- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 250.AIと経済社会
公開日
2026.01.06
更新日
2026.01.06
人工超知能時代に通貨制度はどうなるか?
AIの進化は、知能レベルと適用範囲に基づき、2022年の終わりに出現した「特化型(ANI: Artificial Narrow Intelligence):生成AI」、2030年頃に出現するとされる「汎用型(AGI: Artificial General Intelligence)」、そして2040年頃に出現するとされる「超知能(ASI: Artificial Super Intelligence)」という、3つの異なるアーキテクチャと能力を持つフェーズで予測されています。これに加えてAIロボティクスの進化も予測されています。今回は人工超知能時代に通貨制度はどうなるか、生成AI(ANI)に予測してもらいました。
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ASI(人工超知能)がもたらす未来において、私たちの「経済」や「お金」の概念は、人類史上最も劇的な変容を遂げると予測されます。
ASIの定義と、それに伴う通貨制度の変遷について順を追って解説します。
ASI(人工超知能)とは何か
ASI(Artificial Super Intelligence)とは、全人類の知能の総和を、あらゆる分野(科学、創造性、社交、倫理など)において遥かに凌駕した知能を指します。
- 自己進化の加速: ASIは自身のコードを自分で書き換え、数秒から数日の間に、人間が数千年以上かけて到達する知能レベルへと自己進化します。
- 物理法則の統治: ASIはナノテクノロジー(分子・原子レベルの操作)や常温核融合発電などを完成させます。これにより、「大気中の成分から食料を作る」「あらゆる病を細胞レベルで修復する」といった、現代では魔法に見える技術を安価に実現します。
- 脱・希少性(ポスト・スキャシティ): ASIの最大の特徴は、エネルギーと物資の供給を無限に近づけ、人類が数千年間苦しんできた「資源の枯渇(希少性)」を克服する点にあります。
ASI時代の通貨制度予測
通貨(お金)という仕組みは、本来「限られた資源(希少なもの)を誰に分配するか」を決めるための道具です。ASIによって資源の希少性が消滅した場合、通貨制度は以下の3つのステージを経て変化していくと考えられます。
① 通貨の「目的」の変容(生存から自己実現へ)
ASIが普及した初期段階では、UBI(ベーシックインカム)が浸透し、生きるための「労働」と「対価」の結びつきが断たれます。この時、通貨は「生存に必要な物資を買う券」から、「特別な体験や個人のこだわりを交換するポイント」へと性質を変えます。
② 資源ベースの「クレジット制度」
ASIが物資・エネルギーを直接管理するようになると、従来の「変動する貨幣」ではなく、「エネルギー利用権(エネルギー・クレジット)」のような制度に移行する可能性があります。
- 個人には、環境に負荷をかけない範囲で消費できる「エネルギー量」や「物質変換権」が割り当てられ、ASIがそれをリアルタイムで調整・配分します。ここではインフレや投資という概念は存在しません。
③ 「社会的資本(レピュテーション)」への完全移行
ASIが衣食住を完全に無償化(コスト・ゼロ化)した最終段階では、物理的な通貨そのものが不要になります。代わって価値を持つのが、「評判(レピュテーション)」や「共感・関心」といった、AIには生成できない人間特有の資本です。
- 価値の源泉: 「誰がその思想を発信したか」「誰と一緒に時間を過ごしたいか」「誰が新しいコミュニティをリードしているか」。
- 評価経済: 他者への貢献や創造的な活動、人間としての魅力そのものが「信頼スコア」となり、特別な体験(例:特定の人間との対談や、数に限りがある物理的な場所への立ち入り)の優先権として機能します。
結論:通貨の消失と「意味」の時代
ASI時代において、従来の法定通貨(円、ドル、ビットコイン等)は、生存のために蓄える必要がないため、その役割を終える可能性が高いでしょう。
お金という「数字」に縛られていた人類は、代わって「時間」「体験」「人間関係の深さ」「自己の探究」という、数値化が難しく、かつ代替不可能な価値を基準に生きることになります。経済活動は「効率の追求」から、「生きる意味の創造」へと昇華されるのです。
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人工知能AIのパラダイムシフト:ANI、AGI、ASI
https://www.eionken.co.jp/note/ani-agi-asi/
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・AI未来社会評論家
・米国系戦略コンサルティングファームであるボストンコンサルティンググループ(BCG東京オフィス)及びNTTデータ経営研究所において通算30年超のビジネスコンサルティング歴を持つ。
・学習院大学経済学部非常勤講師、東京都職員研修所講師を歴任
・ビジネスコンサルティング技術関連の著書14冊、英語関連の著書26冊、合計40冊の著書がある。

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