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公開日
2025.04.02
更新日
2025.04.02

英語フォニックスは英語リスニングにどう役立つのか?英語フォニックスを活用した英語リスニング上達法
日本の学校英語教育ではあまり馴染みのない英語フォニックスとは何なのか、何に役立つのか、英語フォニックスを活用した英語リスニング上達法を解説したいと思います。
英語フォニックスとは何なのか?
英語フォニックスは、アルファベットと発音の関係を示したもので、英語圏の5~6歳の子供が学習を開始し、知らない英単語の発音ができるようにするためのものです。
日本では、アルファベットの発音は、A(エイ)、B(ビー)、C(スィー)、D(ディー)、E(イー)、F(エフ)、G(ジー)などとして覚えるのが一般的です。これはアルファベットの文字としての呼称を勉強していることになります。
例えば「A」という形の文字の名前は「エイ」となります。
しかし、例えば、“ant”(昆虫のアリ)は「アント」と発音しますが、アルファベット呼称で読むと「エイ・エヌ・ティー」となり、まったく使われていない発音となり、意味不明となってしまいます。
そこで、英単語として実際に発音される場合のアルファベットと音の関係を勉強して、英単語の発音をできるようにするため、英語フォニックスが研究開発されました。
英語フォニックスでは、A(ア)、B(ブ)、C(ク)、D(ドゥ)、E(イー)、F(フ)、G(グ)などと英単語の中で個々のアルファベットが実際にどのように発音されるのかを学習していきます。
1文字ではなく、“oo”は「ウ」と発音するなど、2文字や3文字パターンもあり、文字と発音の関係性の法則はなかなか楽しめるものがあります。
英音研スタッフの1人も20数年前に英語フォニックスの存在を知り、その当時はほとんど日本語の英語フォニックスの書籍が出版されていなかったため、米国出張の際に大型ショッピングモールの書店に立ち寄って英語フォニックス教材を購入しました。
幼児向けの書籍コーナーの一角に、カード式のものや絵本式のものなど結構たくさんの種類が置いてあり、「これがフォニックスかあ」と妙に感動したものです。
現在では、日本語で執筆されたCD付きのフォニックス解説本や、YouTubeにアップされている日本語での英語フォニックス解説動画も多数あり、容易に学習することができます。
日本の学校教育でなぜ英語フォニックスが採用されていないか、その理由はよくわかりませんが、英語読み書き中心教育のなごりかもしれません。
日本の子供たちは小学校時代にローマ字を学び、それがアルファベットとの出会いとなる訳ですが、これが英語の発音にはかなり悪影響をもたらしていると考えています。
例えば、“U”はローマ字発音では「ウ」ですが、英語フォニックスでは「ア」となります。“up”や“under”とすると当たり前ですが、“ultra”はテレビ番組の影響もあり、ローマ字発音をひきずって「ウルトラ」と発音する日本人は多いと思います。
英単語としての発音は「アルトラ」となります。“ultra”を「ウルトラ」と英語ネイティブスピーカーに発音したら、一部の相当の日本通の方を除いて、絶対に理解されないでしょう。
また英語フォニックスでは“oo”は「ウ」と発音すると勉強します。
“book”、“cook”、“look”と見れば当たり前ですが、日本人の場合、個別にこの単語はそう発音すると覚えていますが、英語ネイティブスピーカーは“oo”を見ると「ウ」と発音する発想になっていますので、“oo”が入っている単語は、発音を知らない単語でも、基本的に「ウ」と発音するということで応用が利きます。

英文音読トレーニングにおけるフォニックスの意義
英文音読が英語力の向上に良いと聞いて、取り組んだ人は多いと思います。
しかし、多くの人は英文音読勉強を止めてしまっていると思います。
理由は簡単です。英文音読をしても十分は成果が感じられないためです。
なぜ、英文音読をしても英語力向上の成果が感じられないのでしょうか?
それは日本語の発声特性で英文音読をしてしまうからです。
英語発声特性と日本語発声特性は構造的にかなり異なっており、日本語発声特性で英文を音読しても、英語リスニング脳を十分に構築することができず、そのため英語リスニング力が向上しないという理屈になります。
英文音読トレーニングによって、英語リスニング力や英語スピーキング力を向上させようとすると、英音発声特性を十分踏まえて英文音読トレーニングを積む必要があります。
そして、英語フォニックスは英文音読トレーニングにおける土台中の土台となります。

英単語のアルファベット1文字1文字に、1音1音、音があると意識して発音する
例えば、米国テレビドラマの“glee”に出てくる主役の1人の高校生名前は、“Finn”となっています。
日本人がこれを見ると、多くの人が「フィン」と発音すると思われます。
しかし、ドラマの中で友人の高校生役の米国人俳優の方々は皆「フィンヌ」と4文字あるアルファベットをきちんと4つとも発音しています。
ちなみに“Finn”という名前の米国人の方を、日本人が「フィン」と発音したとすると、呼ばれた本人は“fin”と認識し、それは「魚のひれ」という意味になります。
呼ばれた本人は、自分の名前は“fin” 「フィン」ではなく、 “Finn” 「フィンヌ」ですとよ言うと思います。
日本人としては無意識の悪意のない間違いですが、人の名前を間違え発音するのは避けたいところです。
英単語の最後のアルファベットが“n”のケースは、日本人にとっては間違って発音しやすい傾向にあります。
例えば“million”(百万)は、日本人が発音すると「ミリオン」となりがちですが、英語ネイティブスピーカーは「ミリオンヌ」と最後の“n”もキチンと発音しますので、要注意です。
このあたりは英語リスニングの際には、その音の有無をきちんと意識しているか、していないかで英語スピーキングのみならず、英語リスニング力に影響するものと考えられ、重要なポイントとなります。

