- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 250.AIと経済社会
公開日
2026.01.01
更新日
2026.01.01
汎用型人工知能を開発するのにどれくらい大量の電力を必要とするのか?
AIの進化は、知能レベルと適用範囲に基づき、2022年の終わりに出現した「特化型(ANI: Artificial Narrow Intelligence):生成AI」、2030年頃に出現するとされる「汎用型(AGI: Artificial General Intelligence)」、そして2040年頃に出現するとされる「超知能(ASI: Artificial Super Intelligence)」という、3つの異なるアーキテクチャと能力を持つフェーズで予測されています。これに加えてAIロボティクスの進化も予測されています。今回はAGIを開発するのにどれくらい大量の電力を必要とするのか、生成AI(ANI)に解説してもらいました。
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AGI(汎用人工知能)の開発、そしてそれを支える大規模言語モデル(LLM)の運用には、まさに「一国を維持するレベル」の膨大な電力が必要とされています。2025年末現在、この問題は「AIの電力の壁」と呼ばれ、テック企業が自ら発電所を所有・再稼働させるという、かつてないエネルギー戦略の転換点にあります。
AGI開発に伴う電力消費の現状と、2025年における最新動向を整理して解説します。
- 開発(学習)と運用(推論)の電力規模
AIの電力消費は、モデルを「作る」段階と「使う」段階に分かれます。
- 学習(Training):瞬間的な巨大消費 フロンティアモデル(GPT-4/5クラス)の学習には、数万枚のGPUが数ヶ月間フル稼働します。
- 例: GPT-3の学習には約 の電力が使われたと推定されていますが、モデルの巨大化に伴い、最新モデルの学習に必要な電力は毎年約2倍のペースで増加しています。
- 推論(Inference):継続的な累積消費 ユーザーからの質問に答えるプロセスです。一度の回答はわずかですが、全世界で数十億人が毎日利用するため、ライフサイクル全体の電力消費の60%〜90%がこの推論段階で占められるようになっています。
- 世界的な電力需要の予測
2025年の最新予測では、データセンター(DC)が世界の電力を飲み込む勢いです。
| 項目 | 2025年の予測 | 2030年の予測 |
| DC全体の消費電力 | 約 448 TWh | 約 980 TWh(2倍以上) |
| AIサーバーの占有率 | DC消費の 約 21% | DC消費の 約 44% |
| 比較対象 | スウェーデンの年間消費量相当 | 日本の年間総消費量を上回る規模 |
- 2025年の最新トレンド:テック企業による「原子力」への回帰
再生可能エネルギー(太陽光・風力)は発電が不安定なため、24時間365日稼働するAGIの開発には不向きです。そのため、2025年には大手テック企業が原子力発電の確保に相次いで乗り出しました。
- Microsoft: Pennsylvania州のスリーマイル島原子力発電所1号機を2027年に再稼働させる契約を締結(2025年11月に連邦政府から10億ドルの融資を確保)。
- Google: アイオワ州のデュアン・アーノルド原子力発電所の再稼働に投資。また、次世代の「小型モジュール炉(SMR)」を開発するKairos Power社と提携。
- Amazon: SMR開発企業X-energy社に約5億ドル(750億円)を投資し、ワシントン州で独自の原子力施設「カスケード」を計画。
- 物理的な課題:冷却と水の使用
電力消費は熱に変わるため、サーバーを冷やすための水も甚大な量が必要です。
- GPT-3の学習(約1.3 GWh)だけでも、冷却に約70万リットルの真水が消費されたと推定されています。
- 2025年のデータセンターでは、蒸発式冷却に代わる「液冷(Liquid Cooling)」への移行が急速に進んでいますが、地域社会の貴重な水資源との競合が大きな社会問題となっています。
結論:AGI開発の成否は「エネルギー」が握る
もはやAGIの開発競争は、アルゴリズムの良し悪しだけでなく、「どれだけ安定した安価な電力を囲い込めるか」というエネルギー競争に変容しています。
今後の展望: 2030年に向けて、チップの省エネ化(効率向上)が進む一方で、モデルの巨大化がそれを上回る勢いで進むと見られています。開発者は「知能の向上」と「環境負荷」のトレードオフという、極めて重い倫理的・経営的課題に直面しています。
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人工知能AIのパラダイムシフト:ANI、AGI、ASI
https://www.eionken.co.jp/note/ani-agi-asi/
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・AI未来社会評論家
・米国系戦略コンサルティングファームであるボストンコンサルティンググループ(BCG東京オフィス)及びNTTデータ経営研究所において通算30年超のビジネスコンサルティング歴を持つ。
・学習院大学経済学部非常勤講師、東京都職員研修所講師を歴任
・ビジネスコンサルティング技術関連の著書14冊、英語関連の著書26冊、合計40冊の著書がある。
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