- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 204.心に響く英語ことわざ2
公開日
2025.10.04
更新日
2025.10.04

心に響く英語ことわざ(742)古代ギリシアの哲学者ヘラクレイトスの名言 Good character is not formed in a week or a month. It is created little by little, day by day. Protracted and patient effort is needed to develop good character.(人格は日々の継続的な努力によって築かれる)
“Good character is not formed in a week or a month. It is created little by little, day by day. Protracted and patient effort is needed to develop good character.”
直訳は「良い人格は、一週間や一ヶ月で形成されるものではない。それは少しずつ、日々創造される。良い人格を発達させるためには、長期間にわたる忍耐強い努力が必要である」で、これは、「人格(character)」の形成が、偶然や、短期間の出来事によるものではなく、「継続的な努力」と「習慣」によって、ゆっくりと築かれるプロセスであることを説く、ヘラクレイトスの深い洞察を表現しています。
ヘラクレイトス(Heraclitus)の名言 Good character is not formed…の意味
この言葉は、古代ギリシアの哲学者であるヘラクレイトスが、「人格形成の原則」について述べたものです。彼は、自然界のすべてが「変化(Everything flows)」するという思想を提唱しましたが、この名言は、「善き人格」という、最も重要な自己の創造もまた、時間の流れと絶え間ない努力を必要とする、変化のプロセスであることを示しています。
この言葉が意味すること
この名言は、「継続的努力と習慣の力」を強調しています。
- 「Good character is not formed in a week or a month. It is created little by little, day by day.」(良い人格は、一週間や一ヶ月で形成されるものではない。それは少しずつ、日々創造される。) ヘラクレイトスは、「良い人格(Good character)」を、短期間で達成できる目標としてではなく、「日々(day by day)」行われる「創造(created)」のプロセスとして捉えています。彼は、真の道徳的な強さや、人格は、毎日の小さな選択と行動の積み重ねによってしか、築かれないことを示しています。
- 「Protracted and patient effort is needed to develop good character.」(良い人格を発達させるためには、長期間にわたる忍耐強い努力が必要である。) この部分が、この言葉の核心です。「長期間にわたる(Protracted)」努力と、「忍耐強い(patient)」努力という二つの要素は、一貫性と粘り強さの重要性を強調しています。彼は、人格の完成には「近道はない」という、厳しい真実を突きつけ、地道な努力こそが、自己成長の鍵であると断言しています。
似た意味の英語のことわざ
- “The greatest good is the knowledge of oneself.” (最大の善は、自己を知ることである。) これはソクラテスの言葉で、ヘラクレイトスの言葉が持つ、「内面的な真理を探求し、行動に移す」という精神と通じます。
- “Where there is a will, there is a way.” (意志あるところに道は開ける。) これは、強い意志や決意があれば、必ず成功への道が見つかるという意味で、その道は、忍耐強い努力から開かれます。
- “A journey of a thousand miles begins with a single step.” (千里の道も一歩から。) これは、どんなに大きな目標でも、最初の一歩から始まるという意味で、その一歩は、日々の小さな努力かもしれません。
似た意味の日本語のことわざ
- 「継続は力なり」(けいぞくはちからなり) 何事も続けていれば、それが力となり、やがて成功につながるという意味。人格形成における一貫性の重要性を説くヘラクレイトスの思想を最も的確に表す日本語です。
- 「為すべきを為す」(なすべきをなす) 目先の利益や欲望を気にせず、自分がすべきだと信じる正しいことを行う、という意味。
ヘラクレイトス(Heraclitus)の波乱万丈な生い立ち
ヘラクレイトス(紀元前535年頃 – 紀元前475年頃)は、古代ギリシアの哲学者であり、「万物は流転する(Everything flows)」という、有名な言葉で知られています。彼は、変化こそが、宇宙の唯一の不変の原理であると説きました。
幼少期と哲学への道
紀元前535年頃、小アジアのイオニア地方のエフェソスで、貴族の家庭に生まれました。彼は、その生涯を通じて、「ロゴス(Logos)」という、「宇宙の理法」を探求しました。 彼は、その思想を、『自然について』という、わずか一冊の書物にまとめましたが、その書物は、断片的な形でしか残っていません。
「流転」の思想と影響
ヘラクレイトスは、「同じ川に二度入ることはできない」という、有名な言葉を残しました。これは、川の水が、常に変化し続けているため、「同じ川」は存在しないという、「万物流転」の思想を象徴しています。 彼の思想は、プラトンやソクラテスといった、後世の多くの哲学者に、深い影響を与えました。
晩年と遺産
ヘラクレイトスの晩年については、あまり知られていませんが、彼は、故郷のエフェソスで、その生涯を終えたと伝えられています。 ヘラクレイトスの生涯は、一人の人間が、その才能と、飽くなき探求心によって、いかに哲学と、世界を豊かにすることができるかを示す物語です。彼の言葉は、私たちに、人格は、日々の継続的な努力によって築かれるという、深い教訓を与え続けています。
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心に響く英語ことわざ(741)米国の自動車王ヘンリー・フォードの名言 Time and money spent in helping men to do more for themselves is far better than mere giving.(真の援助は自立を促すこと)
https://www.eionken.co.jp/note/time-and-money-spent-in-helping-men/
心に響く英語ことわざ(743)「若きウェルテルの悩み」で有名なドイツの文豪ゲーテの名言 Correction does much, but encouragement does more.(人を育む最良の手段は、励ましである)
https://www.eionken.co.jp/note/correction-does-much/
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。
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