- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 120. TOEIC リスニング
公開日
2025.04.02
更新日
2025.04.02

TOEICリスニング対策はどのようにすればよいのか?クリアに聞き取れるようになる勉強法
就活対策のためにTOEICの点数を上げたい大学生の方々、昇進条件のTOEICの点数をクリアしたい社会人の方でTOEICの勉強に励んでおられる方は多いと思います。
しかし、中学・高校と英文法や英文読解の勉強はそれなりに頑張って点数がとれたものの、英語リスニングは苦手な方が多いと思います。本稿ではTOEICリスニングがクリアに聞き取れるようになる対策・勉強法を解説します。
一般的なTOEICリスニング対策
TOEICリスニング対策として英文法や英単語・英熟語の基礎的な学習は当然必要ですが、本稿ではそれらを除くTOEICリスニング対策について論じたいと思います。
一般的なTOEICリスニング対策としては以下のようなものが実施されているようです。
〇TOEICリスニング試験向けの演習問題をたくさんこなすこと
〇TOEICリスニング問題を解いたあと、ディクテーションをやること
〇TOEICリスニング問題文のシャドーイングを行うこと
〇リンキングなど音の変化を学習することなど
それぞれについてコメントしたいと思います。
〇TOEICリスニング試験向けの演習問題をたくさんこなすこと
⇒TOEICリスニング試験対策として制作された教材は、英語音声を聞いて、設問を解いて、採点をして、英語音声のスクリプトを含めて解説を読むというスタイルとなります。
このような勉強は、試験の形式に慣れる意味でも当然そのような学習は必要となります。
そしてTOEICリスニング問題演習を積み重ねると得点は上昇しますが、ある時点で得点は頭打ちとなります。
TOEICリスニング問題演習ではその人の得点能力の評価をすることはできますが、その人の英語リスニング力の向上にはなかなかつながりにくいものがあります。
TOEICリスニング試験の得点力の向上を目指そうとすると別の方法論が必要となります。
〇TOEICリスニング問題を解いたあと、ディクテーションをやること
⇒ディクテーションは英音を聞きながら英文を書き起こしていく勉強方法です。
この勉強法は英音をどれくらい理解できているかを評価する意味では結果ははっきり出ますが、ディクテーションをいくらやっても画期的に英語ヒアリング力が伸びることは期待できません。
聞き取れないものは聞き取れないので、文字に書き起こしようがありません。
スクリプトを見えてこう言う単語かと認識したとしても、別の機会に把握できるとは限りません。
また、ディクテーションは英単語のスペリングの正確性も要求されるので、とても学習するのにとても時間がかかります。
英語のヒアリングの勉強というより、英語での会議や講義の議事メモを書く能力を向上させるための勉強方法と言えます。
〇TOEICリスニング問題文のシャドーイングを行うことなど
⇒シャドーイングやリピーティングなど、英音発声に続けて発声をするトレーニングです。
これをやってみたことがある人も多いと思いますが、英語ヒアリング力向上の効果はあまり感じられなかったと思います。
英音研スタッフも日常英会話やビジネス英会話などの音声教材を使って随分長い間シャドーイングやリピーティングをやりました。
特定の教材を半年も毎日続けていると次第に例文も頭に入ってきてシャドーイングやリピーティングが相当程度できるようになります。
そしてその成果をひっさげて米国テレビドラマを英語音声のみ字幕なしで視聴すると、たまに英単語が聞き取れるだけで後は単なる音の流れとしか聞こえず、討ち死にすると言うことの繰り返しでした。
〇リンキングなど音の変化を学習すること。
⇒リンキング、リダクションが英音発声で起きるのは正しいですが、これらを教材で勉強したからと言って、残念ながら英語ヒアリング力の画期的な向上にはつながりません。
