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公開日
2025.09.02
更新日
2025.09.02

心に響く英語ことわざ(620)古代ギリシアの哲学者ヘラクレイトスの名言 Character is destiny.(三つ子の魂百まで)
“Character is destiny.”
直訳は「人格は運命である」で、似た意味のことわざに「三つ子の魂百まで」があります。
ヘラクレイトス(Heraclitus)の名言 Character is destiny.の意味
この言葉は、古代ギリシアの哲学者であるヘラクレイトスが、「人生における人格の決定的な力」について述べたものです。彼は、個人の運命は、偶然や外部の力によって決まるのではなく、その人自身の内面的な「人格(Character)」によって形作られると説いています。
この言葉が意味すること
この名言は、自己の内面が、現実を創造するという哲学を強調しています。
- 「Character」(人格) これは、単なる性格や気質ではなく、その人の道徳観、倫理観、そして日々の行動や選択を決定する、内面的な本質を指しています。ヘラクレイトスは、正直さ、勤勉さ、忍耐力といった「人格」が、その人の行動を無意識のうちに導き、最終的にその人の人生を決定づけると信じていました。
- 「is destiny」(運命である) この部分は、人生で起こる出来事や、その結果が、その人の「人格」という原因から必然的に生じる「結果」であることを示しています。例えば、誠実な人は信頼を得て良い人間関係を築き、最終的に成功するでしょう。一方で、不誠実な人は、短期的には成功するかもしれませんが、最終的には信頼を失い、孤独になるかもしれません。
まとめ
ヘラクレイトスのこの言葉は、私たちに「自己の内面を磨くこと」の重要性を教えてくれます。人生の幸不幸は、外部の環境や運に左右されるのではなく、自分自身の「人格」という、最もコントロール可能な要素によって決まるのです。
似た意味の英語のことわざ
- “As a man thinks in his heart, so is he.” (心で思うままに、人はそうなる。) これは、人の内面的な思考や信念が、その人の本質や運命を形成するという考え方を示しており、ヘラクレイトスの言葉と深く通じます。
- “Sow a thought, reap an action; sow an action, reap a habit; sow a habit, reap a character; sow a character, reap a destiny.” (思考を蒔けば行動を刈り取り、行動を蒔けば習慣を刈り取り、習慣を蒔けば人格を刈り取り、人格を蒔けば運命を刈り取る。) これは、人格が最終的に運命を決定するという、ヘラクレイトスの思想を詳細に説明しています。
- “What goes around comes around.” (巡り巡って、返ってくる。) これは、自分がした行いは、いずれ自分に返ってくるという意味で、個人の行動(人格)が、その結果(運命)につながるという考え方を示しています。
似た意味の日本語のことわざ
- 「三つ子の魂百まで」(みつごのたましいひゃくまで) 幼い頃の性格や習慣は、百歳になっても変わらないという意味。ヘラクレイトスの言葉を的確に表す日本語です。
- 「習い性となる」(ならいせいとなる) 習慣として身についたことは、生まれつきの性質のようになるという意味。
- 「類は友を呼ぶ」 似た者同士は自然と集まるという意味。人格がその人の人間関係や環境を形成するという点で、ヘラクレイトスの思想と通じます。
ヘラクレイトス(Heraclitus)の波乱万丈な生い立ち
ヘラクレイトス(紀元前535年頃 – 紀元前475年頃)は、古代ギリシアの哲学者であり、「万物は流転する」(Panta rhei)という思想で知られています。彼は、他の哲学者たちとは異なり、謎めいた比喩や言葉で自身の思想を表現したため、「暗い哲学者」とも呼ばれています。
貴族の地位を捨てて哲学の道へ
ヘラクレイトスは、現在のトルコ西部に位置するエフェソスの裕福な貴族の家庭に生まれました。彼は、王位継承権を持っていましたが、それを弟に譲り、哲学の探求に専念しました。彼は、社会から距離を置き、孤独な思索の日々を送ったとされています。
「万物流転」の思想
彼の中心的な思想は、「万物は流転する」(Panta rhei)です。これは、「同じ川に二度入ることはできない」という有名な言葉で表現されています。彼は、この世に存在するすべてのものは、絶えず変化し、同じ状態を保つことはないと考えました。 彼はまた、対立する二つの力が、世界の調和を保っていると考えました。例えば、昼と夜、生と死、善と悪といった対立するものが、互いに補い合い、一つの秩序を形成していると説きました。
「暗い哲学者」の遺産
ヘラクレイトスは、自らの思想をまとめた著作を残しましたが、そのほとんどは失われ、断片的な言葉が後世に伝えられているだけです。彼の言葉は、その哲学的深さゆえに、多くの人々にとって難解なものでしたが、ソクラテスやプラトンといった後の哲学者たちに大きな影響を与えました。 彼の生涯は、世俗的な名声や富を求めず、自らの内面と宇宙の真理を探求し続けた物語です。彼の言葉は、私たちに、人生は絶え間ない変化であり、その変化の中で、自分自身の「人格」をいかに築くかという、深い問いを投げかけ続けています。
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著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。
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