- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 204.心に響く英語ことわざ2
公開日
2025.11.20
更新日
2025.11.20
心に響く英語ことわざ(855)オランダ出身のポスト印象派の画家ゴッホの名言 If one is master of one thing and understands one thing well, one has at the same time, insight into and understanding of many things.”( 一つの物事の「本質」を深く理解すれば、結果的に多くのことを理解できる)
“If one is master of one thing and understands one thing well, one has at the same time, insight into and understanding of many things.”
直訳は「もし人が一つのことの達人であり、一つのことをよく理解しているなら、同時に、多くのことへの洞察力と理解を持つ」で、これは、オランダの画家フィンセント・ファン・ゴッホが、「深掘りの重要性と知識の普遍性」について説いた、専門性と本質の把握に関する力強い洞察です。
この名言は、様々な知識を浅く広く持つことよりも、たった一つの分野や技術を徹底的に極めること(master of one thing)の重要性を説いています。一つの物事の「本質」を深く理解すれば、その根源的な構造や原理が他の多くの事象にも共通していることに気づき、結果的に多くのことを理解できるという真理を表現しています。
名言の意味:一点の深さが、すべての理解に繋がる
この言葉は、ゴッホが「真の芸術とは何か」を追求する中で得た信念に基づいています。彼の絵画は、ある時期から光と色の表現という一点に集中して深く掘り下げることで、人間の感情や宇宙の真理といった普遍的なテーマへの洞察を得ました。
鍵となる原理
- Master of One Thing and Understands One Thing Well(一つのことの達人であり、一つのことをよく理解している) 「Master(達人)」とは、表面的な技術を超えて、その分野の本質を完全に把握している状態を指します。一つの分野を深く掘り下げることで、物事の根本原理や構造、隠された法則が見えてきます。
- Insight into and Understanding of Many Things(多くのことへの洞察力と理解) 深く掘り下げて見えてきた「根本原理」は、実は他のすべての分野にも通じる普遍的なものであるため、その知恵を応用して多くの事象を類推(insight)し、理解(understanding)することが可能になります。専門性は、単なる専門領域で終わらず、全体への理解へと繋がるのです。
この名言は、現代の多様化した社会でも通用する「スペシャリストはジェネラリストを兼ねる」というキャリア戦略の哲学を示唆しています。
類似の名言と教訓
似た意味の英語の名言
- “Know thyself.” (汝自身を知れ。) デルフォイのアポロン神殿の格言。自己の内面という「一つのこと」を深く理解することが、世界という「多くのこと」の理解に繋がるという点で共通しています。
- “A jack of all trades is a master of none, but oftentimes better than a master of one.” (多才な人は何も極められないが、たいてい一芸に秀でた人よりも優れている。) このことわざは「広く浅く」の利点を説くものですが、ゴッホの名言はこれと対照的に「狭く深く」こそが真の理解(insight)をもたらすと説いています。
似た意味の日本語のことわざ
- 「一を聞いて十を知る」(いちをきいてじゅうをしる) 意味: 一部の情報や教えから、他の多くのことを類推して理解できることを意味します。一つの物事の深い理解(一)が、普遍的な知恵(十)に繋がるというゴッホの思想を見事に表現しています。
- 「専門は本質を極める道」 意味: 専門分野を極めることが、普遍的な真理(本質)に到達する道であるという意味で、この名言の趣旨を的確に表しています。
フィンセント・ファン・ゴッホ(Vincent Van Gogh)の生い立ち
フィンセント・ファン・ゴッホ(1853-1890)は、オランダ出身のポスト印象派の画家です。彼は、生前はほとんど評価されず、貧困と精神疾患に苦しみ、短い生涯を送りました。
ゴッホは、当初は聖職者を目指し、その後、貧しい人々の生活を描くことに強い関心を抱き、画家の道へと進みます。彼の初期の作品は暗く写実的な色調でしたが、パリへ出た後、日本の浮世絵や印象派から学び、光と色彩の表現にすべてを注ぎ込みます。彼は、自分の内面の感情をキャンバス上の強烈な筆致と色彩(彼の「one thing」)に凝縮させた結果、時代を超えた普遍的な感動や真理を表現しています。この名言は、彼の人生が、すべてを捨てて「絵」という一点に集中したことで、最終的には人間の精神や宇宙の構造といった「many things」への洞察に繋がったという、自らの芸術的な旅を総括した言葉だと言えるでしょう。
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心に響く英語ことわざ(854)米国独立に尽力した第三代大統領トーマス・ジェファーソンの名言 Ignorance is preferable to error, and he is less remote from the truth who believes nothing than he who believes what is wrong. 真実への道を阻むものは、「知らないこと」でなく、「間違ったことを知っていると信じ込むこと」
https://www.eionken.co.jp/note/ignorance-is-preferable-to-error/
心に響く英語ことわざ(856)相対性理論を構築したドイツの物理学者アルベルト・アインシュタインの名言 Anyone who doesn’t take truth seriously in small matters cannot be trusted in large ones either.(人間の誠実性や正直さは、日常の細かい行動や言動の中に現れる)
https://www.eionken.co.jp/note/anyone-who-doesnt-take-truth-seriously/
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。
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