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公開日
2025.09.11
更新日
2025.09.12

心に響く英語ことわざ(667)交流電気システムを考案した米国の発明家ニコラ・テスラの名言 Our virtues and our failings are inseparable, like force and matter. When they separate, man is no more.(美徳と欠点は共存)
“Our virtues and our failings are inseparable, like force and matter. When they separate, man is no more.”
直訳は「私たちの美徳と欠点は、力と物質のように切り離せない。それらが分かたれたとき、人間はもはや存在しない」で、似た意味のことわざに「人間万事塞翁が馬」があります。
ニコラ・テスラ(Nikola Tesla)の名言 Our virtues and our failings…の意味
この言葉は、発明家、電気技師であるニコラ・テスラが、「人間の本質」について述べたものです。彼は、人間の美点(virtues)と欠点(failings)が、「力(force)」と「物質(matter)」のように、決して切り離せないものであり、両方が存在することによって、人間は人間たり得ると説いています。
この言葉が意味すること
この名言は、「善と悪、光と影」が共存する、人間の複雑な性質を強調しています。
- 「Our virtues and our failings are inseparable, like force and matter.」(私たちの美徳と欠点は、力と物質のように切り離せない。) テスラは、この言葉で、物理学の法則を例に挙げています。宇宙に存在するすべての物質は、何らかの力と結びついています。彼は、この関係を、人間の内面にも当てはめています。私たちの「美徳」(親切さ、勇気など)と「欠点」(傲慢さ、怠惰さなど)は、一人の人間の中で、常に共存し、相互に影響し合っていると説いています。
- 「When they separate, man is no more.」(それらが分かたれたとき、人間はもはや存在しない。) この部分が、この言葉の核心です。テスラは、もし人間から、欠点が完全に分離され、美徳だけが残ったとしたら、その人間はもはや「人間」ではなくなると示唆しています。彼は、欠点があるからこそ、私たちは学び、成長し、そして、より良い人間になろうと努力するのです。
まとめ
ニコラ・テスラのこの言葉は、私たちに「自分の欠点を受け入れること」の重要性を教えてくれます。完璧な人間など存在せず、私たちの美点と欠点の両方が、私たちをユニークな存在にしているのです。
似た意味の英語のことわざ
- “The greatest deception men suffer is from their own opinions.” (人間が被る最大の欺瞞は、自分自身の意見から来る。) レオナルド・ダ・ヴィンチの言葉で、自分の先入観や偏見が、他者を正しく理解することを妨げるという点で、テスラの思想と通じます。
- “Better three hours too soon than a minute too late.” (1分遅れるよりも、3時間早く着く方が良い。) これはウィリアム・シェイクスピアの名言で、テスラの言葉とは直接的な関連性はありません。
- “Where there is a will, there is a way.” (意志あるところに道は開ける。) これは、強い意志や決意があれば、必ず成功への道が見つかるという意味で、その意志は、美徳と欠点の両方から生まれます。
似た意味の日本語のことわざ
- 「人間万事塞翁が馬」(にんげんばんじさいおうがうま) 人生の幸不幸は予測できないという意味で、一見不幸に見えることが、後に幸福につながる可能性を示しています。テスラの言葉は、この幸福と不幸(美徳と欠点)が、切り離せないものであることを示唆しています。
- 「蓼食う虫も好き好き」(たでくうむしもすきずき) 人の好みは様々であるという意味で、テスラの言葉が持つ、主観的な好みを排除することの重要性と通じます。
- 「人生の光と影」(じんせいのひかりとかげ) 人生には、良い面と悪い面の両方があるという意味。
ニコラ・テスラ(Nikola Tesla)の波乱万丈な生い立ち
ニコラ・テスラ(1856-1943)は、セルビア系アメリカ人の発明家、電気技師であり、交流電気(AC)システムの開発に貢献しました。彼は、エジソンと並ぶ、電気時代の偉大な天才として知られています。
幼少期と発明への情熱
1856年、現在のクロアチアで生まれました。彼は、幼い頃から、驚くべき記憶力と、発明への情熱を持っていました。 彼は、ヨーロッパの大学で電気工学を学び、その後、アメリカへ渡りました。
エジソンとの確執と交流電流の普及
テスラは、アメリカで、トーマス・エジソンの会社に雇われました。しかし、彼は、エジソンが主張する直流電気(DC)システムよりも、交流電気(AC)システムの方が優れていると信じており、両者は激しく対立しました。 テスラは、エジソンと袂を分かち、自身の交流電気システムの普及に尽力しました。彼は、ジョージ・ウェスティングハウスといった実業家の支援を受け、最終的に、交流電気システムが、世界中に普及しました。
晩年と遺産
テスラは、晩年、経済的に苦しい生活を送りました。彼は、ワイヤレス電力伝送や、遠隔操作といった、多くの画期的なアイデアを考案しましたが、そのほとんどが、彼の死後、ようやく実現しました。 彼は、1943年、86歳で亡くなりました。 ニコラ・テスラの生涯は、天才的な才能と、世間から理解されない苦悩に満ちたものでした。彼の言葉は、私たちに、人間は、その美点と欠点の両方を受け入れることによって、真に生きることができるという、深い教訓を与え続けています。
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心に響く英語ことわざ(666)フランス皇帝だったナポレオン・ボナパルトの名言 A leader is a dealer in hope.(リーダーは希望を与える)
https://www.eionken.co.jp/note/a-leader-is-a-dealer/
心に響く英語ことわざ(668)古代ギリシアの哲学者ソクラテスの名言 False words are not only evil in themselves, but they infect the soul with evil.(人を呪わば穴二つ)
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著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。