- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 115. 英語スピーキング脳 勉強法
公開日
2025.04.06
更新日
2025.04.08

どうすれば英語スピーキング脳を創る事ができるか?英文付け加え発想学習
英語のアウトプット能力に「書く」と「話す」があります。このうち「書く」は時間を使って考えることが出来るのに対し、「話す」は英文構築に瞬発力が要求されるため、適切な話を適切なスピード英語でする事は簡単ではありません。
それでも何とか英語スピーキング力を伸ばしたいと考えている人は多いと思います。
本稿では、英語をスムーズに話せるようになるため、付け加え発想により、英語スピーキング脳を創る英語スピーキング学習法を解説します。
英語スピーキング力の構成要素
英語スピーキング力の構成要素としては以下のものがあります。
(1)何を話すかを考える。
(2)話したい事を表現するための英文の出だしを考える。
(3)話したい事を表現するための英単語・英熟語を選択する。
(4)選択した英単語・英熟語を正しい英音発声方法で正確に発音する。
(5)(1)~(4)を繰り返し英文を付け加えながら英語を話す。
英語スピーキング力を向上させるには、これらの要素がすべてそろうことが必要ですが、本稿では、「(2)話したい事を表現するための英文の出だしを考え、(5)の話しながら英文を付け加えていく」に重点を置いて説明していきます。
よくある日本人の英語スピーキング英文構築方法
英語スピーキングにおいて、多くの日本人は自分の話したいことをまず日本語で思い浮かべて、それを頭の中で全文を英作文をして、それを発声すると言う方法です。頭の中で言いたいことの全文を英作文することも簡単ではなく、英文がなかなかスムーズには思い浮かばず、発言が詰まってしまいがちです。
大学入試英語での読み・書き重視で英語学習をしてきた方々はこういう感じの英語スピーキングが非常に多いと思います。自分の話したいことを日本語で思い浮かべて、それを頭の中で英作文するので、英会話のテンポも悪いものになります。
付け加え発想による英文構築方法
日本人が日本語を話す際、いちいち話す全文を日本語で考えて、その後、口に出して話すなどということは基本的にありません。多くの場合、頭に思い浮かんだ内容をそのまま日本語で口に出して話しているだけです。
英米人が英語を話す際も同様です。いちいち話す全文を英語で考えて、その後、口に出して話すなどということは基本的にありません。多くの場合、頭に思い浮かんだ内容をそのまま英語で口に出して話しているだけです。
これが母国語というものです。
日本人にとっては外国語である英語は母国語のようには話せませんが、何とか頭の中での英作文から脱却して、英米人のような英語スピーキングに近づくことが学習目標となります。
では、以下の英文で例に取って、英文が付け加え発想で構築されていることを検証したいと思います。
***
The proposed rule by the 5th U.S. Circuit Court of Appeals would require lawyers
to certify that they either did not rely on artificial intelligence programs to draft briefs
or that humans reviewed the accuracy of any text generated by AI in their court filings.
