自分は物事をよく知っていると信じ込んでいるが、それは錯覚であると考えていました。彼は、「私は何も知らないということを知っている」と語り、自分自身の無知を認めることこそが、真理を探求するための出発点であると説きました。
似た意味の英語のことわざ
- “The only true wisdom is in knowing you know nothing.” (唯一の真の知恵は、自分が何も知らないことを知ることにある。) これは、ソクラテス自身が言ったとされる言葉で、上記の言葉をさらに簡潔に表現しています。
- “A wise man learns more from a fool than a fool learns from a wise man.” (賢い人は、愚か者が賢い人から学ぶよりも、愚か者から多くのことを学ぶ。) これは、賢い人が、自分自身の無知を認め、他者から学ぶ謙虚さを持っていることを示しています。
- “Humility is the foundation of all virtues.” (謙虚さは、すべての美徳の土台である。) これは、謙虚さが、知恵や道徳といった、他のすべての良い資質の基礎となることを示しています。
似た意味の日本語のことわざ
- 「知は力なり」(ちからはちからなり) 知識は、人間にとっての力になるという意味。ソクラテスの言葉は、その「知識」の前に、まず「無知を自覚すること」が重要であると説いています。
- 「学ぶは一生の宝」(まなぶはいっしょうのたから) 学び続けることは、一生の財産になるという意味。ソクラテスの言葉は、その「学び」の最初のステップが「無知の自覚」であると教えています。
- 「君子は危うきに近寄らず」(くんしあやうきにちかよらず) 賢い人は、危険な状況や誘惑には近づかないという意味で、ソクラテスの哲学とは直接的な関連性はありません。
ソクラテス(Socrates)の波乱万丈な生い立ち
ソクラテス(紀元前470年頃 – 紀元前399年)は、古代ギリシアの哲学者であり、西洋哲学の父とされています。しかし、彼は、著作を一切残さず、その思想は、弟子であるプラトンの著作を通じて後世に伝えられました。
幼少期と「ソクラテスの方法」
紀元前470年頃、アテナイで石工の父と助産婦の母のもとに生まれました。彼は、職業は石工であったと言われていますが、彼は、アテナイの広場で、若者たちと議論を交わすことに多くの時間を費やしました。 彼は、特定の思想を教えるのではなく、「問答法」と呼ばれる方法で、相手に質問を投げかけ、その答えが矛盾していることを指摘することで、相手自身の無知を自覚させようとしました。この方法は、「ソクラテスの方法」として知られています。
処刑
彼の議論は、多くの若者たちを魅了しましたが、同時に、当時のアテナイの権力者たちからは、若者たちを惑わす危険な人物と見なされました。 紀元前399年、彼は、「アテナイの神々を信じず、若者を堕落させた」という罪で裁判にかけられました。彼は、自身の無実を主張しましたが、有罪判決を受け、毒杯を仰いで処刑されました。
遺産
ソクラテスの死は、彼の弟子であるプラトンに深い衝撃を与え、プラトンは、師の思想を後世に伝えるために多くの著作を執筆しました。 ソクラテスの生涯は、常に真理を追求し、自分自身の信念のために死を選んだ物語です。彼の言葉は、私たちに、知識や富よりも、自分自身と向き合い、内面の知恵を探求することが、より重要であるという、普遍的な教訓を与え続けています。
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心に響く英語ことわざ(637)実存主義哲学の父デンマークの哲学者キェルケゴールの名言 Once you label me you negate me.(人を見かけで判断するな)
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著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。
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