- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 204.心に響く英語ことわざ2
公開日
2025.10.20
更新日
2025.10.20

心に響く英語ことわざ(775)ブッダの名言 It is a man’s own mind, not his enemy or foe, that lures him to evil ways.(真の危険は欲望、怒り、無知といった煩悩に満ちた制御されていない心にある)
“It is a man’s own mind, not his enemy or foe, that lures him to evil ways.”
直訳は「人を悪の道へ誘い込むのは、敵や仇ではなく、その人自身の心である」で、これは、「苦悩」や「誤った行動」の真の源泉は外部の状況や他者にあるのではなく、自分自身の内面の制御されていない心にあるという、ブッダ(仏陀)の深い洞察を表現しています。
名言の意味:心の制御こそが最大の課題
この言葉は、仏教の開祖であるブッダ(釈迦、ガウタマ・シッダールタ)が、「苦悩の根源と個人の責任」について述べたものです。彼は、人々が不幸や過ちを外部の力(敵、運命、他者)のせいにしがちであるのに対し、真の危険は常に内側、すなわち欲望、怒り、無知といった煩悩に満ちた、制御されていない心にあると説いています。
鍵となる要素
- Not His Enemy or Foe(敵や仇ではなく) ブッダは、外部の脅威や対立が、私たちの行動を決定づけるという一般的な見方を明確に否定しています。他者や状況は、きっかけに過ぎません。
- It is a Man’s Own Mind That Lures Him to Evil Ways(人を悪の道へ誘い込むのは、その人自身の心である) これが、この教えの核心です。
- Own Mind(自分自身の心):煩悩(欲望、執着、怒り、無知)によって曇らされた心を指します。
- Lures Him to Evil Ways(悪の道へ誘い込む):心の制御を失うことによって、人は自己破壊的な行動や非道徳的な行為へと引き寄せられることを意味します。外の敵は肉体を傷つけるかもしれませんが、心の敵は魂を破壊するのです。
この名言は、心の制御(Mindfulness)と自己規律が、精神的な平安と倫理的な生活を送るための唯一の道であることを教えています。
類似のことわざと教訓
似た意味の英語のことわざ
- “The greatest good is the knowledge of oneself.” (最大の善は、自己を知ることである。) ソクラテスの言葉で、心の制御を始めるためには、まず自己の内面と弱さを深く知る必要があるという点で通じます。
- “He who controls others may be powerful, but he who masters himself is mightier still.” (他人を制御する者は力があるかもしれないが、自分自身を支配する者の方がさらに強力である。) 老子の言葉であり、外部の支配よりも自己の制御の優位性を説いています。
- “Holding on to anger is like grasping a hot coal… you are the one who gets burned.” (怒りに固執することは、熱い石炭を掴むようなもので、火傷を負うのはあなた自身だ。) ブッダの別の教えであり、内面の感情が自己破壊的な結果を招くことを示しています。
似た意味の日本語のことわざ
- 「為すべきを為す」(なすべきをなす) 外部の誘惑や内面の衝動に流されず、道徳的に正しい行動を選択するという主体性の重要性を説きます。
ブッダ(Buddha)の波乱万丈な生い立ち
ブッダ(ガウタマ・シッダールタ、紀元前563年頃 – 紀元前483年頃)は、古代インドの思想家であり、仏教の開祖です。彼は、内面的な苦悩の根絶を、生涯かけて追求しました。
王子としての生い立ちと出家
王子として裕福な環境で育ちましたが、「生・老・病・死」という、人生の普遍的な苦悩を目の当たりにし、外部の幸福が永続的ではないことを悟りました。 彼は、外部の敵や環境ではなく、苦悩の真の源泉が心の執着にあると確信し、出家して悟りを求めました。
悟りから教えの伝播へ
彼は、激しい苦行や快楽の両極端を避け、瞑想を通じて心の真実を探求しました。悟りを開いた後、彼は、苦悩を克服する唯一の道は、「八正道」や「中道」といった、心を正しく制御し、理性と道徳に基づく生活を送ることであると説きました。
ブッダの生涯は、外敵ではなく内なる敵(煩悩)との闘いであり、その勝利こそが真の解放と心の平安をもたらすという、普遍的な真理を体現しています。彼の言葉は、私たちに、人生の最大の戦場は自分自身の心の中にあるという、深い教訓を与え続けています。
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心に響く英語ことわざ(774)米国建国に尽力したベンジャミン・フランクリンの名言 Whatever is begun in anger ends in shame.(怒りは判断力を曇らせる)
https://www.eionken.co.jp/note/whatever-is-begun-in-anger/
心に響く英語ことわざ(776)儒教開祖の孔子の名言 I hear and I forget. I see and I remember. I do and I understand.(真の学習とは、頭の中だけで完結するものではなく、体を通じた経験によって達成される)
https://www.eionken.co.jp/note/i-hear-and-i-forget/
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。
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