英音研スタッフはリエゾン教材を半年くらい毎日聞いて、時に発声練習もして勉強しました。リンキング、リダクションが起きる理屈を知ることは面白かったですが、英語リスニング力の向上という面でさっぱりでした。
リンキング、リダクションは1分間に300単語くらいの高速で発声すると自然に起きる現象で、理屈を勉強し少し発声練習をしたからと言って、それで英語リスニング力が劇的に向上することはありません。
このような感じで、一般的に言われているTOEICリスニング勉強法はこのようなものが多いのも確かですが、その通りやってみても効果はなかなか出ません。

本当のTOEICリスニング対策
英語音声が聞き取れるということは「英音を認識すること」と「意味を認識すること」の2つに大きく分けることができます。
多くの日本人が米国のテレビドラマを英語のみ字幕なしで視聴したとき、米国人の俳優のセリフはたまに英単語を聞き取ることができるくらいで、あとは単なる音の流れとしか認識できないと思います。
単なる音の流れとしか認識できない場合は「英音を認識した」とは言えません。
「英音を認識すること」とは英語音声が英単語単位で英単語が1つ1つ区別して認識できることを言います。
そして英語音声が英単語単位で認識できたとして、それを英語音声のまま意味するところを理解できる日本人の方はかなり少ないと思われます。
多くの日本人の方は1つ1つの英単語を必死で日本語に置き換えてようやく英語音声の意味するところを理解しているものと想定されます。
多くの就活大学生の方々や昇進条件に一定以上のTOEICの点数が必要な社会人の方々はTOEICリスニングテストで何とか得点を向上させたいと願っておられると思います。
英語音声を英語のまま理解できれば、それに越したことはありません。
現実的にはそれはできないので皆困っている訳で、それができない以上、認識した英単語1つ1つの英語音声を日本語に必死で置き換えることにより、英語音声の意味するところが何とか理解できれば正解に至るチャンスは増える訳です。
ですので、なんとか英語音声を英単語単位で1つ1つキャッチできれば、必死の日本語変換努力が可能なわけですが、英語音声が英単語単位で1つ1つキャッチできず、単なる音の流れとしか聞こえなければ、日本語変換するはできません。
となると、何はともあれ、英語音声を英単語単位で1つ1つキャッチするにはどうしたら良いのかということが、まずは重要課題となります。

英語音声を英単語単位で1つ1つキャッチする方法
【日本語リスニング脳】
日本語を母国語とする日本人は、日ごろ日本語の生活環境にいて、日本語リスニング脳が構築できているので、日本語音声を単語単位で認識し、その意味も日本語ベースで認識することができ、日本語音声をたやすく聞き取ることができます。
日本語の発声特性と英語の発声特性は構造的に大きく異なるため、日本語リスニング脳で、英語発声音を英単語単位で1つ1つキャッチすることは難しいものとなります。
そのため日本人が英語発声を英単語単位で1つ1つ認識できるようになるには、英語リスニング脳をトレーニングにより構築する必要があります。
【英語リスニング脳を構築するトレーニング方法】
それではどのようなトレーニングを積むと英語リスニング脳が構築できるのでしょうか?
それは、英語発声特性を活用した英文音読トレーニングを実施することが効果的です。
英文音読ですかあと感じられた方も多いと思います。
英文音読が英語力向上に役立つと聞いてトライした方も多いと思います。
そしてほとんどの人は英文音読を止めていると思います。
理由は簡単で、英文音読は労力と時間が掛かる割に、英語リスニング力を含め英語力が向上したとは感じられないからです。
なぜ英語音読をやっても効果が感じられないのでしょうか?
それは日本語発声特性で英語音読をしてしまうからなのです。
日本語発声特性でいくら英文音読をやっても英語リスニング脳の構築はできません。
逆に英語発声特性を十分に加味して英文音読をすると、英語リスニング脳が構築でき、驚くほど英語リスニング力が向上して、英語発声を英単語単位で1つ1つ認識できるようになります。
【英語発声特性とは】
それでは英語発声特性とはどのようなものでしょうか?
