- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 250.AIと経済社会
公開日
2026.01.01
更新日
2026.01.01
汎用型人工知能はどのように開発されるのか?
AIの進化は、知能レベルと適用範囲に基づき、2022年の終わりに出現した「特化型(ANI: Artificial Narrow Intelligence):生成AI」、2030年頃に出現するとされる「汎用型(AGI: Artificial General Intelligence)」、そして2040年頃に出現するとされる「超知能(ASI: Artificial Super Intelligence)」という、3つの異なるアーキテクチャと能力を持つフェーズで予測されています。これに加えてAIロボティクスの進化も予測されています。今回、AGIはどのように開発されるのか、生成AI(ANI)に解説してもらいました。
AGI(汎用人工知能)の技術的開発は、単なる「巨大なチャットボット」の延長線上にあるのではなく、「知能の構成要素」を統合する多層的なアプローチによって進められています。
2025年現在、研究者たちがAGI到達のために取り組んでいる主要な技術的アプローチを、数理的・構造的な視点から解説します。
- 基盤層:スケーリング則(Scaling Laws)の極限
現在のAI開発の土台は、計算資源、データ量、モデルパラメータの3つを増大させることで、能力が指数関数的に向上するという「スケーリング則」に基づいています。
- コンピュート・インフラ: 数万枚のGPUを連結した巨大クラスターによる並列学習。
- データ・トークン: インターネット上の全テキストに加え、動画、音声、さらにはAI自身が生成した高品質な「合成データ」を学習に用います。
- 予測の数理: のように、モデル規模 とデータ量 に対して誤差 が減少する経験則をどこまで維持できるかが鍵です。
- 思考層:System 2(遅い思考)の実装
LLMは「次に来る言葉」を確率的に予測する「System 1(直感的・高速な思考)」に優れていますが、AGIには論理的で深慮遠謀な「System 2(論理的・低速な思考)」が必要です。
- Chain-of-Thought (CoT) の内在化: 推論ステップを明示的に踏ませるだけでなく、訓練プロセスにおいて「思考の道筋」自体を強化学習(RL)で最適化します。
- Q(Qスター)的なアプローチ: 探索アルゴリズム(A探索など)と大規模言語モデルを融合させ、複数の選択肢をシミュレーションした上で最適な回答を選択する「自己反省」機能。
- 自己報酬型学習 (Self-Rewarding AI): AIが自身の生成物の質を評価し、それを教師データとして自ら学習するループ。
- 世界モデル(World Models):物理法則の理解
AGIが現実世界で機能するためには、言語空間だけでなく、物理的な因果関係や空間認識を理解する「世界モデル」が不可欠です。
- 予測的コーディング: 次の単語ではなく、「次のビデオフレーム(数秒後の未来)」を予測するように訓練することで、重力、慣性、因果などの物理概念を学習させます。
- 多モーダル統合: テキスト、画像、音声、触覚データを一つの潜在空間(Latent Space)で処理し、「リンゴ」という言葉が「赤い外見」「シャリッとした音」「重さ」と結びつくようにします。
- ニューロ・シンボリック(Neuro-symbolic)AI:論理と学習の融合
現在のニューラルネットワーク(直感的学習)の弱点である「論理的な厳密さ」を補うため、古典的な記号論理学(Symbolic AI)を融合させる手法です。
- 知識グラフの活用: 統計的な推測だけでなく、確定した事実(ナレッジグラフ)を参照し、ハルシネーション(嘘)を物理的に抑制します。
- 形式検証: プログラムのコードや数学的証明において、AIの出力が論理的に正しいかを外部システムで検証し、フィードバックを与える仕組みです。
AGI開発の技術ロードマップ比較
| 構成要素 | 現在のLLM (ANI) | AGIへのミッシングリンク | 開発手法 |
| 学習方式 | 教師あり学習中心 | 自律型・自己教師あり学習 | 合成データ、Q学習の応用 |
| 推論能力 | 確率的な次単語予測 | 多段階の計画・探索能力 | 推論時の計算量増大 (Compute at Inference) |
| 身体性 | デジタル空間のみ | 物理世界への干渉 (Embodiment) | 人間型ロボットへの搭載、実世界データ学習 |
| 記憶 | コンテキストウィンドウ限定 | 長期的な記憶・継続学習 | 外部メモリ(RAGの高度化)、重みの動的更新 |
AGIへの到達を左右する「データ・ボトルネック」への対策
人間が書いた高品質なデータは底を突きつつあります。そのため、最新の研究では「自己教師あり学習(Self-Supervised Learning)」によって、AIが自ら問題を解き、その正解を自ら検証することで無限にデータを生成する「データ自給自足」の段階に入っています。
技術的論点: AGIへの最短距離は、単にモデルを大きくすること(Scale)か、それとも推論アルゴリズムを根本から変えること(Logic)か。2025年現在、その両者を統合した「推論時計算量(Inference-time compute)の拡大」が最も注目されています。
***
人工知能AIのパラダイムシフト:ANI、AGI、ASI
https://www.eionken.co.jp/note/ani-agi-asi/
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・AI未来社会評論家
・米国系戦略コンサルティングファームであるボストンコンサルティンググループ(BCG東京オフィス)及びNTTデータ経営研究所において通算30年超のビジネスコンサルティング歴を持つ。
・学習院大学経済学部非常勤講師、東京都職員研修所講師を歴任
・ビジネスコンサルティング技術関連の著書14冊、英語関連の著書26冊、合計40冊の著書がある。
Amazon.co.jp: 山下長幸: 本、バイオグラフィー、最新アップデート
Amazon.co.jp: 英音研株式会社: 本、バイオグラフィー、最新アップデート

お知らせ
英音研公式ブログ
お問い合わせ