- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 204.心に響く英語ことわざ2
公開日
2025.10.11
更新日
2025.10.12

心に響く英語ことわざ(758)儒教開祖の孔子の名言 Do not impose on others what you yourself do not desire.(己の欲せざるところ、人に施すことなかれ)
“Do not impose on others what you yourself do not desire.”
直訳は「あなた自身が望まないことを、他の人々に押し付けてはならない」で、これは、倫理的な行動の基本として、「自分がしてほしくないことは他人にもするな」という、相互性の原則、すなわち「黄金律(Golden Rule)」の否定形を説く、孔子(Confucius)の深い洞察を表現しています。
名言の意味:相互性の原則と他者への配慮
この言葉は、古代中国の思想家であり、儒教の創始者である孔子が、「仁(じん)」という最高の道徳を、実生活でいかに実践するかについて述べたものです。これは、「己の欲せざるところ、人に施すことなかれ(If you do not want something, do not impose it on others.)」という、彼の教えの核心を成すものです。
鍵となる要素
- What You Yourself Do Not Desire(あなた自身が望まないこと) これは、個人の経験と感情を、道徳的な判断の基準とすることを意味します。自分の嫌悪感や不快感を、他者の感情を推し量る基準として用いるのです。
- Do Not Impose on Others(他の人々に押し付けてはならない) これがこの教えの核心的な行動原則です。「押し付ける(impose)」という行為は、自己中心的な態度の表れであり、他者の意志や尊厳を侵害することを意味します。孔子は、消極的な形で、他者への干渉や支配を避けることが、社会的な調和を生み出す第一歩であると説いています。
この名言は、愛や積極的な善意を説く「黄金律の積極形」とは異なり、まず「悪を避ける」こと、そして「他者の自由」を尊重することから、道徳的な生活が始まると教えています。
類似のことわざと教訓
似た意味の英語のことわざ
- “Do unto others as you would have them do unto you.” (あなたが人にしてほしいと思うことは、人にもそのようにしなさい。) これは「黄金律(Golden Rule)」の積極形であり、孔子の教えと倫理的な目的を共有しています。
- “Where there is a will, there is a way.” (意志あるところに道は開ける。) 他者を尊重する意志があれば、倫理的な行動の道が開かれるという点で通じます。
似た意味の日本語のことわざ
- 「己の欲せざるところ、人に施すことなかれ」(おのれのほっせざるところ、ひとにほどこすことなかれ) これはこの名言の漢文の原文であり、最も直接的に意味を伝える言葉です。
孔子(Confucius)の波乱万丈な生い立ち
孔子(紀元前551年頃 – 紀元前479年頃)は、古代中国の春秋時代の思想家であり、儒教の創始者です。
幼少期と政治家への道
紀元前551年頃、魯国(ろこく)で、没落した貴族の家庭に生まれました。彼は、その後の人生で、社会の混乱と無秩序を目の当たりにし、道徳に基づく理想的な社会を築くことを、生涯の目標としました。 彼は、その後、魯国の役人として、政治の世界で活動を始めましたが、彼の道徳的な政治思想が、当時の権力者たちと対立したため、官職を辞しました。
諸国遍歴と教育活動
孔子は、その後、約14年間、中国の各地を旅し、「諸国遍歴」という、困難な旅を続けました。彼は、その旅の途中で、多くの弟子を教え、「仁」や「義」といった、道徳的な価値観を重視する徳治主義の重要性を説きました。
孔子の生涯は、理想と現実の矛盾に直面しながらも、信念を貫き、道徳の教えを広めることに、情熱を注いだ物語です。彼の言葉は、私たちに、倫理的な行動の最もシンプルで最も強力な原理を教えてくれます。
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心に響く英語ことわざ(757)仏教の開祖ブッダの名言 Holding on to anger is like grasping a hot coal with the intent of throwing it at someone else; you are the one who gets burned.(怒りを抱き続ける事は他者ではなく自分自身を傷つける行為である)
https://www.eionken.co.jp/note/holding-on-to-anger/
心に響く英語ことわざ(759)近代科学の祖でイギリスの哲学者フランシス・ベーコンの名言 Who questions much, shall learn much, and retain much.(学習とは、まず自ら疑問を立てることから始まる)
https://www.eionken.co.jp/note/who-questions-much/
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。
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