- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 105. 英語リスニング脳 悩み解決
公開日
2025.04.02
更新日
2025.04.02

英語リスニングにとって英文法はどう必要なのか?リスニングにとって英文法の比重はそれほど重くないですが、英語スピーキングには実用英文法は必須です。
英語リスニングが十分にできない理由の大きな理由の1つに英文法の学習不足が良く挙げられています。
そして英文法の知識が不十分でないと感じられるときは英文法の復習をしましょうとさらっと書かれて終わりとなっています。
そのような状況なので、英語リスニングの際に英文法はどう必要なのかを掘り下げて考察してみたいと思います。
英語における4大技能における英文法の位置づけ
英語の4大技能は「読む、書く、聞く、話す」ですが、このうち「書く、話す」は自らが英文法に沿って正確に英語表現をしなければならないので、英文法の位置づけは重くなります。
これに対して「読む、聞く」は英語ネイティブスピーカーの書いた英文や音声英語は、それ相応に英文法に則して表現されたものであるはずなので、その表現内容を理解するレベルで良く、「書く、話す」よりも英文法の位置づけは重くはありません。
このような状況ですが、英語の4大技能をバランスよく伸ばすとなると、「書く、話す」をこなす英文法レベルが必要となり、それなりな英文法学習レベルが必要となります。

入試英語における英文法学習
入試英語向けの英文法学習は様々な問題が指摘されているとは言え、英文法の基本は学習できるので、それ相応に学習の意義は高いと思います。
しかし、入学試験なので、正解と不正解にはっきり理屈が必要で、現実にはあまり使われなくなっている表現も、古めかしい原理原則に則したものが正解とされたりします。
また選抜試験なので、受験者の得点差が出るようにしなければならず、細かな例外が出題されたりします。
入試英語の英文法は、理屈抜きにものすごく多くの事を記憶しなければならず、英文法嫌いになった人も多いと思います。

一億人の英文法
このような状況のもと、2011年に大西泰斗氏により「一億人の英文法」が発刊されました。
筆者はこの書籍が出る前から大西泰斗氏のファンで氏の執筆英語関連書籍を10数冊購入して読んでいたので、氏の主張をかなり学習していましたが、この「一億人の英文法」はそれらの統合版でした。
書店に見かけた時、早速買い求めて、休みの日に朝から晩まで合計5日間ほどかけて全部読み通しました。
700ページ近い書籍なので一通り読み通すだけでも大変でしたが、英文法における英語ネイティブスピーカーの感覚が随所に解説されていて、「この英文法の規則の意図はそういうことだったのか」「この書籍に中学・高校の頃、出会っていれば、英語学習に対するモチベーションもだいぶ違っていたはず」と悔しい思いもありました。
最近、書店で高校生とその親が英語コーナーで書籍を見ていて、その高校生が「一億人の英文法はもう勉強した」と親に向かって話していて、うらやましいと感じたりもしたものです。

英音研学習による英語リスニング力の向上と英文法
英音研学習で、英音発声特性を十分加味した英文音読トレーニングを積むと、英語リスニング脳が構築でき、英語リスニング力が向上します。
英語リスニング力は、英語音声を単語レベルで認識する力と認識した英単語の意味を理解していれば、英語音声の意味全体を理解できると言う合わせ技となっています。
英語音声が聞き取れても、英単語の意味を知らなければ、その部分は空白となり、他の聞き取れた部分から英語音声の意味を理解することになります。
このような状況のもと、英語リスニングにおける英文法の役割は以下のような感じです。
まず、疑問文か、そうでないかを英語音声で認識します。
Is it~? Can you~? What are~? When is~? など疑問文特有の英単語や英単語の語順が発せられると、「あ~、疑問文だね」と認識します。
It is~. I can~.など通常の語順だと、通常の表現と認識します。
その後の英語リスニングのポイントとしては、まずは、主語と考えられる音声が聞こえたら、この英語音声の主体は誰もしくは何なのかを気に留めます。
次に注目するのが動詞です。
動詞は、どういう動作もしくは状態をどの時制で語っているのかを気に留めます。
時制は、過去形、現在形、未来形、現在完了などを音声から認識します。
あと残り全部は、主語と動詞を説明していく単語群という感じで一括りです。
その中でも、英文を継ぎ足していく単語にはやや気を留めます。
英文継ぎ足しでよく使われるのが、接続関連の単語で、that, and, but, because, if などや、who, which, where, where などの関係代名詞・関係副詞で、これらの音声を認識すると新たな塊の発言が始まると認識します。
ほかにも、英文継ぎ足しでよく使われるのが、to動詞(to不定詞)、ing動詞(動詞進行形)、ed動詞(動詞受動態、過去分詞)で、これらを認識すると何らかの説明が継ぎ足されると認識します。
こんな感じが英語リスニングにおける英文法の知識としては、そんなに複雑なものはありません。
これくらいの英文法の知識活用で、英単語の音の流れを1つ1つ認識して意味を理解して了解という感じです。
日本人が日本語音声を聞いたとき、いちいち、日本語文法はこうだからといちいち思い浮かべながら聞き取りなどしないと思います。
発声される音の順に聞き取って、意味を理解して完了だと思います。
英米人が英語音声を聞いた時も全く同じで、英文法はこうだからといちいち考えながら聞き取りなどしないと思います。
日本人が外国語である英語の音声を聞き取るときは、さすがに母国語である日本語のようにはいかないので、英文法の知識に頼ることが必要となりますが、上記のように、発せられた瞬間からどんどん消えていく音声に瞬時に英文法の構文分析は無理で、主語、動詞、説明語を中心として端から聞き取っていくしかないと思います。

