心に響く英語ことわざ（882）米国独立に尽力したベンジャミン・フランクリンの名言　Speak ill of no man, but speak all the good you know of everybody.（人の長所を見て、短所を見るな）

“Speak ill of no man, but speak all the good you know of everybody.”

直訳は「誰の悪口も言わず、すべての人について、あなたが知っている良いことを話しなさい」で、これは、アメリカ合衆国の建国の父であり、卓越した外交官でもあったベンジャミン・フランクリンが、「人間関係を円滑にするための黄金律」について説いた、処世術と人格形成の極意です。

この名言は、単に「口を慎む（悪口を言わない）」という消極的な守りだけでなく、積極的に「人の長所を語る」ことで、信頼と好意を築き上げることができるという、成功する人間関係の秘訣を表現しています。

名言の意味：批判は敵を作り、称賛は味方を作る

フランクリンは若い頃、論争好きで毒舌家だったため、周囲から疎まれた経験があります。彼はそこから学び、意識的にこのルールを実践することで、誰からも愛される人格者へと生まれ変わりました。

鍵となる二つの行動指針

1. Speak Ill of No Man（誰の悪口も言わない） 「Ill」は「悪く、有害に」という意味です。批判、陰口、非難は、一時的なストレス解消になるかもしれませんが、必ず相手の耳に入り、恨みや敵対心を生み出します。フランクリンは、「どんな人にも、その人なりの言い分や事情がある」と考え、批判を封印しました。
2. Speak All the Good You Know of Everybody（知っている全ての良いことを話す） ここが重要なポイントです。単に黙っているのではなく、意識的に相手の「良い点（Good）」を探し、それを言葉にして伝えることを推奨しています。
   • 人の長所を語ることは、回り回って自分自身の評価を高め、強固な信頼関係（人脈）を築く最強の武器となります。

この名言は、批判は「百害あって一利なし」であり、称賛こそが「成功へのパスポート」であるという、極めて実利的かつ道徳的な教訓です。

類似の名言と教訓

似た意味の英語の名言

• “If you can’t say something nice, don’t say anything at all.” （良いことが言えないなら、何も言うな。） 英語圏の家庭で親が子供に教える最も一般的なしつけの言葉です。フランクリンの名言の前半部分（Speak ill of no man）と一致します。
• “He has a right to criticize, who has a heart to help.” （批判する権利があるのは、助ける心を持っている人だけだ。） エイブラハム・リンカーンの言葉。建設的でない批判（悪口）を戒めています。

似た意味の日本語のことわざ

• 「口は災いの元」（くちはわざわいのもと） 意味: 不用意な発言（悪口など）は、自分に災難を招く原因となるという意味で、前半部分への警告です。
• 「天に向かって唾を吐く」（てんにむかってつばをはく） 意味: 人に害を与えようとすれば、結局は自分に返ってくるという意味です。
• 「人の長所を見て、短所を見るな」 意味: フランクリンの後半部分（Speak all the good）と同じく、意識の向け方をポジティブな面に絞ることを説いています。

ベンジャミン・フランクリン（Benjamin Franklin）の生い立ち 🪁

ベンジャミン・フランクリン（1706-1790）は、アメリカの政治家、科学者、作家であり、「アメリカで最初の外交官」とも呼ばれます。

• 論争家から外交官へ 若き日のフランクリンは、頭の回転が速く、論理で相手を打ち負かすことを得意としていました。しかし、友人から「君はいつも正しいが、君の周りには誰もいなくなるだろう」と指摘され、ハッとします。
• 自己改善のシステム 彼は、人を批判せず、謙虚に振る舞うことを決意し、有名な「13の徳目」を作って自分を訓練しました。特に「沈黙（他人や自分の益にならないことは話さない）」という項目は、この名言の基礎となっています。彼が後にフランスの援助を引き出し、アメリカ独立を成功させた背景には、この「誰の悪口も言わず、良いことを話す」という卓越した人間関係術があったのです。

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心に響く英語ことわざ（881）「ファウスト」で有名なドイツの文豪ゲーテの名言　We cannot fashion our children after our desires, we must have them and love them as God has given them to us. （子供の天賦の才に従う）

https://www.eionken.co.jp/note/we-cannot-fashion-our-children/

著者Profile

山下 長幸（やました ながゆき）

・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。

・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ：学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか？」など26冊がある。

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