(第5巡回区控訴裁判所より提案した規則では、弁護士に対し、準備書面作成に人工知能プログラムを利用していないこと、または裁判所への提出書類においてAIが生成した文章の正確性を人間が審査したことを証明することが求められる。)
出典:VOA
***
The proposed rule 【主語】(提案された規則は)
by the 5th U.S. Circuit Court of Appeals 【前置詞byを使って主語の説明を付加】(第5巡回区控訴裁判所より)
would require lawyers 【動詞+目的語】(弁護士に求められる):ここまでで主文は完成
to certify 【to動詞を使って目的語の説明を付加】(証明する)
(若干の「間(ま)」を入れる)
that 【直前の動詞certifyの目的語文を導く“that”】:直前の動詞certifyの目的語の内容を詳しい説明をする文が開始される
they either did not rely 【主語+動詞】(彼ら(弁護士)は頼らない)
on artificial intelligence programs 【前置詞onを使って動詞の説明を付加】(人工知能プログラムを)
to draft briefs 【to動詞使って動詞の説明を付加】(準備書面を作成すること)
(若干の「間(ま)」を入れる)
or 【接続詞を使って英文をさらに付加】(または)
that 【動詞certifyの目的語の文を導く“that”】:動詞certifyの2つ目の目的語の内容を詳しい説明をする文が開始される
humans reviewed the accuracy 【主語+動詞+目的語】(人間が正確性を審査する)
of any text 【前置詞ofを使って直前の目的語の説明を付加】(どんな文書の)
generated 【ed動詞で直前の名詞textの説明を付加】(生成された)
by AI 【前置詞byを使ってed動詞の説明を付加】(AIにより)
in their court filings. 【前置詞inを使って名詞textの説明を付加】(裁判所への提出書類において)
***
36個の英単語からなるそこそこ長い英文ですが、主語+動詞+目的語の主文を説明した後、「to動詞」「ed動詞」「接続詞that」「前置詞」を使って言いたいことを詳しく表現しています。
英語リスニング脳構築トレーニング
この英文を使って英語スピーキング脳を構築するために以下のような音読トレーニングを実施します。この英文は一文が長いので、主要部分を分解して実施します。
この英文を使って英語スピーキング脳を構築するには以下のような英訳音読トレーニングを実施します。この英文は一文が長いので、主要部分を分解して実施します。
(1)最初英文を何回か音読して、英文の付け加え発想を意識しつつ、英文の内容を理解し、スムーズに音読できるようにします。
(2)次に日本語訳だけを見て英訳音読します。うまく英訳できなかったときは、再度英文を何回か音読をし、再度日本語訳だけを見え英訳音読します。
(3)英文の付け加え発想を意識しつつ、英訳音読がうまくできるまでこのプロセスを何回か実施します。
(4)日本語訳だけを見てうまく英訳音読できるようになったら次に進みます。それが難しいときはあきらめて次に進みます。
The proposed rule by the 5th U.S. Circuit Court of Appeals would require lawyers
(第5巡回区控訴裁判所より提案した規則では、弁護士に対し、求められる)
to certify that they either did not rely on artificial intelligence programs to draft briefs
(準備書面作成に人工知能プログラムを利用していないことを証明すること)
or that humans reviewed the accuracy of any text generated by AI in their court filings.
(または裁判所への提出書類においてAIが生成した文章の正確性を人間が審査したこと)

英語スピーキング脳を創る
英文は、まず「主語+動詞」、「主語+動詞+目的語」、「主語+動詞+補語」などの主文を述べた後、その主文の内容を詳しく説明するため、いくつかのパターンで、付け加えていくと言う「付け加え発想」で発言する英文を構築していきます。
付け加えパターン1:接続詞
“and”、”but”などの接続詞で英文を付け加えていくのは判りやすいですが、特にマスターしたいのは、接続詞の“that”です。
I am happy that you are here. (あなたがここにいてくれることで、私は幸せです。)
She is confident that she will pass the exam. (彼女は、試験に合格すると自信を持っています。)
He is worried that he will be late for the meeting. (彼は、会議に遅れるのではないかと心配しています。)
以上の例文は、従属接続詞 “that” を使用しています。それぞれの文は、主節と従属節から構成されています。従属節は、主節を補足する情報を提供します。主節は、文の主要なアイデアを表します。
付け加えパターン2:関係代名詞
関係代名詞“that”、”where”、”when”などがありますが、特に付け加え発想で使い勝手があるのは、主節文全体を受けている関係代名詞“, which”のケースです。ある英文を話した後、追加説明を付け加えることが簡単にできます。
The company has a new CEO, which was announced yesterday.
(その会社には新しいCEOがいます。それは昨日発表されました。)
I don’t understand why he did that, which is very strange. なぜ彼がそんなことをしたのか分かりませんが、とても奇妙です。
付け加えパターン3:前置詞
前置詞は、言いたい内容を詳しく説明するために付け加える単語として非常に便利です。ただ、日本人の場合、どのような場合にどの前置詞を使うか判断が難しいものがあります。
The deadline for inputting the data is April 23.