英語リスニング力の向上ための英文法学習
英語リスニングのためだけの英文法学習という観点だけだと、それほどみっちりと英文法を学習する必要性は高くないと思います。
それでも英文法に自信がないなら、社会人向けに中学レベルの英文法を復習する書籍がたくさん発刊されていますので、それを1冊さらっと勉強したら良いとも思います。
しかし、英文法なので、それでもなかなか退屈だし、頭に入り難いものがあります。
ですので、さらっと1通り勉強したら、あとは実践の中で英文法的な事項を確認するというのが現実的だと思います。
英音研Webサイトのブログでは、「スラッシュ英文音読」というタイトルで、英文における英単語の意味の塊であるチャンクを主語関連・動詞関連・説明語関連のカテゴリーごとに、スラッシュで区切った英文音読教材ブログをサイトアップしています。
実用的な英語リスニングを目指して、英文法はものすごく簡略化して3つの分類のみで、あとはチャンクごとに語順通りに理解しつつ、英文発声トレーニングのポイントに従って英文音読をするというものです。
ぜひアクセスして音読をしてみてください。
きっと英語リスニングが向上しますよ。
ただし、英音発声特性で英文音読トレーニングをしないと、英語リスニング脳は構築できません。
英音研学習サイトでは、英音発声特性がどういうものかを詳細かつ具体的に説明していますので、そちらもぜひご覧ください。
まとめ
英語リスニングにとって、英文法の比重は、英語スピーキングと比べて、それほど重くありません。
英語リスニング力の向上のためには、英音発声特性を加味した英文音読トレーニングにより、英語リスニング脳を構築し、英語音声を単語レベルで認識できる力を獲得することと、認識できた英語音声の意味を認識するための英単語・英熟語力の増強がメインとなります。
それでも英文法に自信のない方は社会人向けの中学英文法復習の書籍を1通り読めばよいと思いますが、完全にマスターするのは結構つらいので、あとはスラッシュ英文音読などの実践の中で身に着けて行けば良いと思います。
他方、英語スピーキングや英作文のためには、英文を自らの力で構築しなければいけないので、英文法の重要性は、英語リスニング比べてはるかに高くなります。
英語の4大技能である「読む、書く、聞く、話す」という力をバランスよく伸ばすには、「書く、話す」のスキルのために、結局、中学から高校1年生くらいの実用英文法は徹底的にマスターする必要があろうかと思います。
母国語でない外国語学習なので、仕方のないところですが、2011年発刊の「一億人の英文法」から10年がたち、英語ネイティブスピーカーの感覚を解説した英文法の書籍の数が増えてきたので、それらをきちんと学習することでモチベーションの維持も可能かと思います。
以下の記事もご覧ください。
社会人英語初心者の英語学習はどう進めるべきか?業務多忙な社会人による英語学習戦略とは
https://www.eionken.co.jp/note/working-people-english-learning-strategy/
***
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英音研株式会社創業者・代表取締役
・米国系戦略コンサルティングファームであるボストンコンサルティンググループ(BCG東京オフィス)及びNTTデータ経営研究所において通算30年超のビジネスコンサルティング歴を持つ。BCGでは日本のみならず、米国・欧州企業向けに経営戦略、マーケティング戦略、業務改革(BPR)、新規事業や新サービス開発プロジェクト、ソーシャルメディアマーケティングなどを多数経験。NTTデータ経営研究所においては、グローバルビジネス推進センターのエクゼクティブコンサルタントとして、米国、中国、台湾、香港、ベトナム、タイ、マレーシア、インドネシア、バングラデシュ、UAE、サウジアラビアなどにおける市場調査・輸出拡大戦略立案などに従事。
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語スピーキング脳を構築する効果的な学習方法も考案、英音研公式ブログに学習方法を投稿。
・趣味は米国の映画・ドラマを視聴して、米国人の価値観、文化、風習などを感じ取ること
・最近は、長年疑問に思っていたことや知りたいと思っていたことを生成AIに質問して、回答を読んで納得したりしている。これからの時代は膨大な知識データベースでもある生成AIへの質問力がポイントになると考えている。
・晴れていると、近くの小さな川沿いをウォーキングして、季節の移ろいを感じている。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など8冊がある。
Amazon.co.jp: 英音研株式会社: 本、バイオグラフィー、最新アップデート
・「シニアになって米国オンライン教育を受講してみた」シリーズとして9冊の書籍を発刊
「シニアになって米国の子供向け英語フォニックスのオンライン教育を受講してみた」
「シニアになって米国高校生向け米国史オンライン教育を受講してみた」
「シニアになって米国高校生向け化学オンライン教育を受講してみた」など
・ビジネスコンサルティング技術関連の著書に「ビジネスコンサルティング技術・マインド体系」「新規事業アイデア創造の技術」「ビジネスレポートを書く技術」「ビジネスプレゼンテーションの技術」など14冊がある。
Amazon.co.jp: 山下長幸: 本、バイオグラフィー、最新アップデート
コンテンツメニュー