- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 204.心に響く英語ことわざ2
公開日
2025.09.17
更新日
2025.09.17

心に響く英語ことわざ(692)「戦争と平和」で有名なロシアの文豪トルストイの名言 Joy can only be real if people look upon their life as a service and have a definite object in life outside themselves and their personal happiness.(利他の心)
“Joy can only be real if people look upon their life as a service and have a definite object in life outside themselves and their personal happiness.”
直訳は「喜びは、人々が自分の人生を奉仕と見なし、自分自身と個人的な幸福の外にある、明確な目的を持つときに、初めて本物となる」で、これは、真の幸福が、自己中心的ではない「他者への奉仕」と、人生における「明確な目的」によって得られるという、トルストイの深い洞察を表現したものです。
レフ・トルストイ(Leo Tolstoy)の名言 Joy can only be real if…の意味
この言葉は、ロシアの小説家、思想家であるレフ・トルストイが、「人生における真の喜び」について述べたものです。彼は、個人の欲望や、自己満足を追求するだけでは、真の幸福は得られないと警告しています。代わりに、自分を超えた目的のために生き、他人を助けることに、人生の本当の喜びがあるという、利他的な哲学を説いています。
この言葉が意味すること
この名言は、「利他主義と人生の目的」という哲学を強調しています。
- 「look upon their life as a service」(自分の人生を奉仕と見なす) トルストイは、この言葉で、「奉仕(service)」という行為に、特別な価値を見出しています。彼は、人生が、自己の利益を追求するためだけにあるのではなく、他者や社会に貢献するためのものであると考えていました。この奉仕の精神を持つことによって、私たちは、人生に、より深い意味と目的を見出すことができます。
- 「and have a definite object in life outside themselves and their personal happiness.」(そして自分自身と個人的な幸福の外にある、明確な目的を持つ) この部分が、この言葉の核心です。トルストイは、「自分自身と個人的な幸福の外(outside themselves and their personal happiness)」にある「明確な目的(definite object)」こそが、真の喜びをもたらすと説いています。この目的は、お金を稼ぐことや、名声を得ることではありません。それは、人々を助けること、社会をより良くすること、あるいは、芸術や科学に貢献することといった、自分を超えた、より大きな目標のことです。
まとめ
レフ・トルストイのこの言葉は、私たちに「人生の目的を、自己の外に見つけること」の重要性を教えてくれます。真の喜びは、自分自身のために生きるのではなく、他者のために生きることによって得られるのです。
似た意味の英語のことわざ
- “The wise man does not lay up his own treasures. The more he gives to others, the more he has for his own.” (賢者は、自分自身の宝を蓄えない。他者に与えれば与えるほど、自分自身のものが増える。) これは、老子の名言で、トルストイの言葉が持つ、「与えること」が、最終的に「受け取ること」につながるという思想を的確に表すことわざです。
- “Where there is a will, there is a way.” (意志あるところに道は開ける。) これは、強い意志や決意があれば、必ず成功への道が見つかるという意味で、その意志は、人生の明確な目的から生まれます。
- “Better three hours too soon than a minute too late.” (1分遅れるよりも、3時間早く着く方が良い。) これはウィリアム・シェイクスピアの名言で、トルストイの言葉とは直接的な関連性はありません。
似た意味の日本語のことわざ
- 「情けは人の為ならず」(なさけはひとのためならず) 人に親切にすることは、いずれ自分に良い報いとなって返ってくるという意味。トルストイの言葉が持つ、「他者への奉仕」が、自分自身の喜びにつながるという思想と通じます。
- 「為すべきを為す」(なすべきをなす) 目先の利益や欲望を気にせず、自分がすべきだと信じる正しいことを行う、という意味。
- 「蓼食う虫も好き好き」(たでくうむしもすきずき) 人の好みは様々であるという意味で、トルストイの言葉とは直接的な関連性はありません。
レフ・トルストイ(Leo Tolstoy)の波乱万丈な生い立ち
レフ・トルストイ(1828-1910)は、ロシアの小説家、思想家であり、『戦争と平和』や『アンナ・カレーニナ』といった不朽の名作を生み出しました。彼は、その生涯を通じて、キリスト教、道徳、そして社会のあり方について、深く考察しました。
幼少期と文学への道
1828年、ロシアの貴族の家庭に生まれました。彼は、幼い頃に両親を亡くし、孤独な少年時代を過ごしました。 彼は、その後、カザン大学に入学しましたが、その形式的な教育に疑問を抱き、中退しました。 彼は、その後、軍人として、クリミア戦争に参加しました。この戦争の経験が、彼の後の作品に大きな影響を与え、特に『戦争と平和』では、戦争の悲惨さと、人間の運命が深く描き出されています。
晩年と哲学への傾倒
トルストイは、文学者として成功を収めた後、哲学と宗教に深く傾倒しました。彼は、「非暴力」や「簡素な生活」といった、独自の思想を提唱し、自らも、農民と同じような生活を送るようになりました。 彼は、晩年、『イワン・イリイチの死』といった、人生の意味や、死の恐怖といったテーマを扱った作品を執筆しました。彼は、1910年に82歳で亡くなりました。 レフ・トルストイの生涯は、文学と哲学という、二つの分野で、真理を探求し、そして、その思想を、社会に訴え続けた物語です。彼の言葉は、私たちに、人生の喜びは、自己の外にある、より大きな目的から生まれるという、深い教訓を与え続けています。
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心に響く英語ことわざ(691)道教開祖の老子の名言 The wise man does not lay up his own treasures. The more he gives to others, the more he has for his own.(情けは人の為ならず)
https://www.eionken.co.jp/note/the-wise-man-does-not-lay-up/
心に響く英語ことわざ(693)「モナ・リザ」で有名なイタリアのルネサンス期の芸術家レオナルド・ダ・ヴィンチの名言 Just as food eaten without appetite is a tedious nourishment, so does study without zeal damage the memory by not assimilating what it absorbs.(学ぶことへの情熱が重要)
https://www.eionken.co.jp/note/ust-as-food-eaten-without-appetite/
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。
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