- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 204.心に響く英語ことわざ2
公開日
2025.10.29
更新日
2025.10.29
心に響く英語ことわざ(793)近代科学の祖で英国の哲学者フランシス・ベーコンの名言 Discretion of speech is more than eloquence, and to speak agreeably to him with whom we deal is more than to speak in good words, or in good order.(相手に合わせて適切に話すことが重要)
“Discretion of speech is more than eloquence, and to speak agreeably to him with whom we deal is more than to speak in good words, or in good order.”
直訳は「言葉の慎重さは雄弁に勝り、私たちが対応する相手に合わせて適切に話すことは、良い言葉や良い順序で話すこと以上に重要である」で、これは、コミュニケーションにおいて、「何を言うか」の内容や「どう言うか」の流暢さよりも、「いつ、誰に言うか」という状況と相手に合わせた判断力(Discretion)こそが最も重要な力であるという、フランシス・ベーコンの深い実用主義的洞察を表現しています。
名言の意味:効果的なコミュニケーションの鍵は相手への配慮
この言葉は、イギリスの哲学者であるフランシス・ベーコンが、「言葉の技術と知恵」について述べたものです。彼は、雄弁や修辞学といった技巧は表面的なものに過ぎないと見なし、真の効果は、話すことの「タイミング」と「相手への適応」という実践的な知恵にあると説いています。
鍵となる二つの対比
- Discretion of Speech is More Than Eloquence(言葉の慎重さは雄弁に勝る)
- 雄弁(Eloquence):言葉を流暢に、美しく、論理的に話す技術を指します。これは説得力を持ちますが、時と場所を誤ると逆効果になります。
- 言葉の慎重さ(Discretion of Speech):話すべきことと話さないことを見極める判断力と自制心を指します。ベーコンは、何を言うべきかを知っていることよりも、いつ、どのように言うべきかを知っていることの方が、実社会ではより重要であると説いています。
- To Speak Agreeably to Him With Whom We Deal is More Than…(対応する相手に合わせて適切に話すことは、良い言葉や良い順序で話すこと以上に重要である)
- 良い言葉、良い順序(Good Words, Good Order):文法や修辞の正確さ、話の構成の巧みさといった形式的な側面を指します。
- 相手に合わせて適切に話す(Speak Agreeably to Him with Whom We Deal):相手の性格、知識、感情、立場を考慮し、最も受け入れられやすい方法で言葉を選ぶ適応力を指します。真の説得や交渉の成功は、話し手の技術ではなく、聞き手の心に響く配慮から生まれるという実践的な教訓です。
この名言は、コミュニケーションを自己満足で終わらせるのではなく、「相手への影響」を最大化するための戦略的な知恵として捉えることの重要性を教えてくれます。
類似のことわざと教訓
似た意味の英語のことわざ
- “Whatever words we utter should be chosen with care…” (我々が口にする言葉は何であれ、注意深く選ばれるべきである。) ブッダの名言であり、言葉の倫理的な責任と「慎重さ(Discretion)」の重要性を説く点で通じます。
- “Silence is golden.” (沈黙は金。) 言葉を発すること以上に、「話さない」という判断(Discretion)が価値を持つ場合があるという点で通じます。
似た意味の日本語のことわざ
- 「口は災いの元」(くちはわざわいのもと) 軽率な発言を避ける慎重さ(Discretion)の必要性を説く点で一致します。
フランシス・ベーコン(Francis Bacon)の生い立ち
フランシス・ベーコン(1561-1626)は、イギリスの哲学者、科学者、そして政治家であり、イギリス経験論の父と呼ばれています。
政治家としてのキャリアと人間観察
ベーコンは、幼い頃から宮廷に出入りし、弁護士、下院議員、そして大法官(最高司法官)という最高位の地位に上り詰めました。彼の名言の多くは、この激しい、競争的な政治の世界での実体験に根ざしています。
彼は、宮廷の人間関係や外交の場で、言葉をいかに巧みに使うか、いかに相手の意図を見抜くかという「知恵(Prudence)」の重要性を痛感しました。華麗な言葉(Eloquence)よりも、状況を読み、相手の心を掴む「慎重さ(Discretion)」と「適応力」が成功の鍵であるという哲学は、彼の波乱に満ちたキャリアから生まれた実用的な教訓です。
ベーコンの言葉は、私たちに、話すこと自体を目的とするのではなく、「相手に届き、目的を達成する」ことを重視する実務的なコミュニケーションの知恵を教えてくれます。
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心に響く英語ことわざ(792)儒教開祖の孔子の名言 Success depends upon previous preparation, and without such preparation there is sure to be failure.(成功は事前準備にかかっている)
https://www.eionken.co.jp/note/success-depends-upon-previous-preparation/
心に響く英語ことわざ(794)「マイフェアレディ」の原作で有名なアイルランドの劇作家ジョージ・バーナード・ショーの名言 The moment we want to believe something, we suddenly see all the arguments for it, and become blind to the arguments against it.(自分の信念に都合の良いものだけが目に入る)
https://www.eionken.co.jp/note/he-moment-we-want-to-believe-something/
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。
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