- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 204.心に響く英語ことわざ2
公開日
2025.09.07
更新日
2025.09.08

心に響く英語ことわざ(647)進化論を提唱した英国の博物学者ダーウィンの名言 A scientific man ought to have no wishes, no affections, – a mere heart of stone.(科学には石の心が必要)
“A scientific man ought to have no wishes, no affections, – a mere heart of stone.”
直訳は「科学者は、いかなる願望も、いかなる感情も持つべきではない。─ただの石の心を持つべきだ」で、似た意味のことわざに「科学に心は不要」があります。
チャールズ・ダーウィン(Charles Darwin)の名言 A scientific man ought to have…の意味
この言葉は、イギリスの博物学者であり、進化論を提唱したチャールズ・ダーウィンが、「科学的客観性の重要性」について述べたものです。彼は、科学的な探求において、個人的な感情や願望といった主観的な要素が、真実の発見を妨げる危険性があると説いています。
この言葉が意味すること
この名言は、「客観性(objectivity)」という科学的方法の根本的な原則を強調しています。
- 「no wishes, no affections」(いかなる願望も、いかなる感情も) ダーウィンは、この言葉で、個人的な感情、信念、そして願望が、科学的な観察や結論に影響を与えることを戒めています。例えば、ある科学者が、自分の仮説が正しいと「願う」あまり、都合の良い証拠だけを集めたり、都合の悪い証拠を無視したりする可能性があります。ダーウィンは、このような主観性が、真理から目を背けさせる原因となると考えていました。
- 「a mere heart of stone」(ただの石の心) この部分は、ダーウィンが、科学者に求められる極端なまでの客観性を、強い比喩で表現しています。彼は、科学者が、冷徹で、感情に左右されない、「石の心」を持つことで、初めて偏見のない、純粋な真実の探求が可能になると考えていました。
まとめ
チャールズ・ダーウィンのこの言葉は、私たちに「主観を排除し、客観的な事実に基づいた思考」の重要性を教えてくれます。これは、科学だけでなく、私たちが日々の生活で判断を下す際にも、非常に重要な教訓となります。
似た意味の英語のことわざ
- “Facts are stubborn things.” (事実は頑固なものである。) これは、事実は、個人の感情や願望によって変わることはないという意味で、ダーウィンの言葉と通じます。
- “The truth is rarely pure and never simple.” (真実はめったに純粋ではなく、決して単純ではない。) オスカー・ワイルドの名言で、真実が、主観的な感情や解釈と混じり合っていることを示唆しています。
- “Better three hours too soon than a minute too late.” (1分遅れるよりも、3時間早く着く方が良い。) これはウィリアム・シェイクスピアの名言で、客観的な事実(時間)に敬意を払い、先を見越して行動することの重要性を説いています。
似た意味の日本語のことわざ
- 「科学に心は不要」 科学は、個人の感情や願望を排除し、客観的な事実に基づいて探求されるべきだという意味。ダーウィンの言葉を的確に表す日本語です。
- 「蓼食う虫も好き好き」(たでくうむしもすきずき) 人の好みは様々であるという意味で、ダーウィンの言葉が持つ、主観的な好みを排除することの重要性と通じます。
- 「情け容赦ない」(なさけようしゃない) 相手に同情せず、厳しい態度で接するという意味で、ダーウィンの「石の心」に通じます。
チャールズ・ダーウィン(Charles Darwin)の波乱万丈な生い立ち
チャールズ・ダーウィン(1809-1882)は、イギリスの博物学者であり、「進化論」を提唱し、生物学に革命をもたらしました。彼の代表作は、1859年に出版された『種の起源』です。
幼少期と「ビーグル号」の旅
1809年、イングランドのシュルーズベリーで、医者の家庭に生まれました。彼は、幼い頃から自然観察に強い関心を持ち、植物や昆虫の採集に熱中しました。 彼は、大学で医学を学びましたが、後に神学を学び、聖職者になることを目指しました。 しかし、彼の人生は、1831年に軍艦「ビーグル号」の博物学者として、世界一周の航海に参加したことで一変しました。彼は、この5年間にわたる旅で、南米やガラパゴス諸島で、多くの生物を観察し、採集しました。この経験が、彼の進化論の着想の基礎となりました。
進化論の発表と晩年
イギリスに帰国したダーウィンは、その後、20年以上にわたって、自身の観察と収集した資料を分析し、「自然淘汰」という概念に基づく進化論を構築しました。 1859年、彼は『種の起源』を出版しました。この本は、当時のキリスト教の教えと対立したため、大きな論争を巻き起こしました。しかし、彼の理論は、科学界で徐々に受け入れられ、生物学の基礎となりました。 ダーウィンは、晩年、健康を損ないながらも、研究を続け、1882年に73歳で亡くなりました。 チャールズ・ダーウィンの生涯は、客観的な観察と、真実を探求する飽くなき情熱に満ちたものでした。彼の言葉は、私たちに、客観性と、個人的な感情を切り離すことの重要性を教えてくれます。
***
心に響く英語ことわざ(646)ブッダの名言 Just as treasures are uncovered from the earth, so virtue appears from good deeds…(知恵は純粋で平和な心から現れる)
https://www.eionken.co.jp/note/just-as-treasures-are-uncovered/
心に響く英語ことわざ(648)「クリスマス・キャロル」で有名な英国の作家チャールズ・ディケンズの名言 Nature gives to every time and season some beauties of its own…(人生は気づかないうちに変化し続ける)
https://www.eionken.co.jp/note/nature-gives-to-every-time/
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。
Amazon.co.jp: 英音研株式会社: 本、バイオグラフィー、最新アップデート