- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 204.心に響く英語ことわざ2
公開日
2025.11.19
更新日
2025.11.19
心に響く英語ことわざ(854)米国独立に尽力した第三代大統領トーマス・ジェファーソンの名言 Ignorance is preferable to error, and he is less remote from the truth who believes nothing than he who believes what is wrong. 真実への道を阻むものは、「知らないこと」でなく、「間違ったことを知っていると信じ込むこと」
“Ignorance is preferable to error, and he is less remote from the truth who believes nothing than he who believes what is wrong.”
直訳は「無知は過ちに優る。そして、間違ったことを信じている者より、何も信じていない者の方が真実から遠くない」で、これは、アメリカ合衆国の建国の父トーマス・ジェファーソンが、「知識の欠如と誤った信念の危険性」について説いた、知的な誠実さと学習の哲学です。
この名言は、単に知識がない「無知(Ignorance)」の状態は、誤った知識を真実だと信じ込んでいる「誤り(Error)」の状態よりも遥かにましであるという、知的な進歩における障害の度合いを示した強烈な警告です。
名言の意味:誤った信念は真実から最も遠い
この言葉は、ジェファーソンが「啓蒙思想」の影響を強く受け、理性と経験に基づいた真実の探求を重んじたことに基づいています。真実への道を阻むものは、「知らないこと」でなく、「間違ったことを知っていると信じ込むこと」であるという鋭い洞察です。
鍵となる二つの状態の比較
- Ignorance is Preferable to Error(無知は過ちに優る)
- 無知(Ignorance):知識がない状態。何も知らないため、新しい知識を受け入れる余地があり、そこから真実へと向かうことが可能です。
- 過ち(Error):間違った知識を正しいと信じている状態。知識があると誤解しているため、学習を止めてしまい、真実への扉が閉ざされてしまいます。
- He is less remote from the truth who believes nothing than he who believes what is wrong.(間違ったことを信じている者より、何も信じていない者の方が真実から遠くない) この後半は、前半の論理をさらに強調しています。「信じていない者(無知)」はゼロ地点にいますが、「間違ったことを信じている者(過ち)」は、ゼロ地点から真実とは別の誤った方向へと進んんでしまっているため、真実からは遥かに遠くなっているのです。
この名言は、既成の概念や誤った情報を批判的に検討せずに受け入れることの危険性を警告し、「知らないことを知る」というソクラテス的な自己認識こそが、真実への第一歩であるという教訓を含んでいます。
類似の名言と教訓
- “The greatest obstacle to discovery is not ignorance—it is the illusion of knowledge.” (発見に対する最大の障害は無知ではない。それは知識の錯覚である。)
- “It’s not what you don’t know that gets you into trouble. It’s what you know for sure that just ain’t so.” (あなたを窮地に陥れるのは、あなたが知らないことではない。あなたが確信しているが、実はそうではないことだ。)
- 「知らぬが仏」(しらぬがほとけ)
- 「藪睨み」(やぶにらみ)
トーマス・ジェファーソン(Thomas Jefferson)の生い立ち
トーマス・ジェファーソン(1743-1826)は、アメリカ合衆国の第三代大統領であり、『アメリカ独立宣言』の主要な起草者です。
- 広範な知識と教育 ジェファーソンは、バージニア植民地の裕福な農園主の家に生まれ、当時の最高水準の教育を受けました。ウィリアム&メアリー大学で法律を学び、ラテン語、ギリシャ語、フランス語、イタリア語、スペイン語を含む多数の言語に精通していました。彼の私的な図書館は米国議会図書館の基礎となり、政治学だけでなく、科学、建築、哲学など、多分野にわたる探求者であり続けました。
- 啓蒙思想への傾倒 彼は、ロックやモンテスキューといったヨーロッパの啓蒙思想家の影響を強く受けており、理性の力を信じ、迷信や既成の権威的な教義に基づく誤った信念(error)を最も危険視しました。「無知より過ちが危険」という考えは、理性に基づいて社会を築こうとする彼の根本理念でした。
- 教育の重視 ジェファーソンは、自由な共和制を維持するためには、国民の教育が不可欠であると強く信じていました。彼は、バージニア大学を設立し、市民が「誤りを排し、真実に基づいて意思決定できる」よう、公的な教育システムの確立に尽力しました。この名言は、彼の生涯の関心である「人々の心を蒙昧な信念から解放し、理性の光を照らす」という強い願いを反映したものだと言えるでしょう。
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心に響く英語ことわざ(853)道教開祖の老子の名言 If you do not change direction, you may end up where you are heading.(勇気をもって「方向転換」し、本来の自然で健全な方向へと自己を導くべき
https://www.eionken.co.jp/note/if-you-do-not-change-direction/
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。
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