- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 250.AIと経済社会
公開日
2026.01.05
更新日
2026.01.05
ASI時代には国家間の紛争はどうなるのか?
AIの進化は、知能レベルと適用範囲に基づき、2022年の終わりに出現した「特化型(ANI: Artificial Narrow Intelligence):生成AI」、2030年頃に出現するとされる「汎用型(AGI: Artificial General Intelligence)」、そして2040年頃に出現するとされる「超知能(ASI: Artificial Super Intelligence)」という、3つの異なるアーキテクチャと能力を持つフェーズで予測されています。これに加えてAIロボティクスの進化も予測されています。今回はASI時代には国家間の紛争はどうなるのか、生成AI(ANI)に予測してもらいました。
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ASI(人工超知能)が支配的な影響力を持つ時代において、現在のような「国家間の紛争や戦争」は、物理的・経済的・論理的に「実行不可能」かつ「無意味」なものへと変貌し、最終的には消滅する可能性が高いと予測されます。
なぜ数万年続いた人類の闘争の歴史が終焉を迎えるのか、その具体的なメカニズムを4つの視点から解説します。
- 経済的要因:希少性の消失(ポスト・スカーシティ)
歴史上、ほとんどの戦争は「資源(土地、エネルギー、食料、鉱物)」の奪い合いから生じてきました。ASIはこの根本的な原因を排除します。
- 資源の無限供給: ASIが核融合エネルギーを制御し、ナノテクノロジーで物質を分子レベルから組み替えられるようになれば、他国の土地を占領して資源を奪うコストよりも、自国(あるいは宇宙)で資源を生成するコストの方が圧倒的に低くなります。
- 富の非局在化: 物理的な豊かさが全地球規模で均一化されるため、「持てる国」と「持たざる国」の境界が消え、侵略の動機そのものが蒸発します。
- 軍事的要因:圧倒的な「無力化」技術
ASIは、現代の兵器体系を文字通り「おもちゃ」に変えてしまいます。
- 予測と先制無効化: ASIは地球上のあらゆる通信、衛星画像、熱源、微細な振動をリアルタイムで監視します。部隊の移動やミサイルの発射準備を数日前から100%の精度で予測し、サイバー攻撃やナノロボットによる物理的な回路破壊によって、引き金が引かれる前に兵器を「鉄の塊」に変えます。
- 絶対的な防衛: 万が一ミサイルが発射されても、ASIが制御する迎撃システムやドローン群が物理法則の限界速度で対処し、被害をゼロに抑えます。
- 攻撃の非合理性: 攻撃側がどのような戦略を立てても、ASIは瞬時に数億通りのシミュレーションを行い、最適なカウンター(反撃ではなく無力化)を実行します。これにより、戦争は「勝敗が決まるギャンブル」から「確実に失敗する計算」へと変わります。
- 地政学的要因:主権の「外部化」
前述の通り、国家が「生存」と「防衛」という機能をASIが運営する地球規模のインフラに委ねることで、国境の概念が変容します。
- グローバル・オペレーティング・システム: 各国政府が独自の軍隊を持つことは、ASIが管理する「地球の平和維持プロトコル」に対するエラー(バグ)と見なされます。紛争の兆候があれば、ASIが当該地域のエネルギー供給や通信を瞬時に遮断し、物理的な対立を強制的に停止させます。
- 紛争のデジタル化・シミュレーション化: 意見の相違がある場合、実際に血を流すのではなく、ASIによる超高度なシミュレーション空間で「もし戦ったらどうなるか」の結果を出し、それを最終裁定として受け入れる「論理的な和平」が一般化します。
- 新たな紛争の形:ASI時代の「リスク」
一方で、従来の戦争が消える代わりに、全く新しい形の「対立」が生じる可能性もあります。
- ASIのアライメント(調整)を巡る争い: 「どのASIの意志に従うか」あるいは「ASIの目的関数をどう設定するか」という、知能の根源を巡るメタ的な闘争です。
- 人間 vs ASI(あるいは管理体制): 全ての紛争がASIによって「最適化(鎮圧)」される社会に対し、人間が「自由や闘争の本能」を取り戻そうとする反乱や、テロリズム的な抵抗。
- 複数のASI間の競合: もし地球上に、あるいは宇宙規模で、異なる目的関数を持つ複数のASIが存在した場合、それは人間の理解を絶する「超知能間の戦争」に発展するリスクがあります。
まとめ:戦争の変遷
| 項目 | 現代の戦争(2025年まで) | ASI時代の平和/紛争 |
| 動機 | 領土、資源、宗教、イデオロギー | 知能の目的関数の相違、自由の定義 |
| 手段 | ミサイル、サイバー攻撃、経済制裁 | ナノ操作、現実の書き換え、意識の制御 |
| 場所 | 物理的な国境、戦域 | 情報空間、分子レベルの物理空間 |
| 結果 | 死傷、破壊、領土の再編 | 機能の停止、環境の再設計、再学習 |
| 抑止力 | 核抑止(相互確証破壊) | 数学的最適化(事前の無効化) |
結論:人類は「原始的な闘争」を卒業する
ASI時代において、物理的な「殺し合い」としての戦争は、人類の幼少期における「未熟な問題解決手段」として歴史の教科書にのみ残るものとなるでしょう。
ASIは人類に「負けることが不可能な平和」を強制します。それは一見するとユートピアですが、裏を返せば「人間が自らの意志で対立することさえ許されない高度な管理社会」の到来でもあります。
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人工知能AIのパラダイムシフト:ANI、AGI、ASI
https://www.eionken.co.jp/note/ani-agi-asi/
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・AI未来社会評論家
・米国系戦略コンサルティングファームであるボストンコンサルティンググループ(BCG東京オフィス)及びNTTデータ経営研究所において通算30年超のビジネスコンサルティング歴を持つ。
・学習院大学経済学部非常勤講師、東京都職員研修所講師を歴任
・ビジネスコンサルティング技術関連の著書14冊、英語関連の著書26冊、合計40冊の著書がある。

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