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公開日
2025.09.10
更新日
2025.09.10

心に響く英語ことわざ(660)古代ローマの基礎を築いたユリウス・カエサルの名言 Men are nearly always willing to believe what they wish.(自分が信じたいこと)
“Men are nearly always willing to believe what they wish.”
直訳は「人は、自分が願うことを信じようとする傾向が、ほとんど常にある」で、似た意味のことわざに「蓼食う虫も好き好き」があります。
ユリウス・カエサル(Julius Caesar)の名言 Men are nearly always willing…の意味
この言葉は、古代ローマの軍人、政治家であるガイウス・ユリウス・カエサルが、「人間の心理的傾向」について述べたものです。彼は、人々が、客観的な事実や論理よりも、自分にとって都合の良い情報や、信じたいことを優先して受け入れるという、人間の本質的な弱点を鋭く指摘しています。
この言葉が意味すること
この名言は、「確証バイアス」という心理学的な概念を端的に表しています。
- 「what they wish」(彼らが願うこと) カエサルは、この言葉で、人々が、自分の利益、信念、あるいは感情に合致するものを「願う」ことを示しています。例えば、ある人が、特定の政治家が「良い人だ」と信じたいとき、その政治家にとって都合の良い情報だけを信じ、都合の悪い情報を無視する傾向があります。
- 「Men are nearly always willing to believe…」(人は、ほとんど常に信じようとする傾向がある) この部分が、この言葉の核心です。カエサルは、この傾向が、「ほとんど常に」見られる、人間の普遍的な特徴であると示唆しています。彼は、この人間の心理を巧みに利用し、大衆を味方につけ、権力を握っていきました。
似た意味の英語のことわざ
- “A picture is worth a thousand words.” (一枚の絵は、千の言葉に値する。) これは、視覚的な情報が、言葉よりも説得力を持つことを示しています。カエサルの言葉は、人々が、視覚的な情報だけでなく、自分の願望に合致する情報であれば、何でも信じやすいことを示しています。
- “The greatest deception men suffer is from their own opinions.” (人間が被る最大の欺瞞は、自分自身の意見から来る。) レオナルド・ダ・ヴィンチの言葉で、自分の先入観や偏見が、真実から目を背けさせる原因になるという点で、カエサルの思想と通じます。
- “There is nothing permanent except change.” (変化以外に不変なものはない。) これは、古代ギリシアの哲学者ヘラクレイトスの言葉で、カエサルの言葉は、その変化を、人々が自分の願望に合わせて解釈しようとする傾向があることを示唆しています。
似た意味の日本語のことわざ
- 「蓼食う虫も好き好き」(たでくうむしもすきずき) 人の好みは様々であるという意味で、カエサルの言葉が持つ、主観的な好みを排除することの重要性と通じます。
- 「我田引水」(がでんいんすい) 自分の都合の良いように物事を進めること。
- 「耳が痛い」(みみがいたい) 聞きたくないこと、都合の悪いことを言われて、聞くのが辛いという意味。
ユリウス・カエサル(Julius Caesar)の波乱万丈な生い立ち
ガイウス・ユリウス・カエサル(紀元前100年 – 紀元前44年)は、古代ローマの軍人、政治家であり、ローマ帝国の基礎を築いた人物です。彼は、その軍事的才能と、政治的手腕によって、ローマを世界最大の帝国へと導きました。
幼少期と政治家への道
紀元前100年、ローマの貴族階級に生まれました。彼は、若くして政治の世界に入り、その弁論術と、カリスマ性によって、すぐに頭角を現しました。 彼は、紀元前60年に、ポンペイウス、クラッススと「三頭政治」を形成し、ローマの政治を支配しました。
ガリア遠征と内戦
カエサルは、紀元前58年から、ガリア(現在のフランス)への遠征を開始しました。彼は、この遠征で、優れた軍事的才能を発揮し、ガリア全域をローマの支配下に置きました。 ガリア遠征で得た名声と軍事力を背景に、カエサルは、ライバルであったポンペイウスと対立し、ローマ内戦が勃発しました。彼は、ポンペイウスを破り、ローマの最高権力を握りました。
独裁と暗殺
カエサルは、終身独裁官となり、ローマの政治改革を推し進めました。しかし、彼の権力集中は、共和主義者たちの反発を招き、紀元前44年、彼はブルートゥスらによって暗殺されました。 ユリウス・カエサルの生涯は、軍事的才能と、政治的手腕、そして、人間の心理を巧みに操ることで、世界を変えた物語です。彼の言葉は、私たちに、人間の本質的な弱点を、冷静に見抜くことの重要性を教えてくれます。
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心に響く英語ことわざ(659)米国の石油王ジョン・D・ロックフェラーの名言 I always tried to turn every disaster into an opportunity.(「転んでもただでは起きぬ)
https://www.eionken.co.jp/note/i-always-tried-to-turn/
心に響く英語ことわざ(661)道教開祖の老子の名言 To see things in the seed, that is genius.(先見の明)
https://www.eionken.co.jp/note/to-see-things-in-the-seed/
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。
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