- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 105. 英語リスニング脳 悩み解決
公開日
2025.04.02
更新日
2025.04.02

英単語アクセントは英語学習にとってどうなのか? 音節の強弱リズムと関連づけることが重要です。
英単語アクセントは入試英語試験に少し出題されるので勉強した方も多いと思いますし、英単語記憶の時にアクセントを気にしている人も多いと思います。
英語スピーキングや英語リスニングにとっての英単語アクセントの意義や音節(シラブル)との関係性を解説したいと思います。
英単語アクセントとは
英語におけるアクセントとは、英単語における社会的な慣習として決まっている音の相対的な強弱の配置を意味しています。
強勢アクセントは基本的に英単語の1つの母音に配置されます。場合により第2アクセントが母音に配置されることもあります。
たとえば、1音節の単語の “put” を英和辞書で見ると、発音記号は “pút” で、母音の“u” の文字の上に符号が記してあり、これがアクセントとなります。
2音節の英単語の “hotel” を英和辞書で見ると、発音記号が “houtél” で母音の ”e” にアクセントがあることが判ります。
“hotel” の音節は “ho・tel” で、アクセントがない “ho” の音節を弱く短く、アクセントの有る “tel” の音節を強く長く発音し、1つの英単語で強弱リズムを形成しています。
英単語のアクセントは、語源など言語形成の歴史も大きく反映していますが、人間のコミュニケーションツールなので、単語ごとにそのようなアクセント・強弱音節リズムで発音することで、単語における大事な音節を強調しているか、もしくはそのように発声するのがスムーズだから、そのようになってきたと想定されます。
そして英語音声学では、現実として形成されてきた英単語のアクセントを帰納法的に分析しアクセントの位置の規則性を分析したものとなります。
そのような英語音声学における音節の学問的研究成果を知ることは教養として面白いものがありますが、覚えるのはかなり大変なものがあります。
入試問題に英単語のアクセント位置問題が少し出題されるので、アクセントの位置の規則性を学習された方も多いと思いますが、その数が非常に多く、受験勉強が終わった途端に忘れ去った方も多いと思いますし、読み書き英語学習にとっては英単語アクセント学習の意義が感じられないとの意見も根強いと思います。
ちなみに日本の英語教育では、「アクセント」と一般に称されていますが、英米では “stress” と称されています。
また、英文1文単位での感情表現に関わる発声の高低はイントネーションと称され、英単語のアクセントの上に重なって、疑問文や肯定文などの意味を付加するものを意味しています。

カタカナ英語におけるアクセント位置の弊害
カタカナ英語と英語発音におけるアクセントの位置がずれていると、英米人に英語スピーキングが通じなかったり、英語リスニングで聞き取りにくかったりしますので、英語スピーキング力や英語リスニング力向上のためにはきちんと学習する必要があります。
以下はカタカナ英語でアクセントが英単語と異なっている例です。このアクセントの位置の違いでも、英米人に通じない可能性大です。
・日本語発音:カレンダー、 英語:cálendar(カレンダー)
・日本語発音:サスペンス、 英語:suspénse(サスペンス)
・日本語発音:テクニック、 英語:techníque(テクニーク)
・日本語発音:ボランティア 英語:voluntéer(ボランティーア)
・日本語発音:バニラ、英語:vanílla(ヴァニーラ)
読み書きで英単語アクセントが正確であることは不要ですが、英語スピーキングとリスニング力の向上のためにはかなり重要なテーマとなります。

英単語のアクセントと音節(syllable:シラブル)
オックスフォード辞典によると、 “syllable”(音節)は「単語が分割される単位で、基本的には母音と通常は1つ以上の子音を含む」とあります。
基本的に英単語における1つの音節には母音を1つ含みますので、複数の音節で構成される英単語は、アクセントを含む音節を強く長く発声し、アクセントを含まない音節は弱く短く発声され、1つの英単語の中で強弱のリズムを形成しています。
たとえば、“important” は発音が “impɔ́rtənt” で “o” にアクセントがあります。
音節は“im・por・tant”と3音節で、真ん中の“por”の音節にアクセントの母音があるため、前後の子音も含めて、“por”の音節が強く長く発声され、前後の音節は弱く短く発声され、弱強弱の3音節リズムで発声されます。
このように、英単語のアクセントは、音節も密接に関連して、英単語の発声の強弱リズムを形成しています。
この英単語の強弱リズムを体得することが、英語スキーキング力や英語リスニング力を向上させるポイントとなります。

