- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 204.心に響く英語ことわざ2
公開日
2025.11.16
更新日
2025.11.16
心に響く英語ことわざ(845)米国独立に尽力した第三代大統領トーマス・ジェファーソンの名言 Delay is preferable to error. (誤りを犯すよりは遅れる方がまし)
“Delay is preferable to error.”
直訳は「遅延は過ちに優る(誤りを犯すよりは遅れる方がましだ)」で、これは、アメリカ合衆国の建国の父トーマス・ジェファーソンが、「行動の正確さと時宜」について説いた、意思決定に関する重要な原則です。
この名言は、特に政治や法律といった重大な意思決定において、拙速に行動して取り返しのつかない「過ち(error)」を犯すことの危険性を警告し、十分な検討と正確性を確保するためであれば、一時的な「遅延(Delay)」は許容されるどころか、望ましいという実用的な教訓を表現しています。
名言の意味:正確さが速度に勝る
この言葉は、ジェファーソンが『独立宣言』の起草や合衆国憲法制定など、国家の基盤づくりに携わった経験に基づいています。彼は、重要な決定が後々まで影響を及ぼすことを知っていたため、目先の速度よりも永続的な正しさを優先すべきだと考えました。
鍵となる対立と優先順位
- Delay(遅延) 決定を下すことや行動を起こすことが一時的に遅れる状態を指します。これはネガティブに捉えられがちですが、この文脈では「慎重な検討の時間」というポジティブな意味合いを含みます。
- Error(過ち/誤り) 不正確さ、不正義、あるいは判断ミスなど、悪い結果をもたらす決定を指します。重大な意思決定における誤りは、回復に時間やコストがかかり、最悪の場合は回復不可能になることもあります。
- Preferable(優る) ジェファーソンは、遅延の不利益と誤りの不利益を比較し、誤りを避けるためには遅延を選ぶべきだと断言しています。これは、「リスク回避」と「品質の追求」を優先する考え方です。
この名言は、特に複雑で影響の大きい問題に直面したとき、「急ぐ」という衝動を抑え、「止まって考える」という賢明な選択を促してくれます。
類似の名言と教訓
似た意味の英語の名言
- “Look before you leap.” (跳ぶ前に見よ。/転ばぬ先の杖。) 行動を起こす前に、その結果を慎重に考慮することの重要性を説く点で共通しています。
- “Measure twice, cut once.” (二度測って、一度切れ。) 大工の格言であり、準備と確認を徹底して、失敗のリスクを最小限に抑えることの実践的な重要性を示しています。
似た意味の日本語のことわざ
- 「急がば回れ」(いそがばまわれ) 意味: 急いでいるときこそ、安全で確実な方法を選んだ方が結果的に早いという意味です。「Delay is preferable to error」という思想を見事に要約しています。
- 「石橋を叩いて渡る」(いしばしをたたいてわたる) 意味: 堅固な石橋でも、念のため叩いて安全を確かめてから渡るという意味で、慎重さが誤りを防ぐという教訓を示しています。
トーマス・ジェファーソン(Thomas Jefferson)の生い立ち
トーマス・ジェファーソン(1743-1826)は、アメリカ合衆国の第三代大統領であり、『アメリカ独立宣言』の主要な起草者です。
彼は、バージニア植民地の裕福な農園主の家に生まれ、法学、科学、建築など多分野にわたる教育を受けました。ジェファーソンが生涯を通じて公的な文書や法律の起草に携わったことは、言葉の選択や法律の条文が持つ重みを誰よりも理解していたことを示します。わずかな言葉の誤りや判断ミスが、国家全体に対して不可逆的な影響を与えることを知っていたからこそ、「誤りを避けるための遅延」を積極的に評価したのです。彼のこの名言は、責任ある立場にある者の冷静な判断の重要性を教えてくれます。
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心に響く英語ことわざ(844)道教開祖の老子の名言 Mastering others is strength. Mastering yourself is true power.(人に勝つは力あり、己に勝つは強し)
https://www.eionken.co.jp/note/mastering-others-is-strength/
心に響く英語ことわざ(846)オランダ出身のポスト印象派の画家ゴッホの名言 Even the knowledge of my own fallibility cannot keep me from making mistakes. Only when I fall do I get up again.(七転び八起き)
https://www.eionken.co.jp/note/even-the-knowledge-of-my-own-fallibility/
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。
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