(データの入力期限は4月23日です。)
They seem to be using retired senior people with experience in various fields.
(彼らは様々な分野の経験のある退職シニア層を活用しているようです。)
Is that correct in my understanding?
(そのような理解で良いでしょうか?)
I would like to communicate with him on a regular basis.
(彼とは定期的にコミュニケーションを取りたいと思います。)
前置詞の使い方については下記の英音研ブログも参照してください。
英語スピーキング・英作文学習は前置詞がカギを握る:forが使われる理由
https://www.eionken.co.jp/note/preposition-for/

まとめ
このように、英文付け加え発想を使って英語スピーキング学習をすることにより、英語スピーキング脳を創ることが可能となります。
接続詞、関係代名詞、前置詞を使って英文付け加え発想で、英語スピーキングの練習をすることが非常に重要です。
ちなみに英会話において、英語リスニングとスピーキングでどちらが重要かというと、英語リスニングとなります。相手が言っていることが理解できれば、流暢でないトツトツとした英語であっても返事ができます。しかし、相手が言っていることが理解できなければ、返事をすることができず、愛想笑いをするしかありません。英語リスニング脳を構築する学習方法については下記のブログを参照してください。
どうすれば英語リスニング脳を創る事ができるか?「単語ごとの英音認識」と「意味の理解」ができるようになる学習法
https://www.eionken.co.jp/note/listening-english-recognition-understanding/
英文付け加え発想により英語スピーキング脳を創る(1)
https://www.eionken.co.jp/note/english-speaking-brain-3/
以下の記事もご覧ください。
日本人はなぜ英語スピーキングが苦手なのか?Google翻訳活用・英音研発声メソッドによる英語スピーキング上達法
https://www.eionken.co.jp/note/why-are-japanese-people-so-bad-at-english-speaking/
正しい英音発声方法について以下のブログを参照してください。
どうすれば英語スピーキングでの発音を上達させることができるのか?英音研発声メソッドによる英語スピーキング発音上達法
https://www.eionken.co.jp/note/how-can-you-improve-your-pronunciation-in-english-speaking/
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著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英音研株式会社創業者・代表取締役
・米国系戦略コンサルティングファームであるボストンコンサルティンググループ(BCG東京オフィス)及びNTTデータ経営研究所において通算30年超のビジネスコンサルティング歴を持つ。BCGでは日本のみならず、米国・欧州企業向けに経営戦略、マーケティング戦略、業務改革(BPR)、新規事業や新サービス開発プロジェクト、ソーシャルメディアマーケティングなどを多数経験。NTTデータ経営研究所においては、グローバルビジネス推進センターのエクゼクティブコンサルタントとして、米国、中国、台湾、香港、ベトナム、タイ、マレーシア、インドネシア、バングラデシュ、UAE、サウジアラビアなどにおける市場調査・輸出拡大戦略立案などに従事。
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語スピーキング脳を構築する効果的な学習方法も考案、英音研公式ブログに学習方法を投稿。
・趣味は米国の映画・ドラマを視聴して、米国人の価値観、文化、風習などを感じ取ること
・最近は、長年疑問に思っていたことや知りたいと思っていたことを生成AIに質問して、回答を読んで納得したりしている。これからの時代は膨大な知識データベースでもある生成AIへの質問力がポイントになると考えている。
・晴れていると、近くの小さな川沿いをウォーキングして、季節の移ろいを感じている。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など8冊がある。
Amazon.co.jp: 英音研株式会社: 本、バイオグラフィー、最新アップデート
・「シニアになって米国オンライン教育を受講してみた」シリーズとして9冊の書籍を発刊
「シニアになって米国の子供向け英語フォニックスのオンライン教育を受講してみた」
「シニアになって米国高校生向け米国史オンライン教育を受講してみた」
「シニアになって米国高校生向け化学オンライン教育を受講してみた」など
・ビジネスコンサルティング技術関連の著書に「ビジネスコンサルティング技術・マインド体系」「新規事業アイデア創造の技術」「ビジネスレポートを書く技術」「ビジネスプレゼンテーションの技術」など14冊がある。