- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 105. 英語リスニング脳 悩み解決
公開日
2025.04.02
更新日
2025.04.02

リスニングとヒアリングはどう違うのか?英語が聴き取れるようになるための英語学習法
英語の試験で「リスニングテスト」とよく言われますが、たまに「ヒアリングテスト」と聞くこともあります。
どちらが適切なのでしょうか?そして「英語が聴き取れる」とはどのような感じなのでしょうか?
さらには英語リスニング力を向上させ「英語が聴き取れる」を実現するためにはどうしたら良いかも解説したいと思います。
リスニングとヒアリングはどう違うのか?
オックスフォード辞典で意味を確かめたいと思います。
“hear”は第一義として“to be aware of sounds with your ears”( 耳で音を意識する)とあります。用例としては、以下のようなものが掲載されています。
“I couldn’t hear anything.”(何も聞こえなかった)
“He could hear a dog barking.”(犬の吠え声が聞こえてきた)
“Did you hear him go out?”(彼が出て行くのを聞いたか?)
このような感じで、耳に入ってくる音を自然体で聞いていると言う感じです。
“listen”は第一義として“to pay attention to somebody/something that you can hear”(あなたが聞くことができる誰か/何かに注意を払うこと)とあります。
用例としては、以下のようなものが掲載されています。
“I listened carefully to her story.”(彼女の話をじっくり聞いた)
“You haven’t been listening to a word I’ve said!”(私が言ったことを聞いていない!)
“Sorry, I wasn’t really listening.”(ごめん、聞いてなかった)
このような感じで、人の言ったことや物音に注意を払って聞くと言う感じです。
このような感じで“hearing test”というと病院での聴覚テストとなりますので、英語の試験としては“listening test”と表現するのが適切と考えられます。
ちなみにTOEICでは”Listening & Reading Test”と称しています。
「ヒアリングテスト」という用法は数十年前の和製英語のなごりだと想定されます。
ビジネス界では、社内の意見を聴取するときに「社内ヒアリング」と言ったり、顧客の意見を聞くときに「顧客ヒアリング」という言い方が現在でも頻繁に使われています。
これは“hearing”に「公聴会や公判」と意味もあり、“An appeal hearing is scheduled for later this month.”(今月下旬に控訴審理が予定されています)のような用例があり、それを転用した和製英語だと想定されます。
このような場合、外資系企業では面談、会談という意味で“interview”が良く使われています。
“interview”は「求職の面接」や「ジャーナリストの取材」などを意味しますが、“a private meeting between people when questions are asked and answered”(打ち合わせでの質疑応答)の意味もあり、“The survey team carried out over 200 interviews with retired people.”(調査チームは、退職者へのインタビューを200回以上実施した)などの用例があります。

英語が聞き取れるとは?
それでは「英語が聞き取れる」とはどのような感じなのでしょうか?
多くの日本人が、米国映画やテレビドラマを、字幕なし英語のみで視聴すると、たまに簡単な英単語を認識できるものの、ほとんどは単なる音の流れとして聞こえず、セリフの意味はほとんど認識できないと思います。
米国人俳優の方々のセリフを“listen”しても意味は判らないという状態です。
この原因は、多くの日本人は英語リスニング脳が構築できていないからだと考えられます。
日頃、日本語環境で生活している日本人は、当然、母国語である日本語リスニング脳は構築できていて、別に““listen”しなくても”hear“でも日本語の発声音の意味を認識することができます。
日本語と英語は発声特性が構造的に大きく異なるため、日本語リスニング脳では、英音を意味としてキャッチすることは難しいものとなります。
そのため、英語のリスニング力を向上させるためには、意識的に英語リスニング脳を構築するトレーニングを実施する必要があります。
そして、英語聴覚脳がある程度構築できると、英音は発声される英単語ごとにその意味を認識することができます。
先ほどの”listen“の用例を例に取ると“You ⇒ haven’t ⇒ been ⇒ listening ⇒ to ⇒ a ⇒ word ⇒ I’ve ⇒ said!”という感じで、”You”から始まって、発声される順番に1単語ずつ認識できて、最後“said!”まで聞いて、英語のまま言っていることの意味を認識すると言う感じです。
この例文の場合ですと「なので、とてもお怒りなのですね」と感情も理解します。
この状況に至る前は、1単語1単語瞬間的に日本語に置き換えて「あなたは⇒ずっとしていない⇒聞くことを⇒一言⇒私が⇒言った」と意味を認識するプロセスもありました。
文字通り“listen carefully”の状態で、非常に疲れますし、発声スピードが速いとついていけないこともあります。
しかし、英語聴覚脳が確立されてきて、英語リスニング力が高まるにつれて、いつの間にか、日本語を仲介させないでも済むことが多くなったと言う感じです。

