- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 204.心に響く英語ことわざ2
公開日
2025.11.17
更新日
2025.11.17
心に響く英語ことわざ(849)仏教の開祖ブッダの名言 Hatred does not cease by hatred, but only by love; this is the eternal rule. (憎しみの連鎖は慈悲でよってのみ断ち切ることができる)
“Hatred does not cease by hatred, but only by love; this is the eternal rule.”(憎しみの連鎖は慈悲でよってのみ断ち切ることができる)
直訳は「憎しみは憎しみによって止むのではなく、ただ愛によってのみ止む。これが永遠の法則である」で、これは、仏教の開祖であるブッダが、「対立を解消する普遍的な原則」について説いた、仏教の中核をなす「愛と慈悲」の教えです。
この名言は、負の感情(憎しみ)を負の感情で打ち消そうとすることの無意味さを指摘し、対立の連鎖を断ち切る唯一の方法は、対極にあるポジティブな力、すなわち「愛(Love)」や「慈悲」であるという真理を表現しています。そして、これは時代や場所を超えた「永遠の法則(eternal rule)」であると断言しています。
名言の意味:憎しみは連鎖し、愛が断ち切る
この言葉は、ブッダの「復讐と対立の無限連鎖」という洞察に基づいています。憎しみで報復すると、相手からさらなる憎しみの報復を招き、対立が際限なく拡大していくこと(業の連鎖)を示しています。
鍵となる二つの要素
- Hatred Does Not Cease by Hatred(憎しみは憎しみによって止むのではない) 「Cease(止む/終わる)」とは、解決を意味します。憎しみに憎しみで対応すると、一時的な勝利はあるかもしれないが、心の底にある根本的な敵意は消滅せず、むしろ悪化します。これは、私たちの直観的な報復感情に対する強烈な警告です。
- But Only by Love; This Is the Eternal Rule(ただ愛によってのみ止む。これが永遠の法則である) 「Love」とは、仏教でいう「慈悲(メッタ)」や「寛容」を指します。報復の衝動を乗り越えて、相手の苦しみに寄り添う愛の行為こそが、相手の心の憎しみを和らげ、対立の連鎖を根から断ち切る唯一の方法であると説いています。「Eternal Rule(永遠の法則)」は、この真理が普遍的で変えられないことを強調しています。
この名言は、人間関係や社会的な対立を解決するためには、論理や力でなく、心のあり方を変える「愛と慈悲」という精神的な力が最も効果的であるという、行動の原則を示しています。
類似の名言と教訓
似た意味の英語の名言
- “Darkness cannot drive out darkness: only light can do that. Hate cannot drive out hate: only love can do that.” (闇は闇を追い出せない。光だけがそれをできる。憎しみは憎しみを追い出せない。愛だけがそれをできる。) キング牧師(マーティン・ルーサー・キング・ジュニア)の言葉であり、ブッダの教えを現代の公民権運動の文脈で再確認したものです。
- “An eye for an eye only ends up making the whole world blind.” (目には目を、では結局世界中が盲目になるだけだ。) マハトマ・ガンジーの言葉であり、報復の連鎖(憎しみによる憎しみの継続)の悲劇的な結果を示しています。
似た意味の日本語のことわざ
- 「怨みをもって怨みに報いれば、怨みはついに息まず」(うらみをもってうらみにむくいれば、うらみはついにやまず) 意味: ブッダのこの名言の前半部分(憎しみは憎しみによって止まない)を漢字で表現したものであり、仏典に由来する言葉です。
- 「情けは人のためならず」(なさけはひとのためならず) 意味: 人に親切にすれば、その善行は巡り巡って自分に良い結果として戻ってくるという意味です。愛や慈悲(情け)が最終的には平和や幸福をもたらすという点で、行動の結果の法則性を示しています。
ブッダ(Buddha)の生い立ち
ブッダ(ガウタマ・シッダールタ、紀元前563年頃 – 紀元前483年頃)は、古代インドの釈迦族の王子として生まれました。
彼は、宮殿での満たされた生活を捨てて出家し、人々の苦しみの根源を探求しました。彼の教えは、生、老、病、死といった避けられない「苦」をいかに克服するかに焦点を当てています。ブッダは、苦の原因が「貪り(欲望)」、「怒り(憎しみ)」、「愚痴(無知)」の三毒にあると説き、この名言は、そのうちの一つである「怒り(憎しみ)」を滅するための最も根本的で実践的な方法を示しています。彼が目指したのは、外部の敵を打ち倒すことでなく、自分の心の中の憎しみと怒りを克服することでした。
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心に響く英語ことわざ(848)米国独立に尽力したベンジャミン・フランクリンの名言 Take time for all things: great haste makes great waste.(急がば回れ)
https://www.eionken.co.jp/note/take-time-for-all-things/
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。

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