- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 204.心に響く英語ことわざ2
公開日
2025.11.30
更新日
2025.12.01
心に響く英語ことわざ(876)道教開祖の老子の名言 To know yet to think that one does not know is best; Not to know yet to think that one knows will lead to difficulty. (無知であるにもかかわらず知ったかぶりをすることは人生に困難を招く)
“To know yet to think that one does not know is best; Not to know yet to think that one knows will lead to difficulty.”
直訳は「知っているのに、自分はまだ知らないと考えるのが最上である。知らないのに、自分は知っていると考えるのは、困難(病)のもとである」で、これは、道家思想の創始者である老子が、「知的謙虚さと知的傲慢の対比」について説いた、『道徳経』(第71章)にある最も重要な教えの一つです。
この名言は、真の知恵とは、知識を持っていてもなお「自分はまだ知らない」と謙虚であることだと定義し、逆に、無知であるにもかかわらず知ったかぶりをすることは、精神的な「欠陥」や「病」であり、人生に困難を招くと警告しています。
名言の意味:無知の知こそが、最上の知恵である
老子は、人間の認識力には限界があると考えていました。宇宙の根源である「道(タオ)」は無限であり、人間が全てを知ることは不可能です。したがって、知っていると思った瞬間に成長は止まり、知らないことを自覚している限り成長は続くという真理を示しています。
鍵となる二つの状態
- To know yet to think that one does not know is best(知っているのに、知らないと思うのが最上) 知識を持っていても、それをひけらかさず、「まだ知らないことがある」と探求心を持ち続ける姿勢です。これはソクラテスの「無知の知」にも通じる、真の賢者の態度です。
- Not to know yet to think that one knows will lead to difficulty(知らないのに、知っていると思うのは困難のもと) 実際には理解していないのに、「わかった気」になっている状態です。
- Lead to difficulty: 原文の漢文では「病(へい)」と表現され、これは「欠点」や「病気」を意味します。知ったかぶりは、誤った判断を招き、危険な行動に繋がり、他人からの信用を失うため、人生における「病」のようなものだと老子は指摘しています。
Shutterstock
この名言は、現代心理学でいう「ダニング・クルーガー効果(能力の低い人ほど自己評価が高くなる現象)」への古代からの警鐘とも読め、知的な謙虚さを保つことの重要性を説いています。
類似の名言と教訓
似た意味の英語の名言
- “I know that I know nothing.” (私は自分が何も知らないということを知っている。) 古代ギリシャの哲学者ソクラテスの言葉(無知の知)。老子の前半部分の思想と完全に一致します。
- “Real knowledge is to know the extent of one’s ignorance.” (真の知識とは、自分の無知の程度を知ることである。) 孔子の言葉。知ることと知らないことの境界を理解することが真の知であると説いています。
似た意味の日本語のことわざ
- 「生兵法は大怪我のもと」(なまびょうほうはおおけがのもと) 意味: 中途半端な知識や技術に頼ると、かえって大失敗をするという意味で、後半の「difficulty」の具体例です。
- 「実るほど頭を垂れる稲穂かな」(みのるほどこうべをたれるいなほかな) 意味: 知識や徳が深まるほど、かえって謙虚になるべきだという意味で、前半の「best」な状態を表しています。
老子(Lao Tzu)の生い立ち
老子(紀元前6世紀頃)は、古代中国の春秋時代の思想家で、道家思想の創始者です。
- 無限の知と有限の人 老子は、宇宙の根源的な原理である「道(タオ)」を探求しました。彼は、人間の知恵や作為(小賢しい知恵)は、広大無辺な自然の摂理の前ではちっぽけなものに過ぎないと考えていました。
- 知識人への批判 当時の知識人たちが、表面的な礼儀や知識を誇示している姿を見て、老子はそれを「病」であると批判しました。彼は、本当に知恵のある者は、自分の知識を誇らず、むしろ愚か者のように見えるほど謙虚であるべきだ(大智は愚の如し)と説きました。この名言は、知識を詰め込むことではなく、「知らない」と認める勇気こそが、真の賢者への入り口であると教えてくれます。
***
心に響く英語ことわざ(875)「ファウスト」で有名なドイツの文豪ゲーテの名言 Man is made by his belief. As he believes, so he is.(現在のあなたの姿はあなたの信念の投影)
https://www.eionken.co.jp/note/man-is-made-by-his-belief/
心に響く英語ことわざ(877)相対性理論を構築したドイツの物理学者アルベルト・アインシュタインの名言 Reading, after a certain age, diverts the mind too much from its creative pursuits. Any man who reads too much and uses his own brain too little falls into lazy habits of thinking.(読みすぎは考えの貧困を招く)
https://www.eionken.co.jp/note/reading-after-a-certain-age/
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。

お知らせ
英音研公式ブログ
お問い合わせ