- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 204.心に響く英語ことわざ2
公開日
2025.11.06
更新日
2025.11.07
心に響く英語ことわざ(816)「ひまわり」で有名なオランダの画家フィンセント・ファン・ゴッホの名言 In spite of everything I shall rise again: I will take up my pencil, which I have forsaken in my great discouragement, and I will go on with my drawing. (いかなる苦境や精神的な絶望に直面しても、自己の使命に戻る)
“In spite of everything I shall rise again: I will take up my pencil, which I have forsaken in my great discouragement, and I will go on with my drawing.”
直訳は「すべてにもかかわらず、私は再び立ち上がるだろう。私は、大いなる落胆の中で見捨ててしまっていた鉛筆を手に取り、描画を続けるだろう」で、これは、オランダの画家フィンセント・ファン・ゴッホが、「絶望からの再生と創造への意志」について述べた、彼の人生と芸術の本質を表す力強い誓いの言葉です。いかなる苦境や精神的な絶望に直面しても、自己の使命に戻ることこそが、彼の存在意義であり、再生の道であるという不屈の精神を表現しています。
名言の意味:創造的な行為こそが生きる力である
この言葉は、ゴッホが精神的な病や経済的な困窮といった「すべて(Everything)」にもかかわらず、自らを救い出す唯一の方法が「描くこと」であるという彼の信念に基づいています。彼にとって、鉛筆や筆を取る行為は単なる趣味でなく、魂の叫びを表現し、自己の存在を正当化する「生きるための本能」でした。
鍵となる三つのステップ
- In Spite of Everything I Shall Rise Again(すべてにもかかわらず、私は再び立ち上がるだろう) 「すべて(Everything)」は、彼が経験した社会的な失敗、精神疾患、経済的な不遇、そして孤立を含みます。これらの圧倒的な困難に対し、「立ち上がる(Rise again)」という強い決意を表明しています。人生における敗北を認めつつも、魂は屈しないという意志の表明です。
- I Will Take Up My Pencil, Which I Have Forsaken in My Great Discouragement(大いなる落胆の中で見捨ててしまっていた鉛筆を手に取る) 「鉛筆を手に取る」という行為は、単なる動作でなく、自己の本質に立ち返る「原点回帰」と「自己との和解」を象徴しています。大きな落胆は、彼にとって最も大切なもの(創造)さえ手放させてしまうほどの絶望でしたが、その手放したものを再び掴むことが再生を意味します。
- And I Will Go on With My Drawing(そして、描画を続けるだろう) 継続(Go on)の意志を示しています。描くことは、彼の人生を動かすエンジンであり、この継続こそが彼にとっての希望であり、最も苦しい時期を乗り越えるための「存在の証明」でした。
この名言は、真の情熱と使命は、いかなる状況下でも人を立ち直らせる力を持ち、それを継続することこそが、人生を肯定する行為であるという、普遍的な教訓を与えてくれます。
類似の名言と教訓
似た意味の英語の名言
- “Our greatest glory is not in never falling, but in rising every time we fall.” (私たちの最大の栄光は、一度も転ばないことではなく、転ぶたびに立ち上がることである。) 孔子の言葉とされ、絶望(falling)に対しても「再び立ち上がる(rising again)」ことの価値と強さを強調しています。
- “The greatest man is he who chooses the right with invincible resolution; who resists the sorest temptation.” (最も偉大な人は、不屈の決意で正しさを選び、最も厳しい誘惑に抵抗する人である。) ヴィクトル・ユーゴーの言葉で、「すべてにもかかわらず」という困難な状況でも、自己の使命に忠実である「不屈の決意」の重要性を説きます。
似た意味の日本語のことわざ
- 「七転び八起き」(ななころびやおき) 何度失敗しても、その度に立ち上がることの重要性を説き、ゴッホの「再び立ち上がる」という決意と深く共鳴します。
フィンセント・ファン・ゴッホ(Vincent Van Gogh)の生い立ち
フィンセント・ファン・ゴッホ(1853-1890)は、オランダのポスト印象派の画家であり、生前は不遇と精神の病に苦しみました。
精神的な苦悩と創造への執念
1853年、オランダの牧師の家庭に生まれ、画家になる前は画廊の店員や伝道師を目指すなど、様々な職業で挫折を経験しました。彼が本格的に絵を描き始めたのは27歳からと遅く、その後のわずか10年間に彼の代表作の大半が生み出されました。 彼は生涯を通じて、精神的な不安定さ、貧困、そして人に理解されないという孤独に苦しみました。特に、アルルでのゴーギャンとの共同生活の破綻や、自身の精神発作といった「大いなる落胆」に直面するたびに、描画を一時的に「見捨て」てしまうことがありました。 しかし、彼は何度も精神病院に入院しながらも、「鉛筆を手に取り、描画を続ける」という行為によって、自己の存在を繋ぎ止めました。この名言は、芸術が彼にとって、単なる表現手段でなく、生きる「自己治療」であり、再生の儀式であったことを物語っています。
ゴッホの言葉は、絶望の淵に立たされているときでも、自分の最も大切な「何か」を再び掴み、続けることが、苦しみを乗り越える唯一の道であるという力強い希望を与えてくれます。
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心に響く英語ことわざ(815)「レ・ミゼラブル」で有名なフランスの文豪ヴィクトル・ユーゴーの名言 One believes others will do what he will do to himself.(他者への期待や疑念は、その人の投影)
https://www.eionken.co.jp/note/one-believes-others-will-do/
心に響く英語ことわざ(817)相対性理論を構築したドイツの物理学者アルベルト・アインシュタインの名言 The gift of fantasy has meant more to me than my talent for absorbing positive knowledge. (真の革新は「知識」の量から来るのではなく、「想像力」という精神の自由から生まれる)
https://www.eionken.co.jp/note/the-gift-of-fantasy-has-meant/
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。
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