英語リスニング脳を構築する方法
それでは英語リスニング脳はどうやって構築するものなのでしょうか?
3つのプロセスを遂行します。
(1)日本語と英語の発声特性の構造的な違いをよく認識する。
(2)その認識をベースに英音発声特性を十分に意識して、英文音読トレーニングを実施し、英語聴覚脳を構築する。日本語発声特性のまま、音読トレーニングを実施しても英語聴覚脳の構築は難しい。
(3)英文音読トレーニングを実施する際は、低速・中速・高速の3種で実施して、英音発声スピードに対応できるようにする。低速音読トレーニングは、英音発声特性を実現しつつ、英単語のアルファベット1文字ずつの発音まで正確に再現すべく実施する。その状況のもとで、中速、高速とスピード上げて英文音読トレーニングを実施する。
高速音読トレーニングが英語ネイティブスピーカーの発声に近いものになった時、英語ネイティブスピーカーがどのような呼気の流れ、音階、舌の使い方、口の開き方をして発声しているのか実感できるようになります。
それは日本語の発声方法と大きく違うことも実感できると思います。そしてそのような状態になったとき、かなり英語リスニング脳が構築できているということになり、英語リスニング力が向上します。
そのような状態になると、普通に英音発声の開始から、発声されていく英単語がどんどん頭の中に流れて行って、それで意味も自然に理解できるという状態になります。
ただし、残念ながら意味が分からない英単語・英熟語の音声は認識できても、意味は認識できません。その部分はパスして発声音の意味を理解することになりますが、それは仕方がありません。それは別途英単語・英熟語の記憶学習を地道に頑張るしかありません。

まとめ
英音認識力を向上させて、英語リスニング力を向上させるコツとして以下の3つです。
(1)日本語と英語の発声特性の構造的な違いをよく認識する。
(2)英音発声特性を十分に意識して、英文音読トレーニングを実施し、英語リスニング脳を構築する。
(3)英文音読トレーニングを実施する際は、低速・中速・高速の3種で実施して、英音発声スピードに対応できるようにする。
これらについては英音研学習サイトで詳細かつ具体的にどのようにすべきかを解説したうえ、米国人ナレーターによる音声録音により、英語フォニックスなどの基礎的な学習から、英文を低速・中速・高速の3種で読み上げるトレーニングも実施することが可能です。
高速音声に関しては、音声装置を使って機械的に2倍速や3倍速などの不自然な音声ではなく、米国人ナレーターによる肉声での高速発声録音になっていて、高速発声になったとき、どのような強弱リズムになるのかなど非常に勉強になりますので、トライしみてください。
そして米国人ナレーターの高速発声に近い音読ができるようになったとき、英語ネイティブスピーカーの発声方法がどれほど日本語発声方法と違うかということが良く理解でき、そして英語リスニング脳が構築でき、自然体で英語リスニング力が向上していることを実感できることでしょう。
以下の記事もご覧ください。
英語の右脳リスニング・左脳リスニングってどう言うこと?
https://www.eionken.co.jp/note/right-left-brain-listening-english/
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著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英音研株式会社創業者・代表取締役
・米国系戦略コンサルティングファームであるボストンコンサルティンググループ(BCG東京オフィス)及びNTTデータ経営研究所において通算30年超のビジネスコンサルティング歴を持つ。BCGでは日本のみならず、米国・欧州企業向けに経営戦略、マーケティング戦略、業務改革(BPR)、新規事業や新サービス開発プロジェクト、ソーシャルメディアマーケティングなどを多数経験。NTTデータ経営研究所においては、グローバルビジネス推進センターのエクゼクティブコンサルタントとして、米国、中国、台湾、香港、ベトナム、タイ、マレーシア、インドネシア、バングラデシュ、UAE、サウジアラビアなどにおける市場調査・輸出拡大戦略立案などに従事。
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語スピーキング脳を構築する効果的な学習方法も考案、英音研公式ブログに学習方法を投稿。
・趣味は米国の映画・ドラマを視聴して、米国人の価値観、文化、風習などを感じ取ること
・最近は、長年疑問に思っていたことや知りたいと思っていたことを生成AIに質問して、回答を読んで納得したりしている。これからの時代は膨大な知識データベースでもある生成AIへの質問力がポイントになると考えている。
・晴れていると、近くの小さな川沿いをウォーキングして、季節の移ろいを感じている。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など8冊がある。
Amazon.co.jp: 英音研株式会社: 本、バイオグラフィー、最新アップデート
・「シニアになって米国オンライン教育を受講してみた」シリーズとして9冊の書籍を発刊
「シニアになって米国の子供向け英語フォニックスのオンライン教育を受講してみた」
「シニアになって米国高校生向け米国史オンライン教育を受講してみた」
「シニアになって米国高校生向け化学オンライン教育を受講してみた」など
・ビジネスコンサルティング技術関連の著書に「ビジネスコンサルティング技術・マインド体系」「新規事業アイデア創造の技術」「ビジネスレポートを書く技術」「ビジネスプレゼンテーションの技術」など14冊がある。
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