- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 204.心に響く英語ことわざ2
公開日
2025.09.25
更新日
2025.09.25

心に響く英語ことわざ(716)「批判哲学」を提唱したドイツの哲学者イマヌエル・カントの名言 By a lie, a man… annihilates his dignity as a man.(うそは人間の尊厳を抹殺する)
“By a lie, a man… annihilates his dignity as a man.”
直訳は「嘘によって、人は、人間としての尊厳を抹殺する」で、これは、「嘘」という行為が、単なる道徳的な違反ではなく、「人間としての尊厳」を、根底から破壊するものであるという、イマヌエル・カントの深い洞察を表現しています。
イマヌエル・カント(Immanuel Kant)の名言 By a lie, a man…の意味
この言葉は、ドイツの哲学者であるイマヌエル・カントが、「嘘と尊厳」について述べたものです。彼は、嘘を、「絶対的な悪」として捉え、いかなる場合でも、嘘をつくことは、許されないと説いています。
この言葉が意味すること
この名言は、「道徳と尊厳」を強調しています。
- 「By a lie, a man…」(嘘によって、人は…) カントは、この言葉で、「嘘(lie)」という行為を、人間の本質を脅かすものとしています。彼は、人間が、「理性」を持つ存在であり、その理性が、私たちを、動物とは異なる、「尊厳」のある存在にしていると考えていました。
- 「annihilates his dignity as a man.」(人間としての尊厳を抹殺する) この部分が、この言葉の核心です。カントは、嘘が、単に、他者を欺く行為ではなく、「人間としての尊厳(dignity as a man)」を、「抹殺(annihilates)」するものであると断言しています。彼は、嘘をつくことによって、人は、自分自身の理性を否定し、自己の価値を、自ら破壊してしまうと説いています。
似た意味の英語のことわざ
- “The truth is like a lion. You don’t have to defend it. It will defend itself.” (真実はライオンのようなものだ。それを守る必要はない。自らを守るだろう。) これは聖アウグスティヌスの言葉で、カントの言葉が持つ、「真実の力」の重要性と通じます。
- “Where there is a will, there is a way.” (意志あるところに道は開ける。) これは、強い意志や決意があれば、必ず成功への道が見つかるという意味で、その道は、真実を語る意志から開かれます。
- “A journey of a thousand miles begins with a single step.” (千里の道も一歩から。) これは、どんなに大きな目標でも、最初の一歩から始まるという意味で、その一歩は、真実を語るという小さな行動かもしれません。
似た意味の日本語のことわざ
- 「蓼食う虫も好き好き」(たでくうむしもすきずき) 人の好みは様々であるという意味で、カントの言葉とは直接的な関連性はありません。
- 「口は災いの元」(くちはわざわいのもと) 不用意な発言や嘘が、身の破滅を招く原因となるという意味。
- 「為すべきを為す」(なすべきをなす) 目先の利益や欲望を気にせず、自分がすべきだと信じる正しいことを行う、という意味。
イマヌエル・カント(Immanuel Kant)の波乱万丈な生い立ち
イマヌエル・カント(1724-1804)は、ドイツの哲学者であり、「批判哲学」を提唱しました。彼は、理性と、道徳という、二つの分野で、後世に大きな影響を与えました。
幼少期と哲学への道
1724年、東プロイセン(現在のロシア)のケーニヒスベルクで、馬具職人の家庭に生まれました。彼は、その生涯を通じて、故郷のケーニヒスベルクを離れることなく、研究に専念しました。 彼は、その後、ケーニヒスベルク大学で哲学を学び、その後、教授として、教鞭を執りました。
著作と「批判哲学」の確立
カントは、その後、『純粋理性批判』や『実践理性批判』といった、多くの著作を執筆しました。彼は、この著作で、「理性」の限界と、「道徳」の普遍的な法則について、深く考察しました。 彼は、「定言命法(ていげんめいほう)」という、道徳的な法則を提唱しました。この法則は、「あなたの行為の動機が、普遍的な法則となることを、あなたが、同時に望むことができるような動機に従ってのみ、行為しなさい」という、有名な言葉で表現されています。
晩年と遺産
カントは、その後、老年期を迎えても、研究を続けました。彼は、1804年に79歳で亡くなりました。 イマヌエル・カントの生涯は、真理と道徳を追求し、そして、その思想を、著作という形で、後世に残した物語です。彼の言葉は、私たちに、嘘が、人間としての尊厳を破壊するという、深い教訓を与え続けています。
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心に響く英語ことわざ(715)古代ギリシアの哲学者ヘラクレイトスの名言 Change alone is unchanging. (変化だけが不変)
https://www.eionken.co.jp/note/change-alone-is-unchanging/
心に響く英語ことわざ(717)「若きウェルテルの悩み」で有名なドイツの文豪ゲーテの名言 A person hears only what they understand.(人は自分が理解できることだけを聞く)
https://www.eionken.co.jp/note/a-person-hears-only-what-they-understand/
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。
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