心に響く英語ことわざ（879）儒教開祖の孔子の名言　Instead of being concerned that you have no office, be concerned to think how you may fit yourself for office. Instead of being concerned that you are not known, seek to be worthy of being known.（地位や名声よりも、実力と徳を磨く）

“Instead of being concerned that you have no office, be concerned to think how you may fit yourself for office. Instead of being concerned that you are not known, seek to be worthy of being known.”

直訳は「地位がないことを心配する代わりに、いかにして自分をその地位に適合させるか（ふさわしくなるか）を考えて心配しなさい。自分が知られていないことを心配する代わりに、知られるに値するようになることを求めなさい」で、これは、古代中国の思想家である孔子が、「地位や名声よりも、実力と徳を磨くことの重要性」について説いた、『論語』（里仁第四）にある自己研鑽の核心的な教えです。

この名言は、人が陥りやすい「不遇への嘆き（評価されない、役職がない）」を戒め、エネルギーの全てを「自分の実力を高めること」と「中身のある人間になること」に注ぐべきだという、本質志向の哲学を表現しています。

名言の意味：評価は後からついてくる

孔子は、外面的な成功（地位や名声）は自分でコントロールできない運や他者の判断によるものだが、内面的な実力（実質）は自分の努力でコントロールできると考えました。順序を間違えてはいけないという教訓です。

鍵となる二つの対比

1. No Office vs. Fit Yourself for Office（地位がないこと対地位にふさわしくあること）
   • Office: 役職、地位、仕事の場。
   • 教え: 「なぜ自分は出世できないのか」と不満を持つ暇があるなら、「いつ抜擢されてもいいように、能力（Fit yourself）を磨いておく」ことに心を砕くべきです。準備ができていなければ、いざ地位を得ても失敗します。
2. Not Known vs. Worthy of Being Known（知られていないこと対知られるに値すること）
   • Known: 名声、評判、承認。
   • 教え: 「誰も自分を認めてくれない」と嘆くのではなく、「周囲が放っておかないほどの価値ある人間（Worthy）」になるよう努力しなさい。実力があれば、名声は自然とついてきます。

この名言は、「自分を見てくれ（承認欲求）」というベクトルを、「自分を磨こう（自己実現）」というベクトルへと向け変えることで、精神的な自立と確実な成長を促しています。

類似の名言と教訓

似た意味の英語の名言

• “Success is when preparation meets opportunity.” （成功とは、準備が機会と出会うことである。） セネカやオプラ・ウィンフリーの言葉とされ、「Fit yourself（準備）」しておけば、地位（機会）が来たときに成功できるという点で通じます。
• “Seek not to be a man of success, but rather seek to be a man of value.” （成功者になろうとするな。価値ある人間になろうとせよ。） アルベルト・アインシュタインの言葉。地位（success）よりも、中身（value/worthy）を重視する姿勢が孔子と一致します。

似た意味の日本語のことわざ（論語の書き下し文）

• 「位（くらい）無きを患（うれ）えず、立つ所以（ゆえん）を患えよ。己（おのれ）を知る者なきを患えず、知らるべきを為すを求めよ。」 これがこの英語名言の元となった『論語』の一節です。
• 「桃李（とうり）もの言わざれども下（した）自（おのずか）ら蹊（みち）を成す」 意味: 桃や李（すもも）は何も言わないが、花や実が美しいので人が集まり、自然に道ができる。徳や実力があれば、宣伝しなくても人は自然に慕ってくるという意味です。

孔子（Confucius）の生い立ち

孔子（紀元前551年頃 – 紀元前479年頃）は、古代中国の春秋時代の思想家で、儒教の創始者です。

• 不遇の時代と自己研鑽 孔子は、理想の政治を実現しようと諸国を巡りましたが、多くの場合、重要な地位（Office）には就けず、不遇な時代を長く過ごしました。しかし、彼は腐ることなく、学問と道徳の研鑽（Fit himself）を続け、弟子たちの教育に力を注ぎました。
• 万世の師表 彼は生前、世俗的な意味での「高い地位」や「権力」を得ることはできませんでしたが、彼が磨き上げた「徳」と「教え」は、死後2500年以上にわたり東洋社会の基盤となり、結果として誰よりも「知られる（Known）」存在となりました。この名言は、彼自身の生き様が証明した、時代を超える成功の法則です。

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心に響く英語ことわざ（878）米国独立に尽力したベンジャミン・フランクリンの名言　Do not fear mistakes. You will know failure. Continue to reach out.（七転び八起き）

https://www.eionken.co.jp/note/do-not-fear-mistakes/

心に響く英語ことわざ（880）ジョージ・バーナード・ショーの名言　We are all dependent on one another, every soul of us on earth. （私たちは皆、互いに依存し合っている）

https://www.eionken.co.jp/note/we-are-all-dependent-on-one-another/

著者Profile

山下 長幸（やました ながゆき）

・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。

・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ：学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか？」など26冊がある。

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