- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 204.心に響く英語ことわざ2
公開日
2025.12.05
更新日
2025.12.06
心に響く英語ことわざ(886)「ファウスト」で有名なドイツの文豪ゲーテの名言 Error is acceptable as long as we are young; but one must not drag it along into old age.(過ちから学ばず、修正しないまま歳をとってはならない)
“Error is acceptable as long as we are young; but one must not drag it along into old age.”
直訳は「過ちは、若いうちなら許容される。しかし、それを老年まで引きずってはならない」で、これは、ドイツの文豪ゲーテが、「成長とは過ちを修正していくプロセスである」ことについて説いた、人生の成熟に関する教訓です。
この名言は、若い頃の失敗や未熟な考え(Error)は、成長の糧として認められるべきだが、歳を重ねてもなお同じ過ちを繰り返し、修正しないまま(drag it along)でいることは許されないという、精神的な成長の義務を説いています。
名言の意味:過ちは「卒業」すべきものである
ゲーテは、人間形成(ビルドゥング)を生涯のテーマとしました。彼にとって、老いとは単なる衰退ではなく、若き日の過ちを浄化し、知恵へと昇華させる時期であるべきでした。
鍵となる二つの段階
- Error is Acceptable as Long as We Are Young(過ちは、若いうちなら許容される) 経験不足や情熱の暴走による失敗は、若さの特権であり、学びの一部です。ゲーテ自身も若い頃は多くの過ちや無謀な恋を経験しましたが、それを否定はしません。
- But One Must Not Drag It Along Into Old Age(しかし、それを老年まで引きずってはならない) ここが重要な警告です。
- Drag it along: 「ずるずると引きずる」という重苦しいイメージです。
- 過ちそのものが悪いのではなく、過ちから学ばず、執着し、修正しないまま大人になる「停滞」こそが罪であると説いています。成熟するとは、過去の荷物(Error)を一つずつ降ろしていくプロセスなのです。
類似の名言と教訓
似た意味の英語の名言
- “The only real mistake is the one from which we learn nothing.” (唯一の本当の過ちは、そこから何も学ばない過ちである。) ヘンリー・フォードの言葉。学ばずに引きずること(learn nothing)への批判として共通します。
- “To err is human; to persist in error is diabolical.” (過ちを犯すのは人間的だが、過ちに固執するのは悪魔的である。) セネカやアウグスティヌスの言葉に由来。「Drag it along」(固執)がいかに悪であるかを強烈に表現しています。
似た意味の日本語のことわざ
- 「過ちて改めざる、これを過ちという」 論語(孔子)の言葉。失敗することではなく、修正しない(老年まで引きずる)ことこそが本当の過ちだと説いており、ゲーテの思想と合致します。
- 「若気の至り」(わかげのいたり) 意味: 若さゆえの無分別な行動。これは「acceptable」とされますが、「いい年をして」と言われるようになると、それは許されなくなります。
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(Johann Wolfgang von Goethe)の生い立ち
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(1749-1832)は、ドイツの詩人、小説家、劇作家です。
- 疾風怒濤から古典主義へ 若き日のゲーテは「シュトルム・ウント・ドランク(疾風怒濤)」の旗手として、感情の赴くままに生き、恋愛スキャンダルや未熟な振る舞い(Error)も多々ありました。しかし、彼はそこで止まりませんでした。
- 脱皮し続けた生涯 彼はワイマール公国の宰相として実務をこなし、イタリア旅行を経て精神的なバランスと調和を重んじる「古典主義」へと成熟していきました。彼は82歳で亡くなる直前まで自分を更新し続け、決して若い頃の過ちや栄光にしがみつき(drag along)ませんでした。『ファウスト』が完成したのが死の直前であったことが示すように、彼は一生をかけて「過ち」を「真理」へと練り上げていったのです。
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心に響く英語ことわざ(885)米国独立に尽力したベンジャミン・フランクリンの名言 If you desire many things, many things will seem few.(足るを知る)
https://www.eionken.co.jp/note/if-you-desire-many-things/
心に響く英語ことわざ(887)「ロミオとジュリエット」で有名なイギリスの文豪ウィリアム・シェイクスピアの名言 Let me embrace thee, sour adversity, for wise men say it is the wisest course.(逆境は賢明な道)
https://www.eionken.co.jp/note/let-me-embrace-thee/
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。

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