- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 204.心に響く英語ことわざ2
公開日
2025.11.08
更新日
2025.11.08
心に響く英語ことわざ(821)孔子の名言 Old age, believe me, is a good and pleasant thing. It is true you are gently shouldered off the stage, but then you are given such a comfortable front stall as spectator. (老いは人生の喧騒から離れ静かに全体を観察できる「特等席」)
“Old age, believe me, is a good and pleasant thing. It is true you are gently shouldered off the stage, but then you are given such a comfortable front stall as spectator.”
直訳は「老年は、信じてほしいのだが、良く、心地よいものだ。確かに君は舞台から穏やかに降ろされるが、その代わり、観客として快適な最前列の席を与えられるのだから」で、これは、古代中国の思想家である孔子が、「老年の価値と人生の役割の変化」について説いた、達観した視点を持つ名言です。老いを引退や役割の減少を喪失として捉えるのではなく、人生の喧騒から離れ、静かに全体を観察できる「特等席」を得た状態として、老年を肯定的に捉える哲学を表現しています。
名言の意味:観客席から人生を味わう知恵
この言葉は、孔子の「人生の段階における心の平静」に関する教えに基づいています。舞台(The stage)は、若い頃の野心、競争、責任といった活動的な役割の場を象徴し、「降ろされる(shouldered off)」ことは、権力や主役の座を手放すことを意味します。多くの人がこの変化を悲しみますが、孔子は、代わりに得られる「快適な最前列の席(comfortable front stall)」にこそ価値があると示しました。
鍵となる役割の変化
- Gently Shouldered Off the Stage(舞台から穏やかに降ろされる) 肉体的な衰えや社会的な役割の引退は避けられない事実ですが、この変化は「穏やかに(gently)」起こると表現され、強制や苦痛というよりも、自然な移行であることを示唆しています。
- Comfortable Front Stall as Spectator(観客として快適な最前列の席) 「観客(Spectator)」となることの恩恵を強調しています。主役であるときは、緊張や責任で舞台を楽しむ余裕がありませんが、観客となれば、感情的な距離を保ちつつ、人生という劇を全体として冷静に、そして心地よい場所から深く味わうことができます。これは、老年に獲得する「洞察力」と「心の平静」を象徴しています。
この名言は、老年を単なる「喪失の時期」でなく、「深い理解と安らぎの時期」として再定義し、人生の最終段階を肯定的に受け入れる知恵を与えてくれます。
類似の名言と教訓
似た意味の英語の名言
- “The best is yet to come.” (最高のもの(こと)はこれからだ。) 未来に対する希望を持つという点で共通しますが、孔子の言葉は、その「最高のもの」が「活動」でなく「観察」にあるという特定の洞察を与えます。
- “Grow old along with me! The best is yet to be.” (私と一緒に老いなさい!最も良いものはこれからです。) ロバート・ブラウニングの詩『ラビ・ベン・エズラ』の一節で、老年を人生の最高の段階と捉える肯定的な見方を示しています。
似た意味の日本語のことわざ
- 「明鏡止水」(めいきょうしすい) 心が一点の曇りもなく澄み切った状態を指し、「快適な最前列の席」で人生を静かに見つめる老年の境地を象徴します。
孔子(Confucius)の生い立ち
孔子(紀元前551年頃 – 紀元前479年頃)は、古代中国の春秋時代の思想家であり、儒教の創始者です。
志の達成と晩年の境地
孔子は、戦乱の時代に理想の社会を実現するという大きな目標を掲げ、生涯を通じて各国を旅して君主に自らの教えを説きましたが、その政治的な理想は生前には完全に成就されませんでした。 しかし、彼は晩年、自らの理想を次の世代に託し、弟子を教育し、古典を編纂するという穏やかな活動に専念しました。「舞台から降ろされる」という状況を経験しながらも、彼はそこで得たのは「哀れ」でなく、「快適」と「安らぎ」でした。人生全体を見渡す視点を手に入れ、その知恵を後世に伝えるという新たな役割に価値を見出したのです。
孔子の言葉は、私たちに、人生のどの段階にあろうと、過去の役割に固執するのではなく、今の役割の中に隠れている「良く、心地よいもの」を見つけ出す知恵と感謝の心を教えてくれます。
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心に響く英語ことわざ(820)仏教の開祖ブッダの名言 However many holy words you read, however many you speak, what good will they do you if you do not act on upon them? (真の価値は行動にある)
https://www.eionken.co.jp/note/however-many-holy-words-you-read/
心に響く英語ことわざ(822)近代科学の祖で英国の哲学者フランシス・ベーコンの名言 Certainly, in taking revenge, a man is but even with his enemy, but in passing it over, he is superior; for it is a prince’s part to pardon. (赦し」を選ぶことが、人間が獲得できる最も高貴な力である)
https://www.eionken.co.jp/note/certainly-in-taking-revenge/
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。

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