- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 204.心に響く英語ことわざ2
公開日
2025.12.04
更新日
2025.12.04
心に響く英語ことわざ(884)「ファウスト」で有名なドイツの文豪ゲーテの名言 Do not give in too much to feelings. A overly sensitive heart is an unhappy possession on this shaky earth. (鈍感力)
“Do not give in too much to feelings. A overly sensitive heart is an unhappy possession on this shaky earth.”
直訳は「感情にあまり屈して(流されすぎて)はいけない。過度に敏感な心は、この不安定な地上においては、不幸な持ち物(財産)である」で、これは、ドイツの文豪ゲーテが、「感受性のコントロールと精神的な自衛」について説いた、現実世界を生き抜くための厳しくも実用的な助言です。
この名言は、豊かな感受性は芸術などにおいては宝ですが、理不尽で不安定な現実世界(shaky earth)で生きていく上では、傷つきやすくなり、身を滅ぼす「不幸な持ち物」になり得ると警告しています。感情に飲み込まれず、ある程度の「鈍感力」や「強さ」を持つことの重要性を説いています。
名言の意味:敏感すぎる心は、生存には重荷となる
ゲーテは、多感な青年期を経て、円熟した思想家へと成長しました。この言葉は、感情の激流に身を任せることの危険性を知っている彼だからこそ言える教訓です。
鍵となる二つの視点
- Do Not Give in Too Much to Feelings(感情にあまり屈してはいけない) 「Give in」は「屈する、負ける」という意味です。感情を持つこと自体は否定していませんが、それに支配され、理性や生活をコントロールされてしまうこと(Too much)を戒めています。
- A Overly Sensitive Heart is an Unhappy Possession on This Shaky Earth(過度に敏感な心は…不安定な地上においては不幸な持ち物である)
- Shaky Earth: 世界は元々、予期せぬ災害、別れ、裏切りなどが起こる「揺れ動く不安定な場所」です。
- Unhappy Possession: すべての揺れ(刺激)を真正面から受け止めてしまう「敏感すぎる心」を持っていると、心休まる暇がなく、常に苦痛を感じてしまうため、それは所有者を不幸にする「荷物」になってしまうという冷徹な分析です。
この名言は、優しさや繊細さを持ちながらも、世界の不条理に潰されないために、心に「鎧(よろい)」や「耐性」を身につける必要性を教えてくれます。
類似の名言と教訓
似た意味の英語の名言
- “The world breaks everyone, and afterward, some are strong at the broken places.” (世界はすべての人間を打ち砕く。そしてその後、砕かれた場所が強くなる人もいる。) アーネスト・ヘミングウェイの言葉。世界の過酷さ(shaky earth)と、そこで生きる強さの必要性を説いています。
- “Feelings are good servants but bad masters.” (感情は良い召使いだが、悪い主人である。) 感情に支配される(give in)ことの危険性を説く格言です。
似た意味の日本語のことわざ・概念
- 「柳に雪折れなし」(やなぎにゆきおれなし) 意味: 柳の枝はしなやかなので、雪が積もっても折れない。敏感に反発したり真正面から受け止めたりせず、柔らかく受け流す強さ(鈍感力)の大切さに通じます。
- 「鈍感力」(どんかんりょく) 渡辺淳一氏が提唱した概念。些細なことを気にしない「鈍さ」こそが、ストレス社会を生き抜く才能であるという考え方で、ゲーテの指摘する「Unhappy possession(敏感さ)」の対極にある解決策です。
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(Johann Wolfgang von Goethe)の生い立ち
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(1749-1832)は、ドイツの詩人、小説家、劇作家です。
- 『若きウェルテルの悩み』の教訓 若き日のゲーテは、「シュトルム・ウント・ドランク(疾風怒濤)」運動の中心人物であり、感情の解放を叫びました。彼の書いた『若きウェルテルの悩み』の主人公ウェルテルは、まさに「Overly sensitive heart」の持ち主であり、叶わぬ恋と社会との軋轢に苦しみ、最終的に自殺してしまいます。
- 客観性と強さへの転換 ゲーテ自身も自殺を考えるほど悩んだ時期がありましたが、彼はウェルテルと違って生き残りました。彼はイタリア旅行や科学研究を通じて、主観的な感情(ロマン主義)から、客観的な事実や調和(古典主義)へと視点を移すことで、自らの精神のバランスを保つ術を身につけたのです。この名言は、感受性ゆえに苦しんだ過去の自分、あるいは繊細な若者たちへ向けた、生き残るための父性的なアドバイスと言えます。
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心に響く英語ことわざ(883)「マイフェアレディ」の原作で有名なアイルランドの劇作家ジョージ・バーナード・ショーの名言 We must always think about things, and we must think about things as they are, not as they are said to be.(自分の目と頭で事実を直視して判断することが重要)
https://www.eionken.co.jp/note/we-must-always-think-about-things/
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。
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