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公開日
2025.09.12
更新日
2025.09.12

心に響く英語ことわざ(669)実存主義の祖でデンマークの哲学者キェルケゴールの名言 Patience is necessary, and one cannot reap immediately where one has sown.(石の上にも三年)
“Patience is necessary, and one cannot reap immediately where one has sown.”
直訳は「忍耐が必要である。そして人は、種を蒔いた場所で、すぐに刈り取ることはできない」で、似た意味のことわざに「石の上にも三年」があります。
セーレン・キェルケゴール(Soren Kierkegaard)の名言 Patience is necessary…の意味
この言葉は、デンマークの哲学者であるセーレン・キェルケゴールが、「人生における忍耐の重要性」について述べたものです。彼は、努力(種を蒔く)と結果(刈り取る)の間には、必ず時間的な隔たりがあり、その間を耐え抜く「忍耐(patience)」こそが、成功に不可欠であると説いています。
この言葉が意味すること
この名言は、「因果応報の時間差」を強調しています。
- 「Patience is necessary」(忍耐が必要である) キェルケゴールは、この言葉で、忍耐が、単なる美徳ではなく、人生の目標を達成するための「必要条件」であると述べています。彼は、現代社会の即時的な満足を求める風潮を批判し、本当に価値あるものは、時間をかけて、地道に築き上げられるものだと考えていました。
- 「and one cannot reap immediately where one has sown.」(そして人は、種を蒔いた場所で、すぐに刈り取ることはできない) この部分が、この言葉の核心です。キェルケゴールは、農作業を例に挙げています。農家は、種を蒔いた後、それがすぐに実ることを期待しません。彼らは、水やりや世話を続け、長い時間をかけて、初めて収穫を手にします。彼は、このプロセスを、人生におけるすべての努力に当てはめています。私たちが、何かを成し遂げようとするとき、努力の直後に結果を求めないことの重要性を説いています。
似た意味の英語のことわざ
- “A journey of a thousand miles begins with a single step.” (千里の道も一歩から。) これは、どんなに大きな目標でも、最初の一歩から始まるという意味で、キェルケゴールの言葉と通じます。
- “Better three hours too soon than a minute too late.” (1分遅れるよりも、3時間早く着く方が良い。) これはウィリアム・シェイクスピアの名言で、時間や準備の重要性を説いていますが、キェルケゴールの言葉は、その準備期間に、忍耐が不可欠であることを示唆しています。
- “Genius is patience.” (天才とは忍耐である。) これは、アイザック・ニュートンの名言で、努力と忍耐の積み重ねが、才能を超えることを示しています。
似た意味の日本語のことわざ
- 「継続は力なり」(けいぞくはちからなり) 何事も続けていれば、それが力となり、やがて成功につながるという意味。キェルケゴールの言葉を的確に表す日本語です。
- 「雨垂れ石を穿つ」(あまだれいしをうがつ) 軒下から落ちる雨粒でも、長い間同じ場所に落ち続ければ、硬い石に穴を開けることができるという意味。
- 「石の上にも三年」(いしのうえにもさんねん) 冷たい石の上にも三年座り続ければ、温かくなるように、我慢強く努力を続ければ、必ず成功するという意味。
セーレン・キェルケゴール(Soren Kierkegaard)の波乱万丈な生い立ち
セーレン・キェルケゴール(1813-1855)は、デンマークの哲学者、思想家であり、実存主義の祖の一人と見なされています。彼は、その生涯を通じて、キリスト教、哲学、そして人間存在の「不安(Angst)」について深く考察しました。
幼少期と哲学への道
1813年、コペンハーゲンの裕福な家庭に生まれました。彼は、幼い頃から、憂鬱な性格であり、孤独を好みました。彼は、コペンハーゲン大学で神学を学びましたが、当時の形式的なキリスト教に疑問を抱きました。 彼は、その後、哲学の研究に没頭し、『不安の概念』や『死に至る病』といった、彼の代表作となる著作を執筆しました。これらの著作で、彼は、人間が、自己の自由な選択によって、自らの存在を築き上げなければならないという、実存主義の基本的な思想を提示しました。
婚約破棄と「不安」
キェルケゴールは、生涯、結婚しませんでした。彼は、レギーネ・オルセンという女性と婚約しましたが、彼は、彼女を幸せにできないと感じ、自ら婚約を破棄しました。この出来事は、彼の生涯に大きな影響を与え、彼の哲学の根幹である「不安」や「絶望」の概念を深めました。
晩年と遺産
彼は、晩年、当時のデンマーク国教会を激しく批判しました。彼は、教会の腐敗と、形式的な信仰を非難し、真の信仰とは、個人的な情熱と献身から生まれるべきだと主張しました。 1855年、彼は42歳で亡くなりました。 セーレン・キェルケゴールの生涯は、孤独な探求と、真理を探し続けた物語です。彼の言葉は、私たちに、人生の成功は、すぐに得られるものではなく、忍耐という名の努力の積み重ねによって、初めて達成されるという、深い教訓を与え続けています。
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著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。