- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 196. お国なまり英語学習
公開日
2025.04.02
更新日
2025.04.03

Google Geminiに英国のエスチュアリー英語(Estuary English)とはどのような英語かを聞いてみた
Google Geminiは、Googleによる生成AIで、Google 検索を通じて最新情報を含めたチャット回答が可能です。
Geminiは星座の双子座を意味しており、検索エンジンのGoogleと生成AIが双子で仲良く競って育っていくと言う意味があるのかもしれません。
そのGoogle Geminiに英国のエスチュアリー英語(Estuary English)とはどのような英語かを聞いてみました。
エスチュアリー英語とはどのような英語か?
エスチュアリー英語(Estuary English、略称:EE)は、1980年代前後からイギリス・ロンドンとその周辺(テムズ川河口周辺)で広く使われるようになった英語の一種です。容認発音(Received Pronunciation、略称:RP)とイングランド南東部方言(コックニー)の混合と捉えることができます。Estuary は「河口」を意味しています。
エスチュアリー英語には、以下のような特徴があります。
発音
/r/ の発音:RP では /r/ はほとんど発音されませんが、エスチュアリー英語では単語の末尾でも明確に発音されます。
/t/ の発音:RP では /t/ は /ʔ/ に弱化されますが、エスチュアリー英語では /t/ をしっかりと発音します。
長母音の短縮:RP では長母音が短縮されることはありませんが、エスチュアリー英語では /iː/、/uː/、/əʊ/ などが短縮されます。
二重母音の単母音化:RP では /ai/、/au/、/oi/ などの二重母音が明確に発音されますが、エスチュアリー英語では /aɪ/、/aʊ/、/ɔɪ/ などに単母音化されます。
語彙
イギリス英語とアメリカ英語の両方の語彙が使われます。
非標準的な語彙や表現も使われます。
文法
イギリス英語とアメリカ英語の両方の文法が使われます。
非標準的な文法も使われます。
エスチュアリー英語の現状
エスチュアリー英語は、ロンドンとその周辺地域を中心に、若い世代を中心に広く使われています。また、テレビやラジオなどのメディアでも使用されるようになっており、イギリス英語の標準的な発音になりつつあるとも言われています。
エスチュアリー英語は、従来のRPとは異なる新しい英語として、肯定的に評価する人もいれば、伝統的な英語が失われていくとして否定的に評価する人もいます。
エスチュアリー英語の例
以下の文章は、RP(Received Pronunciation) とエスチュアリー英語の発音の違いを示しています。
RP:
The cat sat on the mat.
I’m going to the shop.
She’s a lovely girl.
エスチュアリー英語:
The ca’ sat on the ma’.
I’m goin’ to the shop.
She’s a luvly girl.
***
エスチュアリー英語が使われるようになった背景
エスチュアリー英語が1980年代前後からイギリス・ロンドンとその周辺で広く使われるようになった背景には、以下の要因が考えられます。
社会階級の流動化
第二次世界大戦後、イギリスでは社会階級の流動化が進みました。従来の階級社会が徐々に解体し、異なる階級の人々が出会う機会が増えました。ロンドンとその周辺では、様々な階級の人々が混住するようになり、それぞれの階級の方言が混ざり合い、エスチュアリー英語が形成されました。
マスメディアの影響
テレビやラジオなどのマスメディアの発展も、エスチュアリー英語の普及に影響を与えました。これらのメディアでは、RP と地方方言の中間の発音であるエスチュアリー英語がよく使われ、多くの人が耳にする機会が増えました。
教育の変化
従来、イギリスの学校ではRP が標準的な発音として教えられていました。しかし、近年では地方方言やエスチュアリー英語も尊重されるようになり、学校教育でもこれらの発音が認められるようになってきました。
ロンドンの国際化
ロンドンは国際都市として発展しており、世界中から多くの人が集まってきます。ロンドンに住む人々は、様々な英語に触れる機会が増え、従来のRP だけでなく、エスチュアリー英語のような新しい発音も受け入れられるようになってきました。