英語発声は、呼気の流し方、音階、舌の使い方、口の開き方など、日本語発声の仕方とかなり異なります。詳しくは英音研学習サイトで詳しく具体的に図解で解説していますので、ぜひそちらをご覧ください。
【英語リスニング脳の構築方法とは】
上記の英音研学習サイトをみれば、英語発声特性を理解することはそれほど難しくありません。
しかし、理屈を理解しただけでは英語リスニング脳を構築することはできません。
英語聴覚脳を構築するためには英語発声特性を加味した英語音読トレーニングを毎日短時間で良いので継続的に実施することが必須です。
英語発声特性の土台は、呼気の流し方、音階、舌の使い方、口の開き方などが非常に重要です。これらをきちんと実践しつつ、英文音読をする必要があります。
英文音読では英単語のアルファベット1文字1文字をきちんと発声する必要があり、英語フォニックスを毎日1~2分復習することにより脳に刻み込むことが非常に重要です。
そして、1英単語ベースでは音節、アクセント強弱を意識した発声も毎日数分復習することにより脳に刻み込むことも非常に重要です。
1英文での強弱を意識した発声を数分復習することにより脳に刻み込むことも非常に重要です。
そのうえで英音研学習サイトでは、米国人ナレーターによる音声録音により、英語フォニックスなどの基礎的な学習から、英文を低速・中速・高速の3種で読み上げるトレーニングも実施します。
高速音声に関しては、音声装置を使って機械的に2倍速や3倍速などの不自然な音声ではなく、米国人ナレーターによる肉声での高速発声録音になっていて、高速発声になったとき、どのような強弱リズムになるのかなど非常に勉強になりますので、トライしみてください。
そして米国人ナレーターの高速発声に近い音読ができるようになったとき、英語ネイティブスピーカーの発声方法がどれほど日本語発声方法と違うかということが良く理解でき、そして英語リスニング脳が構築でき、自然体で英語リスニング力が向上していることを実感できることでしょう。
このような音読トレーニングを毎日15分間続け、英音発声特性を脳に刻み込むことにより、英音聴覚脳を構築することができ、英語発声を英単語単位で1つ1つ認識できるようになる訳です。

英語音声の意味を認識する方法
【日本語への置き換え】
英語発声を英単語単位で1つ1つ認識できるようになったからと言って、英語音声の意味がしっかり把握できるという訳ではありません。
多くの日本人は、中学・高校で、英単語の意味を日本語で理解するという英語教育を受けてきました。
日本語が母国語である以上、これは不可避です。
英文和訳の試験問題に対処するにも英単語の意味を日本語で理解していることは必須です。
英語音声を英語のまま理解できることは理想ではありますが、一足飛びにそこに至る方法論はありません。
TOEICリスニングテストの点数を向上させようと思ったら、認識できた英語音声の英単語1つ1つをなりふり構わず、日本語に置き換えていって英語音声の意味を把握し、設問の正答率を高めるというのはごく自然な努力だと思います。
英文和訳の場合は、英文を前から後ろから見返すことが可能ですので、じっくり英文を日本語に置き換えていくことが可能ですが、英語音声は、発声されたその場からどんどん音声は消えていくので、ともかく発声された英語の語順の通りに日本語に置き換えていってそのまま英語音声の理解をするというトレーニングは必須です。
例えば”The survey team carried out over 200 interviews with retired people.”(調査チームは、退職者へのインタビューを200回以上実施した)という英語音声だと”The(それ) ⇒ survey(調査) ⇒ team(チーム) ⇒ carried(運ぶ) ⇒ out(外へ) ⇒ over(以上) ⇒ 200(200) ⇒ interviews(インタビュー) ⇒ with(とともに) ⇒ retired(引退した) ⇒ people(人々).”
これにより何とか英語音声の意味が理解できる訳です。ただこの方法は英語発声スピードが速くなってくると、日本語置き換えが苦しくなってくるのも確かですが、英語リスニング力の進化の過程では英語音声の意味を理解するのにはこの方法しかないと思います。
【英単語の意味のイメージへの置き換え】
英語音読トレーニングの努力を継続して、英語リスニング脳が強くなってきて、英語単語音声のキャッチ力が強まってくると、日本語に置き換えなくても、英単語の意味のイメージで理解できるようになってきます。
英単語のイメージの方が、日本語への置き換えよりも若干スピードが速くできるので英語音声の意味の理解も楽になってきます。
【英語音声のまま理解】
英語音読トレーニングの努力を継続して、さらに英語聴覚脳が強くなってきて、英語単語音声のキャッチ力が強まってくると、認識できた英語音声の英単語1つ1つが単語のまま頭の中を流れるようになります。
例えばさきほどの”The survey team carried out over 200 interviews with retired people.”(調査チームは、退職者へのインタビューを200回以上実施した)という英文だと、”The ⇒ survey ⇒ team ⇒ carried ⇒ out ⇒ over ⇒ 200 ⇒ interviews ⇒ with ⇒ retired ⇒ people.”
