- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 204.心に響く英語ことわざ2
公開日
2025.10.19
更新日
2025.10.19

心に響く英語ことわざ(773)古代ギリシアの哲学者アリストテレスの名言 Wishing to be friends is quick work, but friendship is a slow ripening fruit.(真の友情は時間と誠実さという試練を経て初めて得られる)
“Wishing to be friends is quick work, but friendship is a slow ripening fruit.”
直訳は「友人になりたいと願うことは素早い仕事だが、友情はゆっくりと熟す果実である」で、これは、「真の友情」が、一瞬の感情や意図によって築かれるのではなく、時間と経験という継続的な試練を通じて深まる、貴重なものであるという、アリストテレスの深い洞察を表現しています。
名言の意味:友情の深まりは時間に比例する
この言葉は、古代ギリシアの哲学者アリストテレスが、「人間関係の本質と徳」について述べたものです。彼は、友情を、『ニコマコス倫理学』の中で「最も必要なもの」の一つとして詳細に論じています。この名言は、表面的な知人関係と真の友情を明確に区別し、本物の関係を築くには、時間という要素が不可欠であると説いています。
鍵となる要素
- Wishing to be Friends is Quick Work(友人になりたいと願うことは素早い仕事だ) 「quick work」は、意図や感情が瞬時に生まれることを示しています。誰かに対して好意や関心を持つのは容易であり、すぐにできることです。しかし、この願望は、真の友情の始まりに過ぎません。
- Friendship is a Slow Ripening Fruit(友情はゆっくりと熟す果実である) これが、この教えの核心的な比喩です。
- Fruit(果実):友情が価値のある最終的な成果であることを示します。
- Slow Ripening(ゆっくりと熟す):真の友情には、時間が必要であることを強調しています。果実が十分な時間をかけて熟すことで甘くなるように、友情もまた、共通の経験、試練の共有、そして相互の信頼を積み重ねることで、深みと強さを増していきます。
アリストテレスは、真の友情とは、「徳に基づいた友情」であり、これはお互いの人格を尊重し、相手の幸福を願うという、最も深い形態の愛であると考えていました。
類似のことわざと教訓
似た意味の英語のことわざ
- “A friend in need is a friend indeed.” (困っている時の友こそ、真の友である。) 真の友情は、困難な状況という時間の試練を通じてのみ証明されるという点で通じます。
- “Where there is a will, there is a way.” (意志あるところに道は開ける。) 友情をゆっくりと育む意志が、その結実という道を開くという点で通じます。
似た意味の日本語のことわざ
- 「為すべきを為す」(なすべきをなす) 友情という大切な関係を育むために、時間と努力を費やすという主体的な行動の重要性を説きます。
アリストテレス(Aristotle)の波乱万丈な生い立ち
アリストテレス(紀元前384年 – 紀元前322年)は、古代ギリシアの哲学者であり、プラトンの弟子、そしてアレクサンドロス大王の家庭教師でした。
幼少期と哲学への道
紀元前384年、ギリシア北部のスタゲイロスで生まれました。彼は、その後、アテナイへ渡り、プラトンのアカデメイアで、約20年間、学びました。この長期間の師弟関係と友情の経験が、彼の人間関係に対する深い洞察の源泉となりました。
リュケイオンの設立と友情の哲学
アリストテレスは、アテナイに戻った後、独自の学派であるリュケイオン(逍遥学派)を設立しました。彼は、倫理学、政治学、生物学といった、多岐にわたる分野で体系的な知識を確立しました。 彼の『ニコマコス倫理学』には、快楽や利益に基づく一時的な友情と、徳に基づく永続的な真の友情を区別する、友情の哲学が詳細に記されています。
アリストテレスの言葉は、私たちに、真の友情とは、一夜にして成るものではなく、時間と誠実さという試練を経て初めて得られる、人生の最も甘い果実であるという、深い教訓を与えてくれます。
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https://www.eionken.co.jp/note/the-true-sign-of-intelligence/
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著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。
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