- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 204.心に響く英語ことわざ2
公開日
2025.11.10
更新日
2025.11.10
心に響く英語ことわざ(826)道教開祖の老子の名言 If you realize that all things change, there is nothing you will try to hold on to. If you are not afraid of dying, there is nothing you cannot achieve.(すべてのものは変化することを理解し、究極の恐れである「死」を手放すことで、人間は真の自由と無限の可能性を獲得する)
“If you realize that all things change, there is nothing you will try to hold on to. If you are not afraid of dying, there is nothing you cannot achieve.”
直訳は「もし、すべてのものが変化することを悟るなら、あなたがしがみつこうとするものは何もないだろう。もし、死を恐れないなら、あなたが達成できないものは何もない」で、これは、道家思想の創始者である老子が、「変化の受容と死への恐れからの解放」について説いた、道の哲学の核心を突く教えです。世の無常を理解し、究極の恐れである「死」を手放すことで、人間は真の自由と無限の可能性を獲得するという、悟りの境地を表現しています。
名言の意味:変化の受容と恐れの解放
この言葉は、老子の『道徳経』の根本原理である「無常(すべては移り変わる)」と「無」の思想に基づいています。人間は苦しみの大半を、「変わってほしくないもの」(財産、地位、関係性、命)にしがみつくことで生み出します。老子は、この執着を手放すことこそが、静かで力強い人生を実現する鍵であると説きました。
鍵となる二つの解放
- If you realize that all things change, there is nothing you will try to hold on to.(すべてのものが変化することを悟るなら、あなたがしがみつこうとするものは何もないだろう。) 「すべてのものは変化する(all things change)」という自然の法則を受け入れることで、執着の対象が消滅します。手放すべきは外部の所有物でなく、「永遠であってほしい」という内面の「思い込み」です。執着がなくなれば、失う恐れもなくなり、心に平静が訪れます。
- If you are not afraid of dying, there is nothing you cannot achieve.(死を恐れないなら、あなたが達成できないものは何もない。) 死への恐れは、人間が抱く最も根源的な恐れであり、多くの行動を制限します。死を恐れないというのは、「生きていること」に対する執着からも自由になることを意味します。究極の恐れがなくなれば、もはや人生において何も失うものはなく、行動への心理的な制限が完全に取り払われます。その結果、あらゆる挑戦が可能になり、無限の力が発揮されます。
この名言は、真の力とは「所有」や「生命の維持」にあるのではなく、それらを手放す「自由」にあるという、道家の深遠な教えを示しています。
類似の名言と教訓
似た意味の英語の名言
- “The greatest wisdom is to be free from the fear of death.” (最大の知恵は、死の恐れから自由になることである。) 死を恐れないことが、人間の究極の自由であるという点で共通します。
- “To live is to suffer, to survive is to find some meaning in the suffering.” (生きることは苦しむことである。生き残ることは、その苦しみの中に何らかの意味を見出すことである。) ヴィクトル・フランクルの言葉であり、人生の苦悩(無常と死)を受容した上で、行動(意味の探求)を行うことの重要性を説きます。
似た意味の日本語のことわざ
- 「諸行無常」(しょぎょうむじょう) すべての現象は移り変わり、とどまることがないという仏教の基本的な教えであり、「すべてのものが変化することを悟る」という老子の言葉と通じます。
- 「断捨離」(だんしゃり) 不要なものへの執着を断ち、捨てることで、真の自由を得るという現代の思想は、執着を手放すことの重要性を説く老子の教えと関連します。
老子(Lao Tzu)の背景
老子(紀元前6世紀頃)は、古代中国の春秋時代の思想家であり、道家思想の創始者です。
無為自然と水のような生き方
老子の哲学は、自然の摂理(道)に従い、人為的な努力や執着を捨てる「無為自然」を理想とします。彼は、水のように「抵抗せず、低い場所へ流れる」生き方を推奨しました。水が形を変えることを恐れず、低い場所に留まることを厭わないように、人間も「変化」を避けず、「死」を恐れず、執着を手放すことで、初めてその内に秘められた無限の力を発揮できると説いたのです。無常を悟り、無に帰ることを受け入れる境地こそが、老子にとっての究極の達成であったと言えるでしょう。
***
心に響く英語ことわざ(825)「ファウスト」で有名なドイツの文豪ゲーテの名言 Only by joy and sorrow does a person know anything about themselves and their destiny. They learn what to do and what to avoid. (喜びと悲しいにより人生の道筋が分かる)
https://www.eionken.co.jp/note/only-by-joy-and-sorrow/
心に響く英語ことわざ(827)米国独立に尽力した第三代大統領トーマス・ジェファーソンの名言 Determine never to be idle. No person will have occasion to complain of the want of time who never loses any. It is wonderful how much may be done if we are always doing.(成功の鍵は、時間を最大限に活用する「継続的な行動」にある)
https://www.eionken.co.jp/note/determine-never-to-be-idle/
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。

お知らせ
英音研公式ブログ
お問い合わせ