では「退職者200人以上調査したのね」で了解という感じです。
そうなってくると少々の高速英語音声でも楽に意味を理解することが可能となります。

まとめ
英語が聞き取れるということは「英音を認識すること」と「意味を認識すること」の合わせ技です。
「英音を認識すること」は英語音声を英単語単位で1つ1つキャッチするということでそのためには英語リスニング脳を構築するトレーニング方法を実践することが必要です。
英音研学習サイトでその基礎理論とトレーニング教材を提供していますので、ぜひ実践してみてください。
英語音声を英単語単位で1つ1つキャッチできた1つ1つの英単語の音声の意味を理解するには、ともかくなりふり構わず、発声された語順の通り日本語に置き換えることです。
日本語が母国語である以上、当座のしのぎとしてはこれしかありません。
英語リスニング脳を構築するトレーニングを積み重ねる中で、キャッチできた英単語音声がイメージで意味を理解できるようになり、さらにいつのまにか英単語音声のまま意味が理解できるようになります。
英音研学習に取り組み、英語リスニング脳を構築し、この境地を味わっていただける人が増えることを望んでおります。
就活大学生・社会人の皆様、英音研学習を通じて、TOEICリスニングテストで楽勝に得点ができることを願ってやみません。
以下の記事もご覧ください。
おすすめのTOEICリスニング対策の参考書・問題集はどのように活用すべきか?
https://www.eionken.co.jp/note/toeic-listening-reference-boo/
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著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英音研株式会社創業者・代表取締役
・米国系戦略コンサルティングファームであるボストンコンサルティンググループ(BCG東京オフィス)及びNTTデータ経営研究所において通算30年超のビジネスコンサルティング歴を持つ。BCGでは日本のみならず、米国・欧州企業向けに経営戦略、マーケティング戦略、業務改革(BPR)、新規事業や新サービス開発プロジェクト、ソーシャルメディアマーケティングなどを多数経験。NTTデータ経営研究所においては、グローバルビジネス推進センターのエクゼクティブコンサルタントとして、米国、中国、台湾、香港、ベトナム、タイ、マレーシア、インドネシア、バングラデシュ、UAE、サウジアラビアなどにおける市場調査・輸出拡大戦略立案などに従事。
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語スピーキング脳を構築する効果的な学習方法も考案、英音研公式ブログに学習方法を投稿。
・趣味は米国の映画・ドラマを視聴して、米国人の価値観、文化、風習などを感じ取ること
・最近は、長年疑問に思っていたことや知りたいと思っていたことを生成AIに質問して、回答を読んで納得したりしている。これからの時代は膨大な知識データベースでもある生成AIへの質問力がポイントになると考えている。
・晴れていると、近くの小さな川沿いをウォーキングして、季節の移ろいを感じている。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など8冊がある。
Amazon.co.jp: 英音研株式会社: 本、バイオグラフィー、最新アップデート
・「シニアになって米国オンライン教育を受講してみた」シリーズとして9冊の書籍を発刊
「シニアになって米国の子供向け英語フォニックスのオンライン教育を受講してみた」
「シニアになって米国高校生向け米国史オンライン教育を受講してみた」
「シニアになって米国高校生向け化学オンライン教育を受講してみた」など
・ビジネスコンサルティング技術関連の著書に「ビジネスコンサルティング技術・マインド体系」「新規事業アイデア創造の技術」「ビジネスレポートを書く技術」「ビジネスプレゼンテーションの技術」など14冊がある。