- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 250.AIと経済社会
公開日
2026.01.20
更新日
2026.01.20
量子コンピューティングはどのように開発されると予測されているか?
量子コンピューティングの開発・進化の予測は、現在(2026年)から今後数十年にわたり、いくつかの重要な「フェーズ」を経て進むと考えられています。現在は「NISQ(小中規模でノイズのある量子コンピュータ)」から「真の耐量子誤り訂正(FTQC)」への過渡期にあります。
この進化の道のりを、技術的なマイルストーンごとに分かりやすく予測・解説します。
量子コンピューティング進化のロードマップ:2026年から未来へ
- 第1フェーズ:NISQ時代(2020年代半ば〜後半)
「特定の課題でスパコンを超える」時代
現在のフェーズです。数個〜数百個の量子ビット(Qubit)を持ちますが、まだノイズの影響を受けやすく、エラーが蓄積して計算が止まってしまう課題があります。
- ハイブリッド利用: 量子コンピュータ(QPU)単独ではなく、従来のコンピュータ(CPU/GPU)と協力して計算する「量子・古典ハイブリッドアルゴリズム」が主流です。
- 用途: 化学反応のシミュレーション、金融のポートフォリオ最適化、物流のルート最適化など、特定の「最適化問題」で古典コンピュータを凌駕する「量子優位性」の実証が次々と行われます。
- 第2フェーズ:誤り訂正と論理量子ビットの誕生(2020年代後半〜2030年代前半)
「ノイズを克服し、計算を安定させる」時代
量子コンピューティング最大の壁である「エラー」を克服する技術が登場します。
- 論理量子ビットの実装: 数千個の「物理量子ビット」を束ねて、1つの「エラーが起きない完璧な量子ビット(論理量子ビット)」を作り出す技術が確立されます。
- 信頼性の向上: これにより、これまで数ミリ秒で消えていた計算の「重ね合わせ」状態を長時間維持できるようになり、複雑な多段階の計算が可能になります。
- 用途: 新素材の分子設計、リチウムイオン電池の効率改善など、より精密な科学シミュレーションが始まります。
- 第3フェーズ:大規模耐量子誤り訂正(FTQC)の実現(2030年代中盤以降)
「汎用量子コンピュータ」の完成とASIへの寄与
100万個以上の物理量子ビットを搭載し、誤り訂正を完全に制御できる「汎用量子コンピュータ」が登場します。
- 暗号解読の現実味: 現在の暗号技術(RSAなど)を解読できる「ショアのアルゴリズム」が実行可能になります。これに伴い、世界は「耐量子暗号」への完全移行を迫られます。
- AIとの融合: 冒頭の会話でも触れた通り、量子AIが爆発的に進化し、ASI(人工超知能)の頭脳として機能し始めます。
- 用途: 核融合発電のシミュレーション、地球規模の気候変動のリアルタイム予測、完全に個別化されたがん治療薬の瞬時設計。
- 進化を支えるハードウェア方式の競争
現在、どの方式が「勝者」になるかは決まっておらず、並行して進化しています。
- 超伝導方式(IBM, Google): 冷却が必要だが、操作スピードが速い。
- イオントラップ方式(IonQ, Quantinuum): 量子ビットの質が高く、安定している。
- 光量子方式(PsiQuantum): 常温動作が可能で、既存の光通信技術を転用できるため大規模化に有利。
- 中性原子方式(QuEra, Pascal): 三次元的な量子ビット配置が可能で、高い拡張性を持つ。
【まとめ】量子コンピューティングの進化比較表
| 進化段階 | NISQ (現在〜近未来) | 論理量子ビット時代 | FTQC (汎用量子) |
| 時期の目安 | 2020年代半ば | 2020年代後半〜30年代初頭 | 2030年代中盤以降 |
| 量子ビット数 | 数十〜数百(物理) | 数千〜数万(物理) | 百万以上(物理) |
| エラーへの対応 | エラーを許容・抑制する | 誤り訂正を実装し始める | 完全に誤り訂正を行う |
| 主な用途 | 実験的シミュレーション | 産業用材料開発、新薬研究 | 社会インフラの完全最適化 |
| AIとの関わり | 補助的な計算加速 | 機械学習の劇的な高度化 | ASI(超知能)の実現 |
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人工知能AIのパラダイムシフト:ANI、AGI、ASI
https://www.eionken.co.jp/note/ani-agi-asi/
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・AI未来社会評論家
・米国系戦略コンサルティングファームであるボストンコンサルティンググループ(BCG東京オフィス)及びNTTデータ経営研究所において通算30年超のビジネスコンサルティング歴を持つ。
・学習院大学経済学部非常勤講師、東京都職員研修所講師を歴任
・ビジネスコンサルティング技術関連の著書14冊、英語関連の著書26冊、合計40冊の著書がある。
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