- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 204.心に響く英語ことわざ2
公開日
2025.10.10
更新日
2025.10.10

心に響く英語ことわざ(755)古代ギリシアの哲学者アリストテレスの名言 The ideal man bears the accidents of life with dignity and grace, making the best of circumstances.(真の品格は、平穏な時ではなく、不運な状況における心の持ち方によって決まる)
“The ideal man bears the accidents of life with dignity and grace, making the best of circumstances.”
直訳は「理想的な人物は、人生の偶然の出来事を、威厳と優雅さをもって耐え忍び、状況を最大限に活用する」で、これは、「理想的な人格」の真の証が、順風満帆な時ではなく、不測の困難に直面した際の「精神的な態度」にあるという、アリストテレスの深い洞察を表現しています。
名言の意味:困難における威厳と主体性
この言葉は、古代ギリシアの哲学者アリストテレスが、「徳と幸福(エウダイモニア)」の追求について述べたものです。彼は、運命や偶然の出来事(accidents of life)は避けられないものと認めつつも、それに対する人間の反応こそが、「徳(Virtue)」の本質であり、「理想的な人物(ideal man)」の証明であると説いています。
鍵となる要素
- Bears the Accidents of Life with Dignity and Grace(人生の偶然の出来事を、威厳と優雅さをもって耐え忍ぶ) 「accidents of life」は、予期せぬ不幸、困難、運命の巡り合わせを意味します。「威厳(dignity)」とは、自己の価値を保ち、感情に流されない自制心を指し、「優雅さ(grace)」とは、冷静で落ち着いた態度を指します。理想的な人物は、困難に直面しても、自己憐憫に陥らず、品位を失わないのです。
- Making the Best of Circumstances(状況を最大限に活用する) これは、単に耐え忍ぶだけでなく、積極的な行動の必要性を示しています。困難な状況を、学習や成長の機会と捉え、その状況の中で最善を尽くすという主体性を強調しています。
アリストテレスは、幸福(エウダイモニア)とは、外的な要因ではなく、この「徳に基づいた活動」によってのみ達成されると考えていました。
類似のことわざと教訓
似た意味の英語のことわざ
- “That which does not kill us makes us stronger.” (私たちを殺さないものは、私たちをより強くする。) フリードリヒ・ニーチェの言葉で、困難を成長の機会と捉える点で、「making the best of circumstances」の精神と通じます。
- “Where there is a will, there is a way.” (意志あるところに道は開ける。) 不運に屈せず、最善を尽くすという強い意志が、困難を乗り越える鍵であるという点で通じます。
似た意味の日本語のことわざ
- 「艱難汝を玉にす」(かんなんなんをたまにす) 苦労や困難が、人を磨き、立派な人物に成長させるという意味。困難に威厳をもって耐えることの価値を説きます。
- 「為すべきを為す」(なすべきをなす) 運命に左右されず、状況の中で自らが行うべき最善の行動を追求するという点で通じます。
アリストテレス(Aristotle)の波乱万丈な生い立ち
アリストテレス(紀元前384年 – 紀元前322年)は、古代ギリシアの哲学者であり、プラトンの弟子、そしてアレクサンドロス大王の家庭教師でした。
幼少期と哲学への道
紀元前384年、ギリシア北部のスタゲイロスで、マケドニア王国の宮廷医師の家庭に生まれました。彼は、その後、アテナイへ渡り、プラトンのアカデメイアで、学びました。 彼は、その後、アテナイを離れ、アレクサンドロス大王の家庭教師を務めました。これは、当時の世界で最も運命的な出会いの一つでした。
独自の学派の設立と遺産
アリストテレスは、アテナイに戻った後、独自の学派であるリュケイオン(逍遥学派)を設立しました。彼は、論理学、倫理学、政治学、そして生物学といった、多岐にわたる分野で、西洋の思想に、深い影響を与えました。彼の思想は、後に中世のスコラ学の基盤となり、1500年以上にわたって、ヨーロッパの知の体系を支配しました。
アリストテレスの生涯は、困難な時代に、不屈の精神と独自の思考によって、いかに世界を変革できるかを示す物語です。彼の言葉は、私たちに、真の品格は、平穏な時ではなく、不運な状況における心の持ち方によって決まるという、普遍的な教訓を与え続けています。
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心に響く英語ことわざ(754)奴隷解放に尽力した米国大統領エイブラハム・リンカーンの名言 Towering genius disdains a beaten path. It seeks regions hitherto unexplored. (真の偉大さは、既存の道を捨て、自ら新しい道を開拓する勇気にある)
https://www.eionken.co.jp/note/towering-genius-disdains/
心に響く英語ことわざ(756)米国建国に尽力したベンジャミン・フランクリンの名言 Remember not only to say the right thing in the right place, but far more difficult still, to leave unsaid the wrong thing at the tempting moment. (感情が理性を上回る時、間違ったことを言わない)
https://www.eionken.co.jp/note/remember-not-only-to-say-the-right-thing/
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。