- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 105. 英語リスニング脳 悩み解決
公開日
2025.04.02
更新日
2025.04.02

聞き流し英語学習は効果があるのか?英語を聴いて耳を慣らすだけでは英語リスニングは上達しません。
インターネットの発達で英語音声コンテンツが豊富に提供されています。
これらの英語を聞き流すことで、英語リスニング力が飛躍的に向上するでしょうか?
体験談をベースにお話しします。
ケーススタディ1:幼児には英語聞き流しに効果があった
ドイツ人の文豪ゲーテは幼少の頃、ゲーテの両親が息子のゲーテをマルチリンガルに育てるため、イギリス人やフランス人の家政婦さんを雇い、幼いゲーテにその家政婦さんたちから英語、フランス語で話しかけるようにしたところ、母国語のドイツ語はもとより、英語、フランス語も自然と聞けて話せるようになったとの話を、私の子供が4歳くらいの頃、幼児教育の本で読みました。
確かに外国語は小さい頃からやった方が苦労しなくて済むだろうとは考えたものの、まさか米国人の家政婦さんを雇うお金もないし、日本人ばかりの自分の家庭で子供に英語で話しかけて英会話をするなどというのも面倒で現実的でないわけです。
そこで、幼児向けの英語教材を探したところ、その当時ディズニーから発売されていましたが、おぼろげな記憶では数十万円と超高額だったので、それは諦め、PALKIDSという幼児向け英語教材が良さげな感じで、価格は数万円とそれでも高価なものでしたが、ディズニーよりは安価だったので、それを購入しました。
4歳の子供に英文法や英単語をごりごり教える訳にもいかず、ともかく自家用車に乗っている間、家での朝食や夕食の間などあらゆる機会をとらえて、教材の英語音声を流し続けました。
ただ英語音声を流すだけで、テキストなどで教えることはほとんどなしでした。英語音声コンテンツは大人でも楽しめるもので、米国の子供はこんな童謡を聞いて育っているのかあという感じでした。
そしてそれだけを子供が10歳くらいまで6年間ひたすら続けました。
それから10年の歳月がたち、子供は大学生となり、就職対策のためにお決まりのTOEICを受験しました。
普通の日本人大学生は英文読解の方が英語リスニングより点数が良いケースが多い訳ですが、我が子供は、その逆で英語リスニングの方が英語読解よりも点数が良いという結果となりました。
本人曰く、「特にリスニングに関してすごく努力もしていないけれど、なぜか良く聞こえるんだよね。多分、子供の頃聞いていた英語テープのおかげだと思う」
これを聞いてあの頃の努力は報われたなと思った次第です。
今から思えば0歳のころからやっていればもっとすごかったかも思いますが、孫ができたらトライしようかと思っています。
ということで、サンプル1ですが、幼児であれば聞き流すだけでも効果が出たケースでした。

ケーススタディ2:大人には英語聞き流しは効果がなかった
筆者の場合、日本企業の日本人相手の仕事がメインなので、業務上、英語力はほぼ必要なく、数年に1度ある英米企業や英米見本市視察の際に少し使う英語のために、少し英語の勉強が必要という状況でした。
そのレベルの英語力しか必要がないので、つらい英語ディクテーションや疲れる英文音読はしたくない訳で、聞くだけで英語が聞けて話せるようになると言ううたい文句の聞き流し英語教材は非常に魅力的に映った訳です。
勉強時間は主に会社の行き帰りの満員電車の中でした。
身動きできない満員電車内では書籍を開くこともできないので、聞き流し英会話は電車内勉強教材としてはうってつけでした。
半年も同じカセットテープを繰り返し聞いていると、英文テキストがなくてもほぼ100%英音を聞き取れるようになります。
英語リスニング力はすごく伸びたと感じ、力試しに米国テレビドラマを英音のみ・字幕なしで見ると、何とほとんど聞き取れない。
聞き流し英語教材は100%完璧に聞こえるのに、米国テレビドラマの俳優さんたちのセリフはたまに英単語が拾えるくらいであとは単なる音の流れとして聞こえず、当然セリフの意味も全く分からないという状況でした。
なぜこんなことが起こるのか全く不可解でした。
この聞き流し英語教材は、コンテンツが優れていてとても面白い内容でしたので、数万円を投じて初級、中級、上級とすべての教材で聞き流し英語勉強をしました。
そして1つのカセットテープを終えるごとに、力試しに米国テレビドラマを英音のみ・字幕なしで視聴しても全く歯が立たない状況がずっと続きました。
今から思えば、吹込み英音の発声スピードは速くなく、英単語・英熟語のレベルで言うと、教材で使用されている英単語・英熟語が非常に簡単なものがほとんどで、意味を知らない英単語・英熟語のせいで英語の表現内容が判らなくなるということがほとんどなかったのです。
その後、ビジネス英語、プレゼンテーション英語、日常英会話、ドラマ英語、パターンプラクティス英語など、カテゴリーを変えて英語音声教材の聞き流しを10数年続けましたが、米国テレビドラマを英音のみ・字幕なし視聴は全く通用しないという結果に終わりました。
英語スピーキングはと言うと、話す機会がほとんどないこともありましたが、こちらも口をついて英語が出てくるなど言うことは全くありませんでした。
と言うことで、サンプル1ではありますが、大人には聞き流し英語学習は、英語リスニング・英語スピーキングの成果は十分なものとは言えないものでした。

