- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 204.心に響く英語ことわざ2
公開日
2025.09.29
更新日
2025.09.29

心に響く英語ことわざ(727)実存主義で有名なデンマークの哲学者キェルケゴールの名言At the bottom of enmity between strangers lies indifference.(他者への無関心が、敵意を生む)
“At the bottom of enmity between strangers lies indifference.”
直訳は「見知らぬ人々の間の敵意の底には、無関心がある」で、これは、「敵意」という感情が、憎しみや怒りといった直接的な感情から生まれるのではなく、「無関心」という、他者への関心の欠如から生じるという、セーレン・キェルケゴールの深い洞察を表現しています。
セーレン・キェルケゴール(Soren Kierkegaard)の名言 At the bottom of enmity…の意味
この言葉は、デンマークの哲学者であるセーレン・キェルケゴールが、「人間関係の本質」について述べたものです。彼は、私たちが、見知らぬ人に対して、「敵意(enmity)」を抱くとき、その根底には、その人への「無関心(indifference)」という、精神的な空白があると説いています。
この言葉が意味すること
この名言は、「無関心と敵意の関係」を強調しています。
- 「At the bottom of enmity between strangers」(見知らぬ人々の間の敵意の底には) キェルケゴールは、この言葉で、「敵意」が、「見知らぬ人々(strangers)」の間で、特に強く存在することを指摘しています。彼は、私たちが、よく知らない人に対して、「敵意」を抱くのは、その人のことを、「人間」として、ではなく、「ただの他人」としてしか見ていないからだと考えていました。
- 「lies indifference.」(無関心がある) この部分が、この言葉の核心です。キェルケゴールは、「無関心」を、「敵意」の「底(bottom)」にあるものとしています。彼は、私たちが、他者に対して「無関心」であるとき、私たちは、その人の「個性」や「苦悩」を理解しようとせず、その結果、その人を、「敵」として、見てしまうと説いています。
似た意味の英語のことわざ
- “The greatest good is the knowledge of oneself.” (最大の善は、自己を知ることである。) これはソクラテスの言葉で、キェルケゴールの言葉が持つ、「内面的な真理を探求する」という精神と通じます。
- “Where there is a will, there is a way.” (意志あるところに道は開ける。) これは、強い意志や決意があれば、必ず成功への道が見つかるという意味で、その道は、無関心を打ち破る意志から開かれます。
- “A journey of a thousand miles begins with a single step.” (千里の道も一歩から。) これは、どんなに大きな目標でも、最初の一歩から始まるという意味で、その一歩は、他者に興味を持つという小さな行動かもしれません。
似た意味の日本語のことわざ
- 「口は災いの元」(くちはわざわいのもと) 不用意な発言や嘘が、身の破滅を招く原因となるという意味。
- 「為すべきを為す」(なすべきをなす) 目先の利益や欲望を気にせず、自分がすべきだと信じる正しいことを行う、という意味。
セーレン・キェルケゴール(Soren Kierkegaard)の波乱万丈な生い立ち
セーレン・キェルケゴール(1813-1855)は、デンマークの哲学者、神学者、そして作家であり、「実存主義の父」と見なされています。彼は、その生涯を通じて、孤独な探求を続け、その思想は、後世に、深い影響を与えました。
幼少期と哲学への道
1813年、コペンハーゲンで、裕福な商人の家庭に生まれました。彼は、その生涯を通じて、多くの著作を執筆しましたが、そのほとんどは、匿名で発表されました。 彼は、その後、コペンハーゲン大学で、神学と哲学を学びました。彼は、ヘーゲルといった、当時の主流な哲学に、批判的な立場を取り、「個人」の「実存」という、独自の思想を提唱しました。
著作と「実存主義」の確立
キェルケゴールは、『あれか、これか』や『死に至る病』といった、多くの著作を執筆しました。彼の著作は、「絶望」や「信仰」といった、人間の内面的な苦悩を、深く描き出しています。 彼は、「実存主義」を、「個人の自由な選択と、責任」を重視する哲学として確立しました。
晩年と遺産
キェルケゴールは、その後、公的な活動から身を引き、孤独な生活を送りました。彼は、1855年に42歳で亡くなりました。 セーレン・キェルケゴールの生涯は、真理と知識を追求し、そして、その思想を、著作という形で、後世に残した物語です。彼の言葉は、私たちに、他者への無関心が、敵意を生むという、深い教訓を与え続けています。
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心に響く英語ことわざ(726)古代ギリシアの哲学者ソクラテスの名言 One who is injured ought not to return the injury, for on no account can it be right to do an injustice; and it is not right to return an injury, or to do evil to any man, however much we have suffered from him.(「悪」に対してでも「善」で応じるべき)
https://www.eionken.co.jp/note/one-who-is-injured-ought-not/
心に響く英語ことわざ(728)米国の発明王トーマス・A・エジソンの名言 The reason a lot of people do not recognize opportunity is because it usually goes around wearing overalls looking like hard work.(好機を掴むにはかなりの労力が必要)
https://www.eionken.co.jp/note/the-reason-a-lot-of-people/
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。