- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 204.心に響く英語ことわざ2
公開日
2025.11.27
更新日
2025.11.27
心に響く英語ことわざ(870)道教開祖の老子の名言 He who is contented is rich.(足るを知る)
“He who is contented is rich.”
直訳は「満足している者は富んでいる」で、これは、道家思想の創始者である老子が、「真の富の源泉と心の状態」について説いた、精神的な充足に関する根源的な教えです。
この名言は、富の定義を世俗的な基準(物質的な所有や金銭)から引き離し、「満足していること(contented)」という内面の精神的な状態こそが、「真の豊かさ(rich)」であると断言しています。外界の状況に左右されず、今あるものに感謝して心が満たされている状態こそが、最大の富であるという、道家の「足るを知る」哲学を象徴する言葉です。
名言の意味:心の満足こそが、尽きることのない富である
老子の思想は、人間の苦しみは、際限のない欲望や獲得への執着から生じると説きます。この名言は、そうした外的な追求から離れ、内面の調整がいかに重要であるかを示しています。
鍵となる道家の概念
- Contented(満足している) 「足るを知る」という道家の思想(知足)を意味します。自分が今持っているものや置かれている状況に対して、不足や不満でなく、十分であるという感謝と安心感を抱く状態です。
- Rich(富んでいる) 物質的な豊かさでなく、精神的な豊かさを指します。欲望が満たされているため、他者の富を羨やむ必要がなく、外部の状況に左右されない「自立した心の自由」という、尽きることのない富を持っていると見なします。
老子にとって、物質的な富はいつか失われるものであり、それに執着することは苦を生みます。一方、心の満足は自らの内側にあり、誰にも奪うことができないため、これこそが永続的な「富」であると教えています。
類似の教訓
- 「足るを知る」(たるをしる): 現状に満足して、それ以上のものを望まないことが心の安穏をもたらすという、老子の思想を象徴する四字熟語です。
- “The greatest wealth is to live content with little.” (最大の富とは、少ないもので満足して生きることである。) プラトンの言葉とされ、幸福が所有量でなく、「content(満足)」に依存するという点で完全に一致します。
- 「欲に底なし」(よくにそこなし): 人間の欲望には際限がないため、満たされた状態(contented)でなければ、いかに物質を持っても満たされないという警告です。
老子(Lao Tzu)の生い立ち
老子(紀元前6世紀頃)は、古代中国の春秋時代の思想家で、道家思想の創始者です。
彼は、世俗の権力や富の追求から離れ、自然の法則(道、タオ)に従う「無為自然」の生き方を説きました。彼が記したとされる『道徳経』の中で、人々が「足るを知らない」ために苦しみ、争いが起きると指摘しています。この名言は、物質に縛られた人々への批判と、精神的な自由を得るための指針として、老子の哲学の本質を最も簡潔に示したものだと言えるでしょう。
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心に響く英語ことわざ(869)「ファウスト」で有名なドイツの文豪ゲーテの名言 We can’t form our children on our own concepts; we must take them and love them as God gives them to us.(子供の個性を活かす)
https://www.eionken.co.jp/note/we-cant-form-our-children/
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。
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