若者の文化
エスチュアリー英語は、ロンドンの若者を中心に流行しました。従来のRP よりもカジュアルで親しみやすい発音であることから、若者たちの間で人気が高まりました。
これらの要因が複合的に絡み合い、エスチュアリー英語がイギリス英語の新しい標準発音として台頭してきたと考えられます。
エスチュアリー英語に対する評価
エスチュアリー英語に対する評価は様々です。
肯定的な評価
肯定的な評価としては、従来のRP よりも階級性が低く、多くの人が受け入れやすい発音であるという意見があります。また、国際的な都市であるロンドンにふさわしい、新しい英語の発音であるという意見もあります。
否定的な評価
一方、否定的な評価としては、伝統的なRP が失われていくという意見があります。また、エスチュアリー英語が地方の方言を駆逐するのではないかという懸念もあります。
今後のエスチュアリー英語
エスチュアリー英語は今後もイギリス英語の中で重要な役割を果たしていくと考えられます。今後、エスチュアリー英語がさらに普及し、イギリス英語の標準発音として確立していくのか、それとも地方方言との共存していくのか、注目されます。
***
まとめ
イギリス英語と言うとまずは容認発音(Received Pronunciation)を学習することがまずは重要ですが、エスチュアリー英語(Estuary English)のように言語は時の流れとともに進化していくのですね。
ちなみに以下の英音研のブログもご一読ください。
どうすれば英語リスニング脳を創る事ができるか?「単語ごとの英音認識」と「意味の理解」ができるようになる学習法
https://www.eionken.co.jp/note/listening-english-recognition-understanding/
「英語リスニング勉強法」「英語リスニング悩み解決」ブログ記事のリンク一覧
https://www.eionken.co.jp/note/english-listening-study-method/
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英音研株式会社創業者・代表取締役
・米国系戦略コンサルティングファームであるボストンコンサルティンググループ(BCG東京オフィス)及びNTTデータ経営研究所において通算30年超のビジネスコンサルティング歴を持つ。BCGでは日本のみならず、米国・欧州企業向けに経営戦略、マーケティング戦略、業務改革(BPR)、新規事業や新サービス開発プロジェクト、ソーシャルメディアマーケティングなどを多数経験。NTTデータ経営研究所においては、グローバルビジネス推進センターのエクゼクティブコンサルタントとして、米国、中国、台湾、香港、ベトナム、タイ、マレーシア、インドネシア、バングラデシュ、UAE、サウジアラビアなどにおける市場調査・輸出拡大戦略立案などに従事。
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語スピーキング脳を構築する効果的な学習方法も考案、英音研公式ブログに学習方法を投稿。
・趣味は米国の映画・ドラマを視聴して、米国人の価値観、文化、風習などを感じ取ること
・最近は、長年疑問に思っていたことや知りたいと思っていたことを生成AIに質問して、回答を読んで納得したりしている。これからの時代は膨大な知識データベースでもある生成AIへの質問力がポイントになると考えている。
・晴れていると、近くの小さな川沿いをウォーキングして、季節の移ろいを感じている。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など8冊がある。
Amazon.co.jp: 英音研株式会社: 本、バイオグラフィー、最新アップデート
・「シニアになって米国オンライン教育を受講してみた」シリーズとして9冊の書籍を発刊
「シニアになって米国の子供向け英語フォニックスのオンライン教育を受講してみた」
「シニアになって米国高校生向け米国史オンライン教育を受講してみた」
「シニアになって米国高校生向け化学オンライン教育を受講してみた」など
・ビジネスコンサルティング技術関連の著書に「ビジネスコンサルティング技術・マインド体系」「新規事業アイデア創造の技術」「ビジネスレポートを書く技術」「ビジネスプレゼンテーションの技術」など14冊がある。
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