- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 204.心に響く英語ことわざ2
公開日
2025.11.09
更新日
2025.11.09
心に響く英語ことわざ(824)米国の自動車王ヘンリー・フォードの名言 The highest use of capital is not to make more money, but to make money do more for the betterment of life. (資本の究極の価値は人類全体の生活を豊かにする機能にある)
“The highest use of capital is not to make more money, but to make money do more for the betterment of life.”
直訳は「資本の最も高い利用法は、より多くのお金を稼ぐことではなく、お金に人生の向上のためにもっと働いてもらうことだ」で、これは、フォード・モーター・カンパニーの創設者であるヘンリー・フォードが、「資本の真の目的と社会貢献」について説いたものです。富や資本の究極の価値は、自己の利益を増やすことではなく、それを使って人類全体の生活を豊かにする「奉仕(Service)」の機能にあるという、倫理的かつ実用主義的な経営哲学を表現しています。
名言の意味:資本は生活向上のためのツールである
この言葉は、フォードの「富は責任を伴う」という信念に基づいています。彼は、自社の自動車が大量に生産されたのは、単に利益を得るためではなく、「人々の移動手段と生活の質を劇的に向上させる」という明確な社会的な目的があったからだと述べています。資本(Capital)は、その目的を達成するための単なる「手段」であり、それ自体が目的となってはならないという警鐘です。
鍵となる二つの利用法
- To Make More Money(より多くのお金を稼ぐこと) 資本の最も「低い」利用法を指します。これは、単なる利益追求であり、富を目的そのものとする行為です。フォードは、この行為は最終的に社会的な不平等を生み、持続可能でないと見なしました。
- To Make Money Do More for the Betterment of Life(お金に人生の向上のためにもっと働いてもらうこと) 資本の「最高の」利用法を示しています。「人生の向上(betterment of life)」とは、自動車の生産にとどまらず、労働者の賃金の引き上げ(日給5ドル制の導入)、効率的な生産システムの構築による社会への価値提供など、広い意味での人々の生活水準の向上を含みます。お金は、社会的な目的を達成するための「動力源」として機能すべきだと説いています。
この名言は、ビジネスや投資に携わるすべての人に対し、経済活動の真の価値は、「どれだけ稼いだか」ではなく、「社会にどんな良い影響を与えたか」によって測られるという、倫理的な基準を設けています。
類似の名言と教訓
似た意味の英語の名言
- “Profit is not the ultimate end of a business, but a means to an end.” (利益はビジネスの最終目的ではなく、目的を達成するための手段である。) これは現代の企業倫理やCSRの基礎にも通じる考え方であり、フォードの資本哲学と完全に一致します。
- “Where there is no vision, the people perish.” (ビジョンがなければ、人々は滅びる。) 旧約聖書『箴言』の一節であり、資本の運用においても、単なるお金ではなく、「生活の向上」という高いビジョンが不可欠であることを示唆しています。
似た意味の日本語のことわざ
- 「公益に資する」(こうえきにしする) 組織や個人の活動が社会全体の利益に貢献することの重要性を説き、フォードの「資本を使って人生を向上させる」という哲学を反映しています。
ヘンリー・フォード(Henry Ford)の生い立ち
ヘンリー・フォード(1863-1947)は、アメリカの企業家、発明家であり、流れ作業による大量生産方式を自動車産業に導入しました。
「社会奉仕」としてのビジネス
フォードは、自動車を富裕層だけの贅沢品から一般の労働者も手に入れられる「大衆の乗り物」に変えるという明確な目標を持っていました。彼は、自分が成功したのは、自動車を安く提供して社会に貢献した結果に過ぎないと考えていました。 特に、1914年に導入した「日給5ドル」制は、当時の賃金の約2倍であり、経済界に衝撃を与えました。彼の目的は、労働者を単なる生産コストとして見るのではなく、彼ら自身を自社製品を購入できる消費者層へと引き上げることにありました。これはまさに、資本を使って「労働者の生活を向上させる」という理念を具現化した行動であり、彼の哲学を最もよく表しています。
フォードの言葉は、私たちに、どんなビジネスや活動に携わるにせよ、その背後には「より良い世界を創る」という高い目的がなければ、真の豊かさは得られないという深い教訓を与えてくれます。
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心に響く英語ことわざ(823)「マイフェアレディ」の原作者でアイルランドの劇作家ジョージ・バーナード・ショーの名言 Progress is impossible without change, and those who cannot change their minds cannot change anything. (変革の根源は個人の内面の変革にある)
https://www.eionken.co.jp/note/progress-is-impossible-without-change/
心に響く英語ことわざ(825)「ファウスト」で有名なドイツの文豪ゲーテの名言 Only by joy and sorrow does a person know anything about themselves and their destiny. They learn what to do and what to avoid. (喜びと悲しいにより人生の道筋が分かる)
https://www.eionken.co.jp/note/only-by-joy-and-sorrow/
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。
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