- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 204.心に響く英語ことわざ2
公開日
2025.12.10
更新日
2025.12.10
心に響く英語ことわざ(895)フランスの画家クロード・モネの名言 Everyone discusses my art and pretends to understand, as if it were necessary to understand, when it is simply necessary to love.(芸術は理屈ではなく感動)
“Everyone discusses my art and pretends to understand, as if it were necessary to understand, when it is simply necessary to love.”
直訳は「誰もが私の芸術について議論し、理解しているふりをする。まるで理解することが必要であるかのように。しかし、必要なのはただ愛することであるのに」で、似た意味の言葉に「芸術は理屈ではなく感動」や「感じよう、考えようとするな」があります。
クロード・モネ(Claude Monet)の名言 Everyone discusses my art…の意味
この言葉は、「印象派の父」と呼ばれるクロード・モネが、自身の芸術作品に対する世間や批評家の反応を見て、鑑賞の本質は知的な分析や理論の理解ではなく、純粋な感情(愛=Love)であることを訴えたものです。モネの作品が目指したのは、その場の光と色の一瞬の輝きを捉えることであり、鑑賞者にも頭で考えるのではなく、五感と心でその美を感じてほしいという願いが込められています。
この言葉が意味すること この名言は、芸術鑑賞における主観的な体験の優位性を強調しています。
- 「pretends to understand」(理解しているふりをする) 芸術作品の前で、人々は「これはどういう意味か」「何が描かれているか」といった知的で論理的な分析をしなければならないと思い込みがちです。モネは、知識や教養をひけらかすために、作品を論理的に「解読」しようとする態度を批判しています。
- 「as if it were necessary to understand」(まるで理解することが必要であるかのように) モネの時代、アカデミズムでは、絵画には歴史や神話の物語といった「テーマ(理解すべき内容)」が重要視されていました。しかし、印象派は主題ではなく、「光と色彩」という純粋な視覚的体験を重視しました。モネは、自分の作品は「見る」ものであって「読む」ものではない、と主張しているのです。
- 「it is simply necessary to love」(必要なのはただ愛することである) 芸術の本当の価値は、それが鑑賞者の心に喜び、感動、または純粋な快感(愛)をもたらすかどうかにあります。難しく考える必要はなく、目の前の作品を「好きだ」と感じること、その感情こそが、最も深いレベルでの作品との対話であるというメッセージです。
似た意味の英語のことわざ
- “Art is not what you see, but what you make others see.” (芸術とは、あなたが見たものではなく、あなたが見せるものだ。) エドガー・ドガの言葉。芸術が、客観的な事実よりも、鑑賞者の主観的な視覚体験や感動を生み出すことに価値があるという点で共通しています。
- “Where the spirit does not work with the hand, there is no art.” (精神が手と共に働かないところに、芸術は存在しない。) レオナルド・ダ・ヴィンチの言葉。理論だけではなく、創造者の情熱と精神性が重要である、という意味。
似た意味の日本語のことわざ
- 「芸術は感じるところにある」 芸術の鑑賞は、知識や理屈ではなく、個々人の感性に委ねられるべきであるという意味。
- 「理屈は要らぬ」 モネのいう「understand」は不要で、「love」さえあれば良いという主張と通じます。
- 「行雲流水」(こううんりゅうすい) 特定の形や理論にこだわらず、自然のままに流れるように生きるという意味。モネの、光と色彩の変化をそのまま描く制作態度に合致します。
クロード・モネ(Claude Monet)の波乱万丈な生い立ち
クロード・モネ(1840-1926)は、フランスの画家であり、革新的な「印象派」の中心人物として、西洋美術の歴史を塗り替えました。
- アカデミズムとの対立 当初、モネは当時の美術界の主流であったアカデミズム(古典的な規範や歴史画を重んじる保守的な画壇)から受け入れられませんでした。彼の戸外で光の瞬間を捉えようとする手法は批判され、サロン(官展)への入選も困難を極めました。貧困と不遇の時代を長く経験し、経済的に苦しみ続けました。
- 「印象派」の誕生 1874年、モネらが開催したグループ展で、彼の作品『印象、日の出』が批評家から「印象しか描かれていない」と皮肉を込めて評されたことが、「印象派(Impressionism)」という名称の由来となりました。モネは、この批判を逆手に取り、光の表現を極めることに生涯を捧げました。
- 光の探求者 彼は、同じモチーフを時間や天候を変えて何度も描き続ける「連作」を考案しました(『積み藁』『ルーアン大聖堂』など)。そして晩年は、自宅の庭に造った「水の庭」に心を奪われ、視力が衰えながらも、巨大な『睡蓮』の連作に取り組み続けました。彼の芸術は、知的な解釈を超えた、純粋で普遍的な「光の愛」によって貫かれています。
名言の出典
名言の出典は不明 (※この言葉は、モネが自身の芸術に対する批評家の態度に反論した際、または友人宛の書簡で述べた言葉として広く知られています。具体的な一次資料は特定されていませんが、彼の哲学を最もよく表す言葉として引用されています。)
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心に響く英語ことわざ(894)イギリスの映画監督クリストファー・ノーランの名言 You’re never going to learn something as profoundly as when it’s purely out of curiosity.(純粋な好奇心こそが学びの源)
https://www.eionken.co.jp/note/youre-never-going-to-learn-something/
心に響く英語ことわざ(896)チベット仏教の指導者ダライ・ラマの名言 Just one small positive thought in the morning can change your whole day.(一日の計は朝にあり)
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著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。

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