心に響く英語ことわざ（916）スペインの芸術家パブロ・ピカソの名言　Only put off until tomorrow what you are willing to die having left undone.（やり残したまま死んでも後悔しないことだけを明日に回せ）

“Only put off until tomorrow what you are willing to die having left undone.”

直訳は「やり残したまま死ぬことになっても構わないと思うことだけを、明日に延ばしなさい」で、似た意味の言葉に「今日できることを明日に延ばすな」や「一期一会」があります。

パブロ・ピカソ（Pablo Picasso）の名言の意味

この言葉は、20世紀最大の芸術家であるパブロ・ピカソが、「今ここ」における創造の緊急性と、時間の有限性について説いたものです。ピカソは、生涯で数万点にのぼる膨大な作品を残しましたが、その超人的な多作の裏には、「明日自分が死ぬかもしれない」という強烈な死生観と、描きたい衝動を一刻も猶予しないという覚悟がありました。「明日やればいい」という妥協は、人生において本当に重要なことを放棄することに等しいと警告しています。

この言葉が意味すること

この名言は、優先順位の付け方における究極の基準を提示しています。

• 「Only put off until tomorrow」（～だけを明日に延ばせ） 私たちは日常的に物事を先延ばしにしますが、ピカソは「延ばしていいもの」を極めて限定的に定義しています。
• 「willing to die having left undone」（やり残したまま死んでも構わない） もし今夜、自分の人生が幕を閉じるとして、その仕事や表現が未完のままでも「まあ、いいか」と思えるような些末なことだけを、明日に回しなさいという意味です。逆に言えば、「死んでも悔いが残るほど大切なこと」は、今すぐに着手しなければならないという強い促しです。

似た意味の言葉

• 英語: “Never put off till tomorrow what you can do today.” （今日できることを明日まで延ばすな。） — ベンジャミン・フランクリン
• 日本語: 「明日ありと思う心の仇桜（あすありとおもうこころのあだざくら）」：明日もまだ桜は咲いているだろうと思っていると、夜中に嵐が吹いて散ってしまうかもしれない。物事を先延ばしにすることの危うさを説いた言葉です。

パブロ・ピカソ（Pablo Picasso）の生い立ち

パブロ・ピカソ（1881-1973）は、キュビスムの創始者の一人であり、絵画、彫刻、陶芸など多岐にわたる分野で革新を起こした天才です。

• 神童としての出発: 1881年、スペインのマラガに生まれました。画家の父のもとで幼少期から驚異的な才能を発揮し、10代半ばにはすでに古典的な技法を完全に習得していました。
• 「青の時代」から「キュビスム」へ: パリに移住後、親友の死などを経て孤独を描く「青の時代」、明るい「ばら色の時代」を経て、視点を解体する「キュビスム」を確立。伝統的な破壊と創造を繰り返しました。
• 止まらない情熱: 彼の生涯は常に変化と実験の連続でした。91歳で亡くなる直前まで、彼はキャンバスに向かい続けました。ピカソにとって「描くこと」は呼吸と同じであり、彼にとって描き残すことは死ぬことよりも恐ろしいことでした。この名言は、そんな彼の圧倒的な行動力と執念を象徴しています。

名言の出典

この言葉は、ピカソの芸術観や人生観を記録した書簡やインタビュー、友人たちとの会話の記録の中で引用されてきました。特定の出版物の一節というよりも、ピカソが自身の多作の理由や、創作に対する真摯な姿勢を説明する際に好んで用いた格言として知られています。

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https://www.eionken.co.jp/note/here-can-be-no-greater-gift/

著者Profile

山下 長幸（やました ながゆき）

・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。

・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ：学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか？」など26冊がある。

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