- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 204.心に響く英語ことわざ2
公開日
2025.11.09
更新日
2025.11.09
心に響く英語ことわざ(825)「ファウスト」で有名なドイツの文豪ゲーテの名言 Only by joy and sorrow does a person know anything about themselves and their destiny. They learn what to do and what to avoid. (喜びと悲しいにより人生の道筋が分かる)
“Only by joy and sorrow does a person know anything about themselves and their destiny. They learn what to do and what to avoid.”
直訳は「喜びと悲しみによってのみ、人は自分自身と自らの運命について何かを知る。彼らは何をすべきか、何を避けるべきかを学ぶ」で、これは、ドイツの文豪ゲーテが、「自己認識と運命の把握」の過程について説いた深い洞察です。人生における両極端の感情である「喜び(Joy)」と「悲しみ(Sorrow)」の両方を経験することによってのみ、人は自己の本質を理解し、人生の道筋を見極める知恵を得られるという、実存的な真理を表現しています。
名言の意味:両極の経験が自己を形作る
この言葉は、ゲーテの「人生の全体受容」の哲学に基づいています。喜びだけの人生や悲しみだけの人生では、人間は片手落ちであり、真に成熟することはできません。両方の感情を徹底的に味わうことが、自分の「何が大切か」(喜びの源)と、「何が破壊的か」(悲しみの源)を明確にし、その結果として「運命(Destiny)」、すなわち、人生をどう生きるかという道筋を知る鍵となります。
鍵となる学習プロセス
- Joy and Sorrow(喜びと悲しみ) この二つの感情は、人間の経験の両極を表します。喜びは、自分の才能や生き方が世界と調和しているときに、自分の真の姿や潜在力を示します。一方、悲しみや苦痛は、自分の弱点、誤り、そして「何を避けるべきか」という教訓を最も深く刻み込みます。
- Know About Themselves and Their Destiny(自分自身と自らの運命について知る) 自己を知る(Themselves)ことは、単なる性格診断でなく、自分が人生で何を追求し、何をに耐え、何を成し遂げる存在であるかという「運命」の方向性を含みます。この深い理解は、感情の振幅によって初めて得られます。
- Learn What to Do and What to Avoid(何をすべきか、何を避けるべきかを学ぶ) 最終的な目標は、人生における実践的な指針を獲得することです。喜びからは、「追及すべき行動(what to do)」を学び、悲しみからは、「避けるべき行動(what to avoid)」を学びます。この繰り返しが、人間を成長させます。
この名言は、困難や悲しみを避けようとするのではなく、それらを自己発見の貴重な機会として受け入れることの重要性を教えてくれます。
類似の名言と教訓
似た意味の英語の名言
- “The greatest wisdom comes from the greatest trials.” (最大の知恵は、最大の試練から生まれる。) 悲しみや困難が、人生における最も価値ある教訓をもたらすという点で共通します。
- “We gain strength, and courage, and confidence by each experience in which we really stop to look fear in the face.” (私たちは、恐怖を直視するために立ち止まるそれぞれの経験によって、強さ、勇気、そして自信を得る。) エレノア・ルーズベルトの言葉で、困難(恐怖)に直面することが自己の成長に不可欠であるという視点を共有しています。
似た意味の日本語のことわざ
- 「雨降って地固まる」(あめふってじかたまる) 困難(雨)や苦境の後に、かえって物事が安定し、強固になる(地が固まる)という教訓は、悲しみから学びを得て成長するというゲーテの思想と通じます。
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(Johann Wolfgang von Goethe)の生い立ち
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(1749-1832)は、ドイツの詩人、小説家、そして思想家であり、文学、科学、哲学にわたる膨大な業績を残しました。
人生の波乱と感情の探求
ゲーテは、裕福な家庭に生まれ、若くして『若きウェルテルの悩み』で名声を得ましたが、その後の人生も激しい感情の起伏に満ちていました。政治家としての成功と挫折、数々の激しい恋愛と別離(喜びと悲しみ)、そして科学的な研究における孤独な探求など、彼の人生は「喜び」と「悲しみ」のコントラストそのものでした。 彼の最も偉大な作品である『ファウスト』は、人間の果てない探求と、成功と堕落の両方を経験することによってのみ、魂の真の救済があるというテーマを描いています。彼は、人生のすべての側面(光と影)を受け入れ、そこから学ぶ姿勢こそが、「自分が何者であるか」を知る唯一の方法であるという確信を持っていました。
ゲーテの言葉は、私たちに、苦しいときでも、その悲しみは将来の自分を形作るために不可欠な「情報」であり、そこから学ぶことで、より明確な人生の道筋を見つけ出すことができるという希望を与えてくれます。
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心に響く英語ことわざ(824)米国の自動車王ヘンリー・フォードの名言 The highest use of capital is not to make more money, but to make money do more for the betterment of life. (資本の究極の価値は人類全体の生活を豊かにする機能にある)
https://www.eionken.co.jp/note/the-highest-use-of-capital/
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。
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