- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 204.心に響く英語ことわざ2
公開日
2025.10.13
更新日
2025.10.14

心に響く英語ことわざ(762)米国自動車王ヘンリー・フォードの名言 Life is a series of experiences, each one of which makes us bigger, even though sometimes it is hard to realize this. For the world was built to develop character, and we must learn that the setbacks and grieves which we endure help us in our marching onward.(人生のすべての出来事が、私たちを「より大きな存在」にするためにある)
“Life is a series of experiences, each one of which makes us bigger, even though sometimes it is hard to realize this. For the world was built to develop character, and we must learn that the setbacks and grieves which we endure help us in our marching onward.”
直訳は「人生とは一連の経験であり、その一つ一つが私たちを大きくするが、時にはそれを悟ることが難しい。なぜなら、世界は人格を発達させるために造られており、私たちは、耐え忍ぶ挫折や悲嘆が、前進を助けることを学ばなければならないからである」で、これは、人生の困難を単なる不運としてではなく、「人格形成」という壮大な目的のための不可欠な教材として捉える、ヘンリー・フォードの深い洞察を表現しています。
名言の意味:経験と困難による人格の成長
この言葉は、フォード・モーター・カンパニーの創設者であるヘンリー・フォードが、「人生の目的と逆境の価値」について述べたものです。彼は、自身の革新的なビジネスの道のり、そして数多くの失敗と困難を通じて、人生が「経験の学校」であり、最も辛い瞬間こそが最も重要な成長の機会であるという、楽観的かつ哲学的な信念を示しています。
鍵となる要素
- Life is a Series of Experiences, Each One of Which Makes Us Bigger(人生とは一連の経験であり、その一つ一つが私たちを大きくする) フォードは、「人生」を静的な状態ではなく、継続的なプロセス(series of experiences)として捉えています。成功だけでなく、失敗や挫折も、すべてが自己の拡大(makes us bigger)という目的に資する教材であるという、成長志向の視点です。
- The World Was Built to Develop Character(世界は人格を発達させるために造られている) これが、フォードの世界観の核心です。彼は、世界を「人格(character)開発」のための壮大な舞台、あるいは仕組みとして捉えています。つまり、苦難は偶然の産物ではなく、人間性を磨くという目的を持って存在していると解釈しています。
- Setbacks and Grieves Which We Endure Help Us in Our Marching Onward(私たちが耐え忍ぶ挫折や悲嘆が、前進を助ける) 「挫折(setbacks)」や「悲嘆(grieves)」は、立ち止まる理由ではなく、「前進(marching onward)」するための推進力であると再定義されています。困難に耐え忍ぶという行為自体が、精神的な強さと新たな教訓を生み出し、次の段階へと進むための助けとなるのです。
この名言は、困難から目を背けるのではなく、それを乗り越えることこそが、真の人生の価値であるという、力強いメッセージを私たちに伝えています。
類似のことわざと教訓
似た意味の英語のことわざ
- “That which does not kill us makes us stronger.” (私たちを殺さないものは、私たちをより強くする。) フリードリヒ・ニーチェの言葉で、逆境を成長の機会と捉えるという点で、フォードの思想と強く共鳴します。
- “Where there is a will, there is a way.” (意志あるところに道は開ける。) 困難の中でも前進しようとする意志が、新たな道を切り開くという点で通じます。
- “The greatest good is the knowledge of oneself.” (最大の善は、自己を知ることである。) 困難な経験を通じて、自己の本質と潜在能力を知るという点で通じます。
似た意味の日本語のことわざ
- 「艱難汝を玉にす」(かんなんなんをたまにす) 苦労や困難が、人を磨き、立派な人物に成長させるという意味。「世界は人格を発達させるために造られている」という教えを端的に表します。
- 「七転び八起き」(ななころびやおき) 何度失敗しても、そのたびに立ち上がって努力し続けるという意味で、挫折を前進の糧とする精神と通じます。
ヘンリー・フォード(Henry Ford)の波乱万丈な生い立ち
ヘンリー・フォード(1863-1947)は、アメリカの企業家、発明家であり、フォード・モーター・カンパニーの創設者です。
幼少期と自動車産業への挑戦
1863年、ミシガン州の農家の家庭に生まれました。彼は、幼い頃から、機械に強い関心を持っていました。 彼は、その後、デトロイトへ移り、ガソリンエンジンの開発に没頭しましたが、初期の自動車事業は何度も失敗を繰り返しました。特に、最初の二つの会社は倒産しており、彼のキャリアは、まさに「挫折と悲嘆(setbacks and grieves)」の連続でした。
流れ作業の確立と労働者への信念
フォードは、1903年にフォード・モーター・カンパニーを設立し、1908年に「モデルT」を発表しました。彼は、流れ作業(assembly line)を導入することで、自動車の生産コストを大幅に下げ、自動車の大衆化を可能にしました。 彼は、労働者に高い賃金を支払うという、当時の常識を覆す決断を下しましたが、これは、「人間(人格)の成長」への信念に基づくものでした。
フォードの生涯は、困難な経験を学びと成長の機会として捉え、不屈の精神で、産業と社会を変革した物語です。彼の言葉は、私たちに、人生のすべての出来事が、私たちを「より大きな存在」にするためにあるという、力強い教訓を与えてくれます。
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心に響く英語ことわざ(761)米国建国に尽力した初代大統領ジョージ・ワシントンの名言 A slender acquaintance with the world must convince every man that actions, not words, are the true criterion of the attachment of friends.(人間関係の真実は、約束ではなく、具体的な実践の中に見いだされる)
https://www.eionken.co.jp/note/a-slender-acquaintance/
心に響く英語ことわざ(763)古代ギリシアの哲学者ヘラクレイトスの名言 A man’s character is his fate.(人格こそが人生の結果を必然的に導く)
https://www.eionken.co.jp/note/a-mans-character-is-his-fate/
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。
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