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公開日
2025.09.09
更新日
2025.09.09

心に響く英語ことわざ(654)古代ギリシアの哲学者ヘラクレイトスの名言 There is nothing permanent except change.(諸行無常)
“There is nothing permanent except change.”
直訳は「変化以外に不変なものはない」で、似た意味のことわざに「諸行無常」があります。
ヘラクレイトス(Heraclitus)の名言 There is nothing permanent except change.の意味
この言葉は、古代ギリシアの哲学者であるヘラクレイトスが、「万物の流転」について述べたものです。彼は、この世のすべてのものは、絶えず変化し続けており、「不変」という概念自体が、変化という法則の中にしか存在しないと説いています。
この言葉が意味すること
この名言は、「人生は常に流れ、変わり続ける」という哲学を強調しています。
- 「There is nothing permanent」(不変なものはない) ヘラクレイトスは、この言葉で、私たちが信じている「不変」という概念を否定しています。私たちの肉体、感情、人間関係、そして社会の状況も、常に変化し続けています。彼は、川の水を例に、「同じ川に二度と入ることはできない」と語り、私たちが触れるすべてのものが、一瞬たりとも同じ状態を保ち続けないことを示しました。
- 「except change.」(変化以外に) この部分が、この言葉の核心です。ヘラクレイトスは、この世で唯一、変わらないものがあるとすれば、それは「変化という法則そのもの」であると主張しています。つまり、すべてが変わり続けるという事実だけが、唯一の不変の真理なのです。
まとめ
ヘラクレイトスのこの言葉は、私たちに「変化を受け入れること」の重要性を教えてくれます。人生で直面する困難や喪失も、常に変化し続ける流れの一部です。この真理を理解することで、私たちは、過去への執着を捨て、未来への不安を和らげ、今という瞬間をより良く生きることができるのです。
似た意味の英語のことわざ
- “Change is the law of life. And those who look only to the past or present are certain to miss the future.” (変化は人生の法則である。過去や現在だけを見ている者は、未来を逃すに違いない。) これは、ジョン・F・ケネディの言葉で、変化を受け入れ、未来に向かって進むことの重要性を説いています。
- “The only thing we have to fear is fear itself.” (我々が恐れるべき唯一のものは、恐れそのものである。) これはフランクリン・D・ルーズベルトの名言で、ヘラクレイトスの言葉が持つ、変化を恐れず、未来に向かって進むという精神と通じます。
- “Better three hours too soon than a minute too late.” (1分遅れるよりも、3時間早く着く方が良い。) これはウィリアム・シェイクスピアの名言で、時間の流れ(変化)を意識し、先を見越して行動することの重要性を説いています。
似た意味の日本語のことわざ
- 「諸行無常」(しょぎょうむじょう) この世のすべてのものは、絶えず変化し、同じ状態を保ち続けることはないという意味。ヘラクレイトスの言葉を最も的確に表す日本語です。
- 「光陰矢の如し」(こういんやのごとし) 時間が経つのは矢のように速いという意味で、人生の変化が気づかないうちに進行することを表現しています。
- 「雨垂れ石を穿つ」(あまだれいしをうがつ) 軒下から落ちる雨粒でも、長い間同じ場所に落ち続ければ、硬い石に穴を開けることができるという意味。
ヘラクレイトス(Heraclitus)の波乱万丈な生い立ち
ヘラクレイトス(紀元前535年頃 – 紀元前475年頃)は、古代ギリシアの哲学者であり、「万物は流転する」という哲学を提唱しました。彼の思想は、後世のプラトンやヘーゲルといった哲学者に大きな影響を与えましたが、彼自身は、その難解な言葉と、孤独な生活から、「暗い人」と呼ばれました。
幼少期と孤独な思想家
ヘラクレイトスは、小アジアのイオニア地方にあるエフェソスという都市で、貴族の家庭に生まれました。彼は、王位を弟に譲り、一人で森にこもって哲学を考えました。彼は、当時の人々や他の哲学者たちを軽蔑し、孤独な生活を送ったと伝えられています。
万物の流転
彼は、この世のすべてのものは、「火」を根源とし、絶えず変化し続けていると考えました。彼は、この変化を、「ロゴス(logos)」という、宇宙を支配する普遍的な法則によって説明しようとしました。しかし、彼の思想は、当時の人々には理解されませんでした。
謎に包まれた死と遺産
ヘラクレイトスは、その死に方も謎に包まれています。彼は、体を泥で固め、犬に襲われたという奇妙な説や、病死したという説など、様々な逸話が残されています。 彼の著作は、断片的にしか残っていませんが、その思想は、後世の哲学者たちによって再評価されました。特に、ヘーゲルは、ヘラクレイトスの「変化」の哲学を、自身の弁証法の基礎としました。 ヘラクレイトスの生涯は、孤独な探求と、真実を探し続けた物語です。彼の言葉は、私たちに、この世に不変なものはないという真理を教えてくれます。
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心に響く英語ことわざ(653)米国の自動車王ヘンリー・フォードの名言 There are no big problems, there are just a lot of little problems.(どんな困難な問題でも分割して考える)
https://www.eionken.co.jp/note/there-are-no-big-problems/
心に響く英語ことわざ(655)「純粋理性批判」で有名なドイツの哲学者カントの名言 All our knowledge begins with the senses, proceeds then to the understanding, and ends with reason. There is nothing higher than reason.(知は力なり)
https://www.eionken.co.jp/note/all-our-knowledge-begins/
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。
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