- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 204.心に響く英語ことわざ2
公開日
2025.12.27
更新日
2025.12.27
心に響く英語ことわざ(917)フランスの画家ポール・セザンヌの名言 Genius is the ability to renew one’s emotions in daily experience.(天才とは、日常の中で感動を刷新できる能力である)
“Genius is the ability to renew one’s emotions in daily experience.”
直訳は「天才とは、日々の経験の中で自らの感情を刷新(更新)できる能力のことである」で、似た意味の言葉に「初心忘るべからず」や「驚きこそが知性の源」があります。
ポール・セザンヌ(Paul Cézanne)の名言の意味
この言葉は、「近代絵画の父」と称されるポール・セザンヌが、「天才性」の本質を、技術や知能ではなく「感性の鮮度」に見出したものです。セザンヌは、同じ山(サント・ヴィクトワール山)や同じリンゴを何百回も描き続けました。彼にとって、見慣れたはずの光景から常に新しい発見をし、初めて見た時のような「感情の震え」を取り戻すことこそが、真の芸術家に必要な資質であったのです。
この言葉が意味すること
この名言は、マンネリを打破し、世界を新鮮に捉え続けることの重要性を説いています。
- 「renew one’s emotions」(感情を刷新する) 人間は経験を積むほど、物事を「既知のもの」として処理し、感動を失いがちです。しかし、セザンヌは、昨日と同じ日常の中に、今日だけの新しい色彩や形を見出す「感性の更新」こそが、創造力の源泉であると考えました。
- 「in daily experience」(日々の経験の中で) 特別な事件や旅ではなく、ごく普通の日常生活の中にこそ、天才が活動すべき広大な宇宙があることを示唆しています。
似た意味の言葉
- 英語: “The real voyage of discovery consists not in seeking new landscapes, but in having new eyes.” (真の発見の旅とは、新しい景色を探すことではなく、新しい目を持つことにある。) — マルセル・プルースト
- 日本語: 「万物皆師(ばんぶつみなし)」:あらゆるものが自分を教え、感動させてくれる師であるという考え方。
ポール・セザンヌ(Paul Cézanne)の生い立ち
ポール・セザンヌ(1839-1906)は、印象派からポスト印象派、そしてキュビスムへと至る橋渡しをし、ピカソやマティスから「我々すべての父」と仰がれた画家です。
- 銀行家の息子としての葛藤: 南仏のエクス=アン=プロヴァンスで裕福な銀行家の息子として生まれました。当初は父の期待に応えて法学を学びましたが、幼なじみの作家エミール・ゾラの影響もあり、芸術の道を志してパリへ出ます。
- 孤高の探求: 当初はサロン(官展)で落選を繰り返し、批評家からも激しく叩かれました。しかし彼は故郷に戻り、独自の理論(自然を円筒、球、円錐として捉える)をもとに、ひたすら静物画や風景画を追求しました。
- 執念の観察: リンゴが腐るまで観察を続け、山を何十年も描き続けたその姿勢は、まさに「日常の経験」から無限の「感情」を引き出そうとする孤独な戦いでした。晩年になってようやく正当な評価を受け、現代美術の基礎を築きました。
名言の出典
この言葉は、セザンヌが自身の芸術論を語った書簡や、彼を訪ねた若い芸術家たちへの助言として記録されています。特に晩年、彼を慕って集まったエミール・ベルナールらとの対話の中で、自然をいかに観察し、いかに感じるべきかという文脈で語られたものです。
***
心に響く英語ことわざ(916)スペインの芸術家パブロ・ピカソの名言 Only put off until tomorrow what you are willing to die having left undone.(やり残したまま死んでも後悔しないことだけを明日に回せ)
https://www.eionken.co.jp/note/only-put-off-until-tomorrow/
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。
Amazon.co.jp: 英音研株式会社: 本、バイオグラフィー、最新アップデート

お知らせ
英音研公式ブログ
お問い合わせ