なぜ英語聞き流し学習は大人には効果が薄いのか?
英語リスニング力の向上には、英単語・英熟語力や英文法力も必要ですが、根本的には、幼児であれば、脳の言語能力取得過程として自然に母国語が定着するのと同様の理屈で、英語聞き流しだけでも英音聴覚脳が構築可能なのに対して、大人では、脳における母国語の自然な獲得能力は終了していて、英語リスニング脳は獲得できないということなのだと思います。
英語スピーキングに関しても、大人の場合、英語聞き流しだけでは口をついて英語が出てくるということはなく、そうである理由は、英語リスニングと基本的には同じことなのだと思います。

大人の英語リスニング力はどうすれば向上するのか?
英語学習の1つの方法に、英文音読があります。
英語ネイティブスピーカーの英文読上げ音声の直後にそれを真似て英文音読する方法はリピーティングとも呼ばれています。
英文音読(リピーティング)は英語力向上に効果的だという話を聞いて、トライしたことのある人も多いかと思います。
そして、英語音読を止めてしまった方もとても多いと思います。
その理由は簡単で、英語音読をしても、英語リスニングやスピーキング能力の向上が実感できないからです。
なぜ、そのようなことになるのでしょうか?
その理由は、日本語発声特性で英文音読をしてしまうからです。
日本語の発声特性は、英語発声特性と構造的に異なっているため、日本語リスニング脳では、英音を言語として意味理解することが難しくなっています。
たとえば地名の「長崎」を日本人が発音すると「な・が・さ・き」とひらがな1文字ずつ区切りが入るような発声するのに対し、英語ネイティブスピーカーは息の流れにのせて日本人からすると歌を歌っているように「ナガサ~キ」と発声をします。
このように息の流れに乗せて歌を歌うように発声するという英音特性を踏まえて英文音読練習をすると、英語リスニング脳を構築することができ、そうなると英語リスニング力が向上するという理屈になります。
日本語発声と構造的に異なる英音発声特性としては、他にも、強弱音、音階、舌の柔らかさ・硬さなどがあります。
英音研学習サイトでは、このような日英の発声特性の構造的な違いを解明し、体系化し、主な違いに関してはチャート化しました。
この日英の発声特性の違いを踏まえて、どのような発声をすれば良いのかもチャート化しました。
さらに、1分間に180語程度という低速、250語程度の中速、330語程度の高速という3段階で、米国人ナレーターによる英文読上げ音声教材も準備しました。
米国テレビドラマの俳優の方々のセリフ発声スピードは1分間に300語超も頻繁に現れます。この発声スピードで、英音発声特性を踏まえて、英文音読トレーニングを積むことにより、英語リスニング脳が構築でき、英語リスニング力の向上が期待できます。

まとめ
聞き流し英語学習は本当に効果があるのかに関して、ケーススタディとして幼児には効果があり、大人には効果がないということを説明しました。
もちろん、サンプル数1で効果の有無は断言はできませんし、大人でも聞き流し英語学習で効果が出たという人も存在するのだと思います。
英音研では大人が英語リスニング力を向上させる手段として、英音研学習を提供しています。
聞き流し英語学習や他のリスニング学習方法で限界を感じていて、何とかブレイクスルーをしたいとお考えの方、ぜひ英音研学習にトライして頂ければと思います。
以下の記事もご覧ください。
英語フォニックスは何にどう役立つのか?
https://www.eionken.co.jp/note/english-phonics/
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著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英音研株式会社創業者・代表取締役
・米国系戦略コンサルティングファームであるボストンコンサルティンググループ(BCG東京オフィス)及びNTTデータ経営研究所において通算30年超のビジネスコンサルティング歴を持つ。BCGでは日本のみならず、米国・欧州企業向けに経営戦略、マーケティング戦略、業務改革(BPR)、新規事業や新サービス開発プロジェクト、ソーシャルメディアマーケティングなどを多数経験。NTTデータ経営研究所においては、グローバルビジネス推進センターのエクゼクティブコンサルタントとして、米国、中国、台湾、香港、ベトナム、タイ、マレーシア、インドネシア、バングラデシュ、UAE、サウジアラビアなどにおける市場調査・輸出拡大戦略立案などに従事。
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語スピーキング脳を構築する効果的な学習方法も考案、英音研公式ブログに学習方法を投稿。
・趣味は米国の映画・ドラマを視聴して、米国人の価値観、文化、風習などを感じ取ること
・最近は、長年疑問に思っていたことや知りたいと思っていたことを生成AIに質問して、回答を読んで納得したりしている。これからの時代は膨大な知識データベースでもある生成AIへの質問力がポイントになると考えている。
・晴れていると、近くの小さな川沿いをウォーキングして、季節の移ろいを感じている。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など8冊がある。
Amazon.co.jp: 英音研株式会社: 本、バイオグラフィー、最新アップデート
・「シニアになって米国オンライン教育を受講してみた」シリーズとして9冊の書籍を発刊
「シニアになって米国の子供向け英語フォニックスのオンライン教育を受講してみた」
「シニアになって米国高校生向け米国史オンライン教育を受講してみた」
「シニアになって米国高校生向け化学オンライン教育を受講してみた」など
・ビジネスコンサルティング技術関連の著書に「ビジネスコンサルティング技術・マインド体系」「新規事業アイデア創造の技術」「ビジネスレポートを書く技術」「ビジネスプレゼンテーションの技術」など14冊がある。
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