英単語には音節があり、音節単位で発声リズムをとり、アクセントの音節の母音を強く発声する。
次に英語音読の基礎としては、英単語の音節(syllable)が挙げられます。
英単語の中での音のかたまりと認識されるものです。音節には母音を1つだけ含みます。
例えば、“important” は “im・por・tant”と3音節の単語で、英語ネイティブスピーカーにとっては3つのリズムで構成されている単語として発音します。
もちろん上記のように音節に分かれても、アルファベット1文字1文字に音があるという意識も保持されます。
日本人は“im”(イム)を「イン」と発音してしまったり、“por”の3文字を「ポー」と発音してしまいがちですので要注意です。
そしてこの“por”の“o”に英単語としてのアクセントがあるので、この部分を強く発音して、3つのリズムで発音するということになります。日本人は英単語のアクセント部分を日本語発声の意識となって高い音で代用しがちなので要注意です。

英文1文で強調したい英単語は強く発声する。
さらに1文となると、英単語間での強弱音が入ります。
1文の中で強調したい英単語は強い発声となります。
例えば、“Where there is a will, there is a way.”(意志のあるところには方法がある。)この英文ですと、“will”と“way”が強調したい英単語となりますので、この2つの英単語を強く発音することになります。
日本人は一文において強調する英単語を日本語発声の意識となって高い音で代用しがちなので要注意です。

重層構造の英語発声
このように、英語発声は重層構造となっており、それを十分意識して英文音読トレーニングを積む必要があります。
(1)英単語のアルファベット1文字1文字に、1音1音、音があると意識して発音する
(2)英単語には音節があり、音節単位で発声リズムをとり、アクセントの音節の母音を強く発声する。
(3)英文1文で強調したい英単語は強く発声する。

まとめ
英語フォニックスはこのような重層構造の英語発声の中で、土台中の土台となっているものですので、1通りはきちんと学習する必要があります。
現状では、日本語での英語フォニックスの教材が発売されたり、YouTubeなどインターネットで英語フォニックスを解説している動画も多数投稿されていいますので、それを学習するのがよいと思います。
ただ、日本語環境で生活していると日本語発声特性に戻りがちになりますので、断続的に英語フォニックスを復習し、英音発声特性をリマインドし、英語リスニング脳に刻み込むことが重要となります。
英音研学習では上記のような英語フォニックスや重層構造の英文発声を解説し、デイリープラクティスにおいて、米国人ナレータによる読み上げ音源をもとに、1日数分で簡単に復習トレーニングする教材を提供していますので、ぜひトライしてみてください。
以下の記事もご覧ください。
独学での英語リスニング学習、紆余曲折の末、ブレイクスルーした記録
https://www.eionken.co.jp/note/self-taught-english-listening/
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著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英音研株式会社創業者・代表取締役
・米国系戦略コンサルティングファームであるボストンコンサルティンググループ(BCG東京オフィス)及びNTTデータ経営研究所において通算30年超のビジネスコンサルティング歴を持つ。BCGでは日本のみならず、米国・欧州企業向けに経営戦略、マーケティング戦略、業務改革(BPR)、新規事業や新サービス開発プロジェクト、ソーシャルメディアマーケティングなどを多数経験。NTTデータ経営研究所においては、グローバルビジネス推進センターのエクゼクティブコンサルタントとして、米国、中国、台湾、香港、ベトナム、タイ、マレーシア、インドネシア、バングラデシュ、UAE、サウジアラビアなどにおける市場調査・輸出拡大戦略立案などに従事。
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語スピーキング脳を構築する効果的な学習方法も考案、英音研公式ブログに学習方法を投稿。
・趣味は米国の映画・ドラマを視聴して、米国人の価値観、文化、風習などを感じ取ること
・最近は、長年疑問に思っていたことや知りたいと思っていたことを生成AIに質問して、回答を読んで納得したりしている。これからの時代は膨大な知識データベースでもある生成AIへの質問力がポイントになると考えている。
・晴れていると、近くの小さな川沿いをウォーキングして、季節の移ろいを感じている。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など8冊がある。
Amazon.co.jp: 英音研株式会社: 本、バイオグラフィー、最新アップデート
・「シニアになって米国オンライン教育を受講してみた」シリーズとして9冊の書籍を発刊
「シニアになって米国の子供向け英語フォニックスのオンライン教育を受講してみた」
「シニアになって米国高校生向け米国史オンライン教育を受講してみた」
「シニアになって米国高校生向け化学オンライン教育を受講してみた」など
・ビジネスコンサルティング技術関連の著書に「ビジネスコンサルティング技術・マインド体系」「新規事業アイデア創造の技術」「ビジネスレポートを書く技術」「ビジネスプレゼンテーションの技術」など14冊がある。
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