重層構造の英文発音:強弱リズム
英語スピーキングや英語リスニング力の向上ためには、英語音声の強弱リズムを習得することが大事だとよく言われます。
基本的には適切な認識だと思いますが、英語音声はもう少し複雑な構造になっています。
それが重層構造の英語音声という考え方です。
英語フォニックスや英単語の発音記号の意味するところとして、基本的に英単語のアルファベット1文字1文字に対応する音があるということです。
もちろん、そうでない例外も多々あります。
とは言え、基本的に英米人が英単語のアルファベットを見た時、1文字1文字にちゃんと発声音があるとまずは認識します。
もちろん、高速で話すときに音の省略などが起きますが、あくまで基本的な意識としてということです。
次に、英単語における音節の意識が英米人にはかなりあり、アクセントがあり強く発声する音節と、アクセントがなく弱く発声する音節とで、強弱のリズムを作ります。
この部分が本稿で論じているアクセント・音節の重要性で、1つの英単語の強弱リズムを形成するアクセント・音節を意識することにより、英語スピーキングや英語リスニング力の強化につながる訳です。
最後が英文1文における複数の英単語間における強弱リズムです。
一文の中で強調したい英単語は強く長く発声し、そうでない英単語は弱く短く発声するという一文の中での強弱リズムを形成しています。
このような、英単語のアルファベット1文字ずつ、英単語のアクセント・音節、英文を形成している英単語をいう3階層の強弱リズムが英語音声の基本となっており、このリズムを習得することが、英語スピーキングや英語リスニング力の向上につながると考えています。

スマホアプリ英語学習時代における英単語アクセント・音節の学習方法
英語学習を紙の辞書に頼っていた時代は、知らない英単語のアクセントや音節を正確に知るには、英和辞書のアクセント及び音節表記に頼っており、その役割は大きいものがありました。
英語学習を音声付きスマホアプリで簡単に学習できる時代となり、紙の英和辞書のアクセントや音節表記を見なくても、音声で英単語のアクセントや音節強弱リズムを体感することができるようになりました。
英語音声学のアクセント配置の規則性や英単語音節分解ルールを記憶するのはとても大変で、アクセントはまだしも、音節を1単語1単語正確に記憶するなど、非常に困難です。
ポイントは、英単語記憶学習をスマホアプリで音声を使って記憶する際、単にアクセントの位置を気にするだけでなく、1英単語の音節の強弱リズムに意識を向けることです。
この少しのアクセント及び英単語音節への意識が、英単語における強弱リズムを体感する基礎となります。
これにより英語音声のアクセント及び強弱リズムの把握が容易になり、英語スピーキングや英語リスニング力の向上につながるという訳です。

まとめ
紙の辞書で英単語を学習する時代、英単語のアクセントは重要とされてきましたが、英語音節は殆どの日本人英語学習者に気にも留められない存在でした。
しかし、英語音節は、英語アクセントともに、英語の強弱リズムの基礎をなす重要な概念です。
英単語における英語アクセント配置の規則性や英語音節の分解ルールを学習するのは大変で、他の勉強や仕事に多忙な英語学習者に十分に習得する学習時間はありません。
英語学習をスマホアプリで英語学習をする時代となり、英単語記憶学習も音声付で簡単にできるようになりました。
英単語の意味とスペリングのみに重点を置くのはなく、英単語がどのようなアクセントや強弱リズムの音節になっているのかに意識を少し向けるだけで、英語音声の強弱リズムを体感でき、英語スピーキングや英語リスニング力の強化につながると考えられます。
以下の記事もご覧ください。
英単語の発音記号は英語学習のためにどうなのか?英単語スマホアプリが普及し役割が減りましたが、英語発音学習の重要性は変わりません。
https://www.eionken.co.jp/note/english-phonetic-symbols-learning-english/
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著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英音研株式会社創業者・代表取締役
・米国系戦略コンサルティングファームであるボストンコンサルティンググループ(BCG東京オフィス)及びNTTデータ経営研究所において通算30年超のビジネスコンサルティング歴を持つ。BCGでは日本のみならず、米国・欧州企業向けに経営戦略、マーケティング戦略、業務改革(BPR)、新規事業や新サービス開発プロジェクト、ソーシャルメディアマーケティングなどを多数経験。NTTデータ経営研究所においては、グローバルビジネス推進センターのエクゼクティブコンサルタントとして、米国、中国、台湾、香港、ベトナム、タイ、マレーシア、インドネシア、バングラデシュ、UAE、サウジアラビアなどにおける市場調査・輸出拡大戦略立案などに従事。
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語スピーキング脳を構築する効果的な学習方法も考案、英音研公式ブログに学習方法を投稿。
・趣味は米国の映画・ドラマを視聴して、米国人の価値観、文化、風習などを感じ取ること
・最近は、長年疑問に思っていたことや知りたいと思っていたことを生成AIに質問して、回答を読んで納得したりしている。これからの時代は膨大な知識データベースでもある生成AIへの質問力がポイントになると考えている。
・晴れていると、近くの小さな川沿いをウォーキングして、季節の移ろいを感じている。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など8冊がある。
Amazon.co.jp: 英音研株式会社: 本、バイオグラフィー、最新アップデート
・「シニアになって米国オンライン教育を受講してみた」シリーズとして9冊の書籍を発刊
「シニアになって米国の子供向け英語フォニックスのオンライン教育を受講してみた」
「シニアになって米国高校生向け米国史オンライン教育を受講してみた」
「シニアになって米国高校生向け化学オンライン教育を受講してみた」など
・ビジネスコンサルティング技術関連の著書に「ビジネスコンサルティング技術・マインド体系」「新規事業アイデア創造の技術」「ビジネスレポートを書く技術」「ビジネスプレゼンテーションの技術」